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第四十四話
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少女の姿を視界に捉えた史郎はとても驚いた。
幼い年齢であることは確かなのだが、それにしても美しい容姿をした女の子だったのだ。
成長すれば誰もが振り返るような美女になることは明らかだった。
「鯰尾史郎さんですよね。貴方の父親の依頼で助けに来ました」
凛とした声色が史郎の耳に届く。
少女の言葉に少年が慌てて動いて再び史郎に刃を向ける。
「助けに来ただと?お前みたいなチビが何ができる?なんで俺の屋敷が崩壊してる?お前は誰だ?」
いくつもの疑問を少年は少女へ一気に投げかけた。
すると何がおかしかったのか少女はクスクスと小さな声で笑った。
「ほんまになぁ、お前さんはアホどすなぁ」
少年の疑問に少女は妖艶な雰囲気を出しながら返した。
史郎はその少女の姿に少しドキッとする。
少女はそのまま言葉を紡いだ。
『動くな』
それが片手で数えられる人数しかできない術であることを史郎と少年は知っていた。
少年は少女の言葉通りに指一本動けなくなる。
完全に硬直していた。
幽世声――いくつもの印を組んでから発動させる術式を全ての手順を省略して少女は発動させた。
少女が只者ではない人物である何よりの証拠だった。
「急いで来ましたけれど、怪我してますね。治癒しますから。ロープ外します」
磔にされていた両手首と両足を指一本で少女は解く。
この術式も高度なものではと史郎は目を見開いた。
「少しの間動かないでください」
「う、うん」
少女の言葉に従い史郎は身体を動かさないようにする。
やがて暖かな光に包まれた。
傷やアザになっている部位がすぐに治った。
「ありがとう。……あの、君は一体」
史郎は恐る恐る礼を述べたがこの少女の正体も気になっていた。
身長から考えて明らかに史郎よりも年下。
そうだというのに高度な術式を展開できるほどの実力を持っている。
気にならない方がおかしかった。
「あら、私ったら名乗ってなかったのね。申し遅れました。私の名は晴明。安倍晴明と申します。以後お見知り置きを」
そう誇らしげに少女は自分の名前を語った。
「さてと。ここをお暇しましょう。居てもゴミしかありませんし」
史郎の傷を治して身体に異常がないと判断したのちに晴明はそう告げる。
動けない少年のことを晴明は複雑な術式を使って拘束した。
あまりにも普通の口調で言うものだから史郎は不安になった。
「あの……部屋が崩れてるけど君が何かしたのか?」
つい弱々しい言葉遣いになってしまうが史郎は晴明に尋ねずにはいられなかった。
部屋がなんらかの理由でボロボロになってしまった後に晴明がやってきた。
そのタイミングで来たからには彼女が何かしたのだろうかと気になったのだ。
「軽いノックをしただけですよ。まぁ、面倒だから加減はしませんでしたけど」
なんてことのないように晴明は答えた。
やっぱりあの安倍晴明なのだと史郎は改めて認識する。
稀代の陰陽師の力で部屋が崩壊しているのならば納得だ。
不安だった気持ちが少し安らいだ。
「殺してはいないので八尾一族の連中がまもなく来ると思います。なのでさっさとここから居なくなりましょう」
「え!?ここ八尾一族の屋敷?」
史郎は晴明の言葉に驚愕した。
八尾一族――八咫烏の一族は婚約者である百合の一族だ。
とても強い力を持ったあやかしの一族であり、ぬらりひょんの一族も信頼を置いている一族だった。
だからこそ百合が史郎の婚約者になったのだが――。
「なんで百合の一族が俺のことを殺そうとしたんだ……」
訳が分からないと史郎は戸惑う。
普通ならば殺そうとする相手を婚約者になどしないはずだ。
そんな史郎の様子を横目で見ていた晴明だったが、すぐに目つきを鋭くした。
「あらまぁ。八尾一族の皆様が駆けつけるのは早いですこと」
言葉の通りに八尾一族のあやかし達が地下へやってきた。
晴明の眼光はとても鋭いものだが口調はとても呑気だった。
「屋敷が全壊しておる。一体誰の仕業だ」
代表するかのように一人の男性が憎々しげに尋ねてきた。
険しい顔をしており、発言を誤れば殺されそうな雰囲気だった。
史郎には見覚えのある男性だ。百合の父親である。
百合の父親の言葉に史郎は隣にいる晴明を思わず見た。
「私ですよ。それが何か」
悪びれもせずに晴明は答えた。
――こんな小さな身体であの地下室の部屋だけでなく、屋敷まで全壊させていたと?
