僕は主夫で妻は医者

雄太

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どうする? 智也

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バスが福屋町バス停留所に着いてバスから乗客がゾロゾロと降りる。
智也と玲子と竹野もバスから降りる。
智也が振り向いてバスを見ると、窓から真央が青ざめた表情で智也を見ている。
呆然とする智也。
バスから降りてきた乗客が、智也らをジロジロと見ている。
智也は自分の手を掴んでいる竹野の手を、振りほどこうとする。
智也が怒った。
「いい加減にその手を離せよ!」
竹野は智也の右手を、しっかりと掴んで離さない。
玲子が智也を見た。
「交番まで一緒に来てもらえます?」
バス停から少し離れた場所に、交番が見える。
「冗談じゃない。どうして僕が?」
竹野が智也に厳しい目を向ける。
「僕は見ましたよ。あなたがこの女性を触るところを」
「これでもまだシラを切るんですか?」
智也は竹野を睨みつけた。
「デタラメを言うな!」
竹野は智也を交番に連れて行こうとする。
「手を離せと言ってるだろ!」
智也は左手で竹野の右の顔面を殴打する。
「うわー!」
竹野はドサッ! と地面に倒れこむ。
竹野の手が智也から離れる。
「キャー!」
ザワザワ…周りの通行人がざわつく。
「痴漢したのはそっちだろう!」
智也が倒れてる竹野を指差した。
智也は玲子に言う。
「さっき僕があなたに言おうとしましたよね、白い指輪がどうこうって」
困惑する玲子。
智也が竹野を指さす。
「彼が白い指輪をはめた手で、痴漢したんです」
玲子は倒れている竹野を見る。
「僕がそのことを言おうとしたんで、彼がデタラメを言ってるんです」
周りの人だかりが更に増え、三人の様子を見ている。
「彼(竹野)の左手に白い指輪がしてあるはずです」
曽田が倒れている竹野に近づいて、男の左手を見てみる。
曽田が智也の方を振り向く。
「(憮然と)指輪はしてませんよ」
慌てる智也。
「ええ?」
智也が竹野に駆け寄り、竹野の左手を手に取って、竹野の左手を見てみる。
竹野の左手の指には何もしていない。
あたふたする智也。
「そんなはずない…」
智也が竹野を問い詰める。
「ポケットか鞄に隠したんだろう?」
竹野がスクッと起き上がり、背広に付いた埃をポンポンと払う。
「そこまで疑うんなら、僕の身体と鞄を調べたらどうです?」
智也は竹野の服と鞄の中を調べた。
竹野の背広のポケットや財布の中、鞄の中を調べ上げる。
竹野賢という名の免許証が出てくた。
智也は竹野のシャツの上から体を叩いてみる。
どこからも指輪は出てこない。
智也はその場に立ちすくむ。
竹野が智也を見た。
「これで納得しましたか?」
竹野はネクタイを締め直し、背広を整える。
困惑する智也。
竹野が智也の右手をグイッ!と掴む。
「何をする!
「そこの交番に行きましょう」
少し離れた場所に交番が。
竹野と玲子は、智也を連れて行く。
智也が連れて行かれた後も、様子を見ていた通行人らはざわついている。


三人が交番に着いた。
智也と警官が机を挟んで向き合い、玲子と竹野が少し離れて椅子に座っている。
智也が顔を真っ赤にして弁明する。
「やってないといったらやってません」
警官が顔をしかめる。
「うーん」   
「何度も言ってるじゃないですか」
玲子が警官を見る。
「目撃者(竹野)がいるんですよ」
玲子が竹野を見る。
「彼です。間違いありません」
智也は竹野をジロリと見る。
玲子が竹野を気遣う。
「すみません。私のために、この人からあんな辱めを受けて」
「気にしないで下さい」
智也が竹野を睨みつける。
警官が智也を見た。
「どうしても認めないつもりですか?」
玲子が智也を冷ややかな目で見る。
「あなたって最低の人間ですね」
「僕が最低の人間?」
「あの人を、痴漢の犯人に仕立てようとするなんて」
智也がため息をつく。
「そこまでして逃げたいんですか?」
「どうして分かってくれないんですか」
智也が頭を抱える。

宮越高校・中・一年E組では机で厳しい表情をしている真央。  
 真央の後ろの席で早苗が複雑な表情で真央を見ている。   

智也の勤務会社・中・部長室では課長が腕を後ろに組み、部屋の中をカツ、カツと歩いている。
部長が部長席に座っている。
智也が部長席の前で、強ばった表情で立っている。
課長が口を開く。
「一体君はどういうつもりなんだね?」
部長が智也を見る。
「痴漢に暴力騒ぎとはねえ」
「僕は痴漢なんてやってません」
部長がバンッ!と机を叩く。
「だが乗客に暴力を振るっただろ!」
たじろぐ智也。
「そ、それは申し訳なく思ってます」
「申し訳ないで済む問題かね?」
「世間で学校やクラブでの体罰が、あれだけ問題になっただろ? 暴力ふるうなんて論外だよ」
部長が課長を近くに呼び、ヒソヒソと囁く。
課長はコホンと咳をする。
課長は智也に近づき、智也の耳元で囁く。
「やはり責任は取らないとな」
うつむく智也。

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