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つかの間の平和
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優子の家の居間で康太と翔子が掃除している。
翔子が押入れの中のダンボールを整理していると、優子が小さい頃に着ていた洋服が出て来る。
「……」
翔子が感慨深げに出てきた洋服を手に取って見る。
翔子の目は潤んでいる。
「!」
部屋の入口にいつの間にか優子の姿が。
「ゆ、優子……」
康太が驚く。
「ど、どうしたんだ? 相武社長のお宅に行ったんじゃ……」
優子がニコッと笑う。
「あたし相武社長にきっぱり断ったんだよ。相武社長のとこへは行かないって」
「何だって?」
「あたし、今日勝也って人を問い詰めてやったの。そしたらあの人があの日のことを正直に話したの」
「……」
「私ね、お父さんが勝也って人に私を差し出してあの人に取り入ろうとしたと思ったの、あの人は社長の息子で、私がお父さんの本当の子じゃないから」
涙ぐむ優子。
「でもそうじゃなかったんだ……」
康太は感慨深げな表情。
「相武社長も渋々分かってくれて、私の意思を尊重するって言ってくれたの」
嬉しそうな翔子。
「相武社長が私に、頑張って医者になりなさいって。私、必ず医者になるって約束したわ。奨学金制度だってあるし、絶対医者になってみせるって」
翔子が優子を見る。
「それで本当に後悔しない?」
優子がうなづく。
「あんな邸宅は肩が凝るよ。(部屋の中を見ながら)やっぱしこの家にいるほう住みやすいし落ち着くよ」
苦笑いする康太。
「相武社長のお宅でステーキご馳走になったけど、お母さんが作ってくれたハンバーグのほうがずっとおいしかったよ」
翔子が照れる。
「これからもあたしの両親はお父さんとお母さんだよ!」
「!」
翔子と康太が涙ぐむ。
優子が康太に抱きつく。
翔子も優子に寄り添い、三人が涙を流しながら抱き合う。
毅彦の家のダイニングでは窓際で毅彦が手を後ろに組んで立ち、窓の外を見ている。
その傍に勝也が立っている。
「まったくお前はどうしようもない息子だわ。おまえの父親だと思うと涙が出てくるわ」
「……」
「だがおまえがそんな風に育ったのも、わしの責任かもしれん」
「親父…」
毅彦「だがみてろよ、わしは絶対優子をあきらめん。力ずくでも手に入れてやる」
毅彦が拳を握りしめる。
朝を道を制服姿の優子が歩いている。
そこへ後ろから制服姿の真央がやってくる。
「おはよう!」
「あら、おはよう」
「ねえねえ、昨日どうだった?」「え?」
「行ったんでしょ? 本当のお父さんの家に」
「ああ…」
「それでどうするの? 本当のお父さんのとこに帰るの?」
「(笑みを浮かべて)ううん、立派な家もいいけど、やっぱし住み慣れた今の家の
方がいいよ」
「じゃあ結局社長令嬢にはならないの?」
優子がうなづく。
「(残念そうに)…なあんだ」
「はは、面白い子ね。どうしてあんたが残念がるのよ?」
「だってさあ、もったいないじゃん。おお金持ちの社長令嬢だよ」
「ああ、そうか、そんなに社長令嬢がいんだったら、あたし相武さんに頼んだげよ、真央を養女にもらってもらうように」
「ええ?」
「あの人、きっと喜ぶよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
優子と真央が笑いながら歩いていく。
道に車が停まっている。
車の後部座席で毅彦が優子をみている。
「優子、必ずお前をわしの元につれてきてやるからな」
翔子が押入れの中のダンボールを整理していると、優子が小さい頃に着ていた洋服が出て来る。
「……」
翔子が感慨深げに出てきた洋服を手に取って見る。
翔子の目は潤んでいる。
「!」
部屋の入口にいつの間にか優子の姿が。
「ゆ、優子……」
康太が驚く。
「ど、どうしたんだ? 相武社長のお宅に行ったんじゃ……」
優子がニコッと笑う。
「あたし相武社長にきっぱり断ったんだよ。相武社長のとこへは行かないって」
「何だって?」
「あたし、今日勝也って人を問い詰めてやったの。そしたらあの人があの日のことを正直に話したの」
「……」
「私ね、お父さんが勝也って人に私を差し出してあの人に取り入ろうとしたと思ったの、あの人は社長の息子で、私がお父さんの本当の子じゃないから」
涙ぐむ優子。
「でもそうじゃなかったんだ……」
康太は感慨深げな表情。
「相武社長も渋々分かってくれて、私の意思を尊重するって言ってくれたの」
嬉しそうな翔子。
「相武社長が私に、頑張って医者になりなさいって。私、必ず医者になるって約束したわ。奨学金制度だってあるし、絶対医者になってみせるって」
翔子が優子を見る。
「それで本当に後悔しない?」
優子がうなづく。
「あんな邸宅は肩が凝るよ。(部屋の中を見ながら)やっぱしこの家にいるほう住みやすいし落ち着くよ」
苦笑いする康太。
「相武社長のお宅でステーキご馳走になったけど、お母さんが作ってくれたハンバーグのほうがずっとおいしかったよ」
翔子が照れる。
「これからもあたしの両親はお父さんとお母さんだよ!」
「!」
翔子と康太が涙ぐむ。
優子が康太に抱きつく。
翔子も優子に寄り添い、三人が涙を流しながら抱き合う。
毅彦の家のダイニングでは窓際で毅彦が手を後ろに組んで立ち、窓の外を見ている。
その傍に勝也が立っている。
「まったくお前はどうしようもない息子だわ。おまえの父親だと思うと涙が出てくるわ」
「……」
「だがおまえがそんな風に育ったのも、わしの責任かもしれん」
「親父…」
毅彦「だがみてろよ、わしは絶対優子をあきらめん。力ずくでも手に入れてやる」
毅彦が拳を握りしめる。
朝を道を制服姿の優子が歩いている。
そこへ後ろから制服姿の真央がやってくる。
「おはよう!」
「あら、おはよう」
「ねえねえ、昨日どうだった?」「え?」
「行ったんでしょ? 本当のお父さんの家に」
「ああ…」
「それでどうするの? 本当のお父さんのとこに帰るの?」
「(笑みを浮かべて)ううん、立派な家もいいけど、やっぱし住み慣れた今の家の
方がいいよ」
「じゃあ結局社長令嬢にはならないの?」
優子がうなづく。
「(残念そうに)…なあんだ」
「はは、面白い子ね。どうしてあんたが残念がるのよ?」
「だってさあ、もったいないじゃん。おお金持ちの社長令嬢だよ」
「ああ、そうか、そんなに社長令嬢がいんだったら、あたし相武さんに頼んだげよ、真央を養女にもらってもらうように」
「ええ?」
「あの人、きっと喜ぶよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
優子と真央が笑いながら歩いていく。
道に車が停まっている。
車の後部座席で毅彦が優子をみている。
「優子、必ずお前をわしの元につれてきてやるからな」
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