史郎は晴明の言葉に驚かずにはいられない。
「貴様……何者だ!」
「陰陽師・安倍晴明――と言えば分かるわよね?」
自らの名前を晴明は冷たく言い放つ。
それは史郎に名乗った時とはまるで違っておりその格差が怖いと史郎は密かに思った。
「安倍晴明だと!?」
「その反応だとわかってくれたみたいね。あなた達、全員陰陽省の刑務所にぶち込まれるからよろしく」
「なぜだ!!!」
「総大将の息子を拉致監禁暴行殺害未遂。立派な刑罰でしょ」
腕を組んで呆れた様子で百合の父親の問いかけに晴明は答える。
とても幼い少女の態度とは思えない。
「そんなことで我らが悲願を……!」
「悲願ごときに罪を犯しちゃあおしまいだと思うけど。じゃあ私たちはお暇するからきちんと出頭してね」
「待て!!!安倍晴明!!!」
百合の父親が叫んだ。
幼い年齢であることは確かなのだが、それにしても美しい容姿をした女の子だったのだ。
成長すれば誰もが振り返るような美女になることは明らかだった。
「鯰尾史郎さんですよね。貴方の父親の依頼で助けに来ました」
凛とした声色が史郎の耳に届く。
少女の言葉に少年が慌てて動いて再び史郎に刃を向ける。
「助けに来ただと?お前みたいなチビが何ができる?なんで俺の屋敷が崩壊してる?お前は誰だ?」
いくつもの疑問を少年は少女へ一気に投げかけた。
すると何がおかしかったのか少女はクスクスと小さな声で笑った。
「ほんまになぁ、お前さんはアホどすなぁ」
少年の疑問に少女は妖艶な雰囲気を出しながら返した。
史郎はその少女の姿に少しドキッとする。
少女はそのまま言葉を紡いだ。
『動くな』
それが片手で数えられる人数しかできない術であることを史郎と少年は知っていた。
少年は少女の言葉通りに指一本動けなくなる。
完全に硬直していた。
幽世声――いくつもの印を組んでから発動させる術式を全ての手順を省略して少女は発動させた。
少女が只者ではない人物である何よりの証拠だった。
「急いで来ましたけれど、怪我してますね。治癒しますから。ロープ外します」
磔にされていた両手首と両足を指一本で少女は解く。
この術式も高度なものではと史郎は目を見開いた。
「少しの間動かないでください」
「う、うん」
少女の言葉に従い史郎は身体を動かさないようにする。
やがて暖かな光に包まれた。
傷やアザになっている部位がすぐに治った。
「ありがとう。……あの、君は一体」
史郎は恐る恐る礼を述べたがこの少女の正体も気になっていた。
身長から考えて明らかに史郎よりも年下。
そうだというのに高度な術式を展開できるほどの実力を持っている。
気にならない方がおかしかった。
「あら、私ったら名乗ってなかったのね。申し遅れました。私の名は晴明。安倍晴明と申します。以後お見知り置きを」
そう誇らしげに少女は自分の名前を語った。
「さてと。ここをお暇しましょう。居てもゴミしかありませんし」
史郎の傷を治して身体に異常がないと判断したのちに晴明はそう告げる。
動けない少年のことを晴明は複雑な術式を使って拘束した。
あまりにも普通の口調で言うものだから史郎は不安になった。
「あの……部屋が崩れてるけど君が何かしたのか?」
つい弱々しい言葉遣いになってしまうが史郎は晴明に尋ねずにはいられなかった。
部屋がなんらかの理由でボロボロになってしまった後に晴明がやってきた。
そのタイミングで来たからには彼女が何かしたのだろうかと気になったのだ。
「軽いノックをしただけですよ。まぁ、面倒だから加減はしませんでしたけど」
なんてことのないように晴明は答えた。
やっぱりあの安倍晴明なのだと史郎は改めて認識する。
稀代の陰陽師の力で部屋が崩壊しているのならば納得だ。
不安だった気持ちが少し安らいだ。
「殺してはいないので八尾一族の連中がまもなく来ると思います。なのでさっさとここから居なくなりましょう」
「え!?ここ八尾一族の屋敷?」
史郎は晴明の言葉に驚愕した。
八尾一族――八咫烏の一族は婚約者である百合の一族だ。
とても強い力を持ったあやかしの一族であり、ぬらりひょんの一族も信頼を置いている一族だった。
だからこそ百合が史郎の婚約者になったのだが――。
「なんで百合の一族が俺のことを殺そうとしたんだ……」
訳が分からないと史郎は戸惑う。
普通ならば殺そうとする相手を婚約者になどしないはずだ。
そんな史郎の様子を横目で見ていた晴明だったが、すぐに目つきを鋭くした。
「あらまぁ。八尾一族の皆様が駆けつけるのは早いですこと」
言葉の通りに八尾一族のあやかし達が地下へやってきた。
晴明の眼光はとても鋭いものだが口調はとても呑気だった。
「屋敷が全壊しておる。一体誰の仕業だ」
代表するかのように一人の男性が憎々しげに尋ねてきた。
険しい顔をしており、発言を誤れば殺されそうな雰囲気だった。
史郎には見覚えのある男性だ。百合の父親である。
百合の父親の言葉に史郎は隣にいる晴明を思わず見た。
「私ですよ。それが何か」
悪びれもせずに晴明は答えた。
――こんな小さな身体であの地下室の部屋だけでなく、屋敷まで全壊させていたと?
史郎は晴明の言葉に驚かずにはいられない。
「貴様……何者だ!」
「陰陽師・安倍晴明――と言えば分かるわよね?」
自らの名前を晴明は冷たく言い放つ。
それは史郎に名乗った時とはまるで違っておりその格差が怖いと史郎は密かに思った。
「安倍晴明だと!?」
「その反応だとわかってくれたみたいね。あなた達、全員陰陽省の刑務所にぶち込まれるからよろしく」
「なぜだ!!!」
「総大将の息子を拉致監禁暴行殺害未遂。立派な刑罰でしょ」
腕を組んで呆れた様子で百合の父親の問いかけに晴明は答える。
とても幼い少女の態度とは思えない。
「そんなことで我らが悲願を……!」
「悲願ごときに罪を犯しちゃあおしまいだと思うけど。じゃあ私たちはお暇するからきちんと出頭してね」
「待て!!!安倍晴明!!!」
百合の父親が叫んだ。
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