特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -55話-[|瘴鬼《デーモン》と瘴気精霊②]

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「ギャギャッ!!」
「ギャッギャッ!」
「ギャー!ギャッ!ギャギャ!」

 何を言っているのかわからない言語で会話をする3体はどうやら動転しているらしかった。
 1人がキョロキョロと周囲を見回り、
 1人が倒れたまままだ苦し気な声を上げる瘴鬼デーモンを指差し、
 最後の1人が名推理を披露したかのように俺を指差して大声を発している。

「ギャギャンギャ!」
「「ギャンギャ!」」

 話し合いは終わったのか、
 空中に昇って空間を固定した足場で待っていた俺を3体がトライアングル陣形で囲ってきた。

「ギャ!」

 小さくなった分素早さが高くなった下位瘴鬼レッサーデーモンは、
 両腕の爪だけを大きく変化させた状態で突っ込んでくる。
 ただ、剣で防いでも軽い為すぐに弾き返すことが出来るし、
 他2体も足や尻尾を大きくして突っ込んでくる始末で遠距離役がなぜか存在しない。

「本体が弱いから人間を住処としてルームシェアする事で戦力を強化していたのか?」
あるじの予想的中かも』
『寄生ってことですかぁ? うぅ~!気持ち悪い!!』

 軽い攻撃をしばらく捌き、回避して様子を見ても、
 こいつらには他の攻撃手段が無いのか変わらない光景が続く中、
 瘴鬼デーモンも参戦して来ないのでこれ以上は時間の無駄と判断して攻略することにした。

「ベル」
『《ベルファイア!》』

 斬り払って態勢の崩れた個体へベルが透かさず光魔法を発射すると、
 もろに魔法を受けた下位瘴鬼レッサーデーモンの上半身が半分吹き飛び悲鳴を上げた。

「ギャアアアアアアア!!」
「ふっ!」

 ついでに物は試しと首を斬り飛ばしてみた結果は、
 離れた面から黒い靄がそれぞれから伸びすぐに元の位置に首は戻ってしまった。
 やはり契約も無く一体化するなら受肉はしていないか…。

『《ベルカノン!》』

 修復する間が無防備だった為、
 ベルは続けて全身を消し去れる魔法を選択して追撃を行い3体中1体は浄化されて姿が消えた。
 その様子を目の当たりにしても逃げる動作をしない残り2体は攻撃を続行してきたものの、
 もう観察する意味もないのでベルの魔法で仲良く後を追う事となった。

「肉体を持つ人間に寄生する方法も結局は精神部分だったわけだから、
 彼の契約精霊は直接寄生されてると考えると無事に引き離せるか微妙だな」
『精霊使いが元に戻ればどう?』
「呼びかけでコントロールは出来ても今だけだろうしなぁ。
 いずれ浸食が進めば同じような存在になるかもだし、早く対処するに越したことはない」
『ひとまず相談するにしても精霊使いは取り戻す必要はあるという事ですね!』
「そういう事!」

 見下ろす先は立ち上がったまま俯き何もして来ない瘴鬼デーモン
 流石にひと回り縮んだとはいえ、
 内側に隠れている下位瘴鬼レッサーデーモンを全部吐き出させるのは面倒な作業だ。
 ずっと倒れててくれれば上から[スイシーダ]で蹴り続けるだけの簡単な作業だったというのに……。

「いや、触れずに倒せるか?
 ベルとフラムは瘴鬼デーモンが倒れたらまたバインドをお願い。
 今度は最後まで吐かせるつもりで継続しててくれ」
『りょーかい』『はーい!』

