特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第13章 -1st_Wナユタの世界-

†第13章† -25話-[魔神族復活の刻①]

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『アル~!パパがナユタを倒したってぁ~!』
「そうですか。では世界樹の元へ急ぎましょう」
「他の者にはバリアと遠目からも世界樹を観察するように指示しておきます」
「ありがとう、メリー」

 倒してすぐにお兄さんは連絡をくれただろうけれどすぐには世界樹に変化は見られない、か…。

『アルシェ様、ルートの確認をしましたので先導致します』
「クーちゃん、お願いね」

 先行して村の中を探索していたゼノウ達から必要情報の聞き取りと指示出しを済ませるとクーちゃんが猫の姿となり尻尾の鈴を鳴らして道案内を進んで行ってくれたのでその後を追う事にする。軽やかな足取りでチリンチリンと清涼感のある音を追って行くと開けた道の先に世界樹の根元で洞穴のように大きく開いた場所に辿り着いた。
 入口は段差もあるけれど人工的に階段が整備されていて人の出入りを前提としている事が窺える大穴だった。

「ここから先は聖域となりますので関係者以外は立ち入り禁止です」
『お姉さま、聖水はこちらだそうです』
『世界樹の聖水かぁ~どんな味なんだろうねぇ~♪』
「この先には何があるのですか?」

 私とメリーが門番に止められている間に大穴の両脇に出来た湧き水の溜まり場にクーちゃんとアクアちゃんが寄っていく。あの湧き水はこの村の生活水であると同時に光属性との組み合わせて創造した[聖水セイントウォーター]と違う本物らしい。
 だからアクアちゃんが試飲して扱えるようになれば浄化効率はさらに良くなるだろう。

「この先は世界樹に選ばれたナユタ様のご神体が安置されています。
 私達でも毎朝の祈りだけでご神体に拝謁出来るのは年に1度となっております。外部の来客と言えどここをお通しは出来ません事ご容赦ください」
「無理に強行するつもりはありませんからご安心を。
 あの聖水は飲料とも利用されているそうですが私達も口にして良いですか?」
「その程度であれば構いません。どうせずっと沸き続けているものですから」

 さっそくとばかりにクーちゃんが影から取り出したアクアのマイコップを手渡すと並々と汲んだ世界樹の聖水を一気飲みし始める。
 ドクン……、ドクン……。お兄さんからの連絡の少し前から微かに聞こえていた脈動がここに来てさらに大きく聞こえる様になったので門番さんに無言の圧力をかけてみます。

「こればかりは私達にも詳しくは分かっておりませんので何もお答えは出来ませんよ」
「そうですか……。では数か月前にも同じ事があったかだけでも教えてもらえませんか?」
「……黙秘します」
「ありがとうございます」

 まぁどう答えてもほぼ確信を持って聴取していますしね。
 何も答えずとも、黙秘でも門番さんの様子から間違いなくナユタ復活の前兆で間違いなさそうです。

「メリー」
「はっ。《シャドーバインド》」
「うわっ!何をむぐぐぐぐ!んぐ~~~‼」

 ごめんなさいね門番さん。
 貴方が何も悪くない事は分かっているのだけど押し通らなければならない理由があるの。
 と内心で謝罪しつつ2杯目の聖水を一気飲みしているアクアちゃんと樽一杯に聖水を移し終えて蓋をしているクーちゃんの二人を呼びつける。

「二人共、奥へ行きますよ」
『あ~い』『かしこまりました』

 メリー達を伴って足を進めると壁や天井は木の幹を綺麗にくり抜いたかの様な滑らかな造りで木の中に居るというのは間違いは無さそうです。とはいえ世界樹はとてつもなく巨大なので通路も先が見えないほどに長く何故か壁や天井が薄っすら発光をしている事も手伝ってか芸術的な一本道にしばし呆然としてしまいました。

「アルシェ様、壁や天井に導線の光が出ています。脈動に合わせて奥へ送られている様ですね」
「やはり最奥まで進むしかありませんね。最速で進みますよ」
『あい! 《ユニゾン!》《アイシクルライド!》』
『《ユニゾン!》《風影輪ウンブラ・ロタ!》』

 発光とは別に幾何学模様が浮かび上がりそこを強い光が走って行く。
 おそらくナユタのオリジナル。ご神体が安置されているのは世界樹の中心部かしら?
 世界樹の規模から考え十数キロは先になるだろうし復活現象の情報収集のためには現地に辿り付いておきたい。

[セーバー=テンペスト=カルドウェルから着信です][YES/NO]