 動かないなら好都合。
 彼を倒すだけなら丁度いい魔法を発動させる為、
 握った拳を振りかぶり地面に押し付けるように詠唱しながら振り抜いた。

「《イグノアパースペクティブ!》」
『《フレイムチェーンバインド!》』
『《ライトリングバインド!》』

 スキル[精霊の呼吸エレメンタルブレス]の効果で一般人よりも強度のある拳は、
 遠近感を無視して見事に瘴鬼デーモンをぶち抜いた。
 ただ振り抜いた角度が悪かったのか多少地面を削りながら5mほど移動させてしまったが、
 まぁ彼も今は丈夫な体だろうし大丈夫だと思うこととしよう。
 土煙の晴れた先では末っ子たちの魔法で再び動けなくなった瘴鬼デーモンが、
 守りもせずどうぞ蹴り込んでくださいとばかりに晴天に向けて腹を晒してくださっているのでお言葉に甘えて高所から足に魔法を掛けながら飛び降りる。

「《極地嵐脚ストームインパクトっ!》スイシーダ!!」
『《ベルブラスター!》』
「《極地嵐脚ストームインパクトっ!》スイシーダ!!!」
『《ベルブラスター!!》』
「《極地嵐脚ストームインパクトっ!》スイシーダアアアアア!!!!」
『《ベルブラスターァァァァァ!!!》』

 1度目の蹴り。
 悲鳴は7割瘴鬼デーモン3割人間という印象。
 吐き出された下位瘴鬼レッサーデーモンの塊はベルの魔法で分裂前に浄化。
 2度目の蹴り。
 悲鳴は5割瘴鬼デーモン5割人間という印象。
 下位瘴鬼レッサーデーモンの塊は吐き出される前にベルが魔法を口に放射し浄化。
 3度目の蹴り。
 悲鳴は2割瘴鬼デーモン8割人間という印象。すごく心が痛くなった。
 継続して口内に流し込まれる浄化の光で黒い塊すら見えず浄化されてこの世から消え去った。

「テンション上がって楽しんじゃったけど、
 身体もほとんど人間に戻ってるし後は胸からヘソくらいの範囲だな」
『ここまではスムーズだった。これからどうする?』
「ここまで戻れば流石にまともな事情聴取が出来るだろう。
 自分の状況がわかるなら手を貸して今日は村に帰りたいかな」
『楽しかったああああ!』

 全部出たのか判断は付かないけれど、
 転がっている男性は気を失った状態で暴走して暴れ回るわけでもない。
 って事はあの程度の戦闘力が数体残っていたとしても抑え込むのは容易いか…。
 だからこそ、この腹部の変化がどういう意味を持つのかを本人に聴取する必要がある。

「気付けが必要だな。
(クー、気付け薬を貰えるか)」
『(かしこまりました。10秒後にお呼びください)』

 念話で突然連絡したというのに迅速に対応してくれる愛娘の言う通り、
 10秒ほど待ってから召喚を詠唱する。

「《召喚サモン!クーデルカ!》」
『次女クーデルカ、お父さまのお喚びに参上致しました!』

 カーテシーまで決め粛々とした態度とは裏腹に、
 俺に頼られた嬉しさが声音として漏れ出てしまっている次女はすぐにご要望の気付け薬を差し出して来た。

『お父さま、こちらが気付け薬になります。
 ――ところで何故この男性はこんな荒野で裸なのですか?』
「ありがとう。
 調べ事の途中だからまだはっきりとはしてないんだよ。
 あと、今日はエルダードワーフの村に泊まるってみんなに伝えておいてくれ」
『かしこまりました。お気をつけてくださいませ』

 恥部も丸出しの男を流し目で確認した娘の質問に答えつつ、
 アルシェ達への伝言を託すとクーデルカは再びカーテシーをしながら消えていった。

「さてと、さっさと起きて股間を隠してもらわないと教育上良くないからね」

 男の上半身を起こし首を調整し気道を確保したうえで数滴口内に垂らす。
 説明書にはこれで3秒ほどで気が付くと書いてあったけど気付け薬ってそんな即効性のある物なのか?

「はっ!がっ!ゴホッゴホゴホッ!!何が…ゴホ……」
「こんにちわ、おじさん。
 とりあえずチ〇コ隠してどこから記憶が無いのか聞かせてもらえますか?」
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