「何かありましたか?」
〔バリアが小さくなっています!すでに2mは縮んでますよ!〕
「縁に沿ってそのまま下がりつつ様子を見てください。1回の復活でどれほど力が必要か把握出来れば世界の寿命の目安になります」
〔了解!〕

 つまり平時はバリアとして張っているエネルギーやその他へ回しているエネルギーを急速に消費して神族の復活は行われるのですね。
 世界樹が世界に顕現してからどの範囲からバリアが発生するのかはわからないけれど、バリアだって消耗品だろうから数世紀守り続けている間にも徐々に範囲縮小は起こっていただろう。
 その膨大なエネルギーも限度があってバリア維持が消費が最小で神人復活が最大ってところ? その他だと生活水として湧かせている聖水も最小に近いかも。

 ただ、バリア内にも関わらず既に空気に薄っすら瘴気が混じっており聖水でなんとか体内から浄化が間に合っている感じが末期感がありますね。子供が出来辛い話は浄化が間に合っているなら瘴気が影響しているわけでは無い? オベリスクは見掛ける度に壊して来たけれど長年放棄されていたのかそのほとんどが機能停止していたし……。
 それに健全な世界樹がどうやって瘴気に犯されたのかも確認できる様なら調べておかないと。

「中心部に着きました。床面にナユタらしき人物が埋め込まれています」
「私達が通って来た通路の他にも二つ通路がある……。どういう意図の通路なの?
 とりあえずメリー達は写真を出来る限り残して頂戴」
「かしこまりました」

 さっそくメリー達は命令に従って時空魔法で空間の写しを作製し始める。お兄さんが以前使っていた[消滅しやがれ!糞世界!バニッシュメント・ディス・ワールド]の魔法式を流用して座標の固定を行っているのでメリーとクーちゃんも両手をL字で揃えて次々と世界樹の内装も浮かび上がっている魔方陣も色んな角度からパシャパシャと転写していく。
 転写した一枚絵は後々クーちゃんの[影別荘シャドーモーテル]の中で確認することが出来る。

「木に取り込まれたうえで樹液で固められている様に見えるね」
『これで生きてるのぉ~? ここでトドメ刺せば終わりぃ~?』
「正確には仮死状態が正しいかもしれないわ。お兄さんの見立てで一番弱い魔神族がナユタだから出来る限り必要な情報を搾り取らなきゃいけないからね。トドメはまだよ」

 撮影はメリー達二人に任せて私とアクアちゃんはエネルギーの流れがどのような作用をもたらしているのかを順を持って確認していく。
 本来はもっと多機能だと思われるものの現在の世界樹に残された機能は聖水とバリアに2点で主にバリアがエネルギー回収の影響を受けているらしい。
 そして末端の根から各機能のエネルギーを中央へと集め、それが通路の壁や天井の導線を辿って世界の守護者しゅごしゃとして選ばれた生贄へと注がれて神族復活の機能が立ち上がるのね。

 変化点としては①脈動音が聞こえる事 ②エネルギーが貯まってくると生贄ナユタを閉じ込めている樹脂が発光を強めていく事 ③魔方陣が浮かび上がって天井へ徐々に上がっていく事。
 この3点で復活までのタイムリミットは判断が付くだろうけれど、今後は復活する前に世界樹を破壊したり生贄本人を殺したりでさっさと終わらせた方が面倒が無くて良いわよね……。

[フランザ=シヴァ=エフィメールから着信です][YES/NO]

「世界樹に変化でもありましたか?」
〔いえ、外から見る限りでは特に変化は見られません。脈動とバリアの縮小だけです。
 この通話は代表の方が姫様を探しておいでなので念の為連絡した次第です〕
「あぁ…今は世界樹内部のナユタのご神体がある最奥に来てます。
 ナユタが復活するまでは調査をするので復活次第戻ると伝えておいてください」
〔わかりました。伝えておきます〕

 どの代表かはわからないけれど復活が終わるまではあちらも待つしかないだろう。
 何しろ世界樹の通路が長すぎるから長距離移動出来る手段が無ければ進んでいる間に復活は完了することになり私達と通路の途中で合流するハメになるだろうし。そうなれば誰が彼らを村に連れ戻す事になるのか……ちゃんとその辺は理解してくださると助かるのですが……。

『アルカンシェ様。魔方陣はクー達の知識にある物とは別物の様です。
 元の世界に戻ってからアネゴに解析をお願いしてみましょう』
「わかりました。しばらくはここで復活が完了するまでの流れを観察に務めます。
 終わればゼノウ達と情報共有を行って余裕があればもう一度試す方向で検討します」
「かしこまりました」
『かしこまりました』
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