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あの男の指輪
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夜、森田家の由紀の部屋では真央と由紀が厳しい表情で床に座っている。
ため息をつく真央。
「まったく、父さんったら、馬鹿なことを…」
「ねえ、お姉えちゃん、絶対何かの間違いだよ。父さんがあんなことするわけがないよ」
真央が頭を抱える。
真央が階段を降りてくると、下に智也の姿が。
「!」
智也が言いづらそうに、
「…あの、実は今日な…」
すると真央が急に険しい顔に。
「うるさいよお! もうこの家から出て行ってよ!」
「ま、真央…」
真央がまた二階に上がる。
「……」
その様子を智也が寂しそうに見ている。
真央の部屋に真央が入ってくる。
そして左腕にはめている腕時計を外す。
「えい! もう!」
真央が腕時計を壁に叩きつける。
真央の目は真っ赤。
そこへ由紀が入ってくる。
リビングで智也と翔子がテーブルを挟んで対面して座っている。
そこへ真央と由紀がやって来る。
「会社をクビになったですって?」
智也は申し訳なさそうにうなずく。
「はあ、なんてことなの…」
翔子が頭を抱える。
智也は苦虫を噛み潰したような表情で、頭をかく。
「でも痴漢なんてやってないんだよ」
「あなたが痴漢をするような人間でないことは、私もよく分かってるわ」
智也を見つめる真央。
「でも暴力は振るったんでしょう?」
「ああ、すまない」
「あなたらしくもない」
「すまない。あんまり頭にきて」
「おまけに男性の服を脱がせたり…」
「おかしいんだよなあ。あいつ、絶対に左手に指輪してたはずなのに、どうしても見つからなかった」
「……」
「でもあの竹野って奴だけは許せない」
「何者なのかしら?」
「やつは竹野賢って免許証を持ってた」
「竹野賢?」
「時和町に住所があるみたい」
「竹野賢…」
「でも、もうどうしようもないわ」
席を立つ翔子。智也が真央と由紀を見る。
「信じてくれ、父さんは本当に…」
「ねえ、お父さん、その男性が左手に指輪してたのを見たのは間違いないのね?」
「ああ、間違いない」
由紀が考え込む。
「ねえ、もしかしてその人、その指輪を捨てたんじゃないの?」
「!」
「捨てた?」
「父さん、父さんは福屋町バス停で降りたよね?」
「あ、うん」
真央が駆け足で部屋を出る。
「お姉ちゃん!」
「……」
智也が走り去る真央を見る。
真央が玄関を駆け足で出てくる。
リビングで智也がテーブルでため息をつく。
由紀が傍に立っている。
「……」
夜の福屋町バス停留所で真央がバス停のゴミ箱を探している。
ゴミ箱を探し続ける真央。
真央が驚く。
「!」
森田家のリビングで智也がテーブルでションボリしている。
そこへ真央がやって来る。
智也が気付くと、真央が智也をじっと見ている。
「どうした? 何か用か?」
「…」
真央が智也の前に右手を差し出す。
「?」
智也が真央が差し出した右手を見ると、そこに指輪が。
「どうしたんだ? その指輪は?」
「父さん、あたしさっき福屋町のバス停に行ってきたの」
「ええ?」
「父さん、言ってたよね、痴漢した男が指輪してたって。で、バス停では持ってなかったって」
「ま、真央…」
「あたしバス停のゴミ箱を探してみたの。そしたらこの指輪が…」
智也が真央から指輪を受け取る。
「ねえ、その男がしてたのはその指輪で間違いない?」
智也が指輪を見る。
「うーん、断言はできないけど、でも指輪をゴミ箱に捨てるなんて滅多にあるもんじゃないし…」
「だよね。間違いないよ。父さんは作り事を言ってたわけじゃなかったんだ」
真央の目が潤む。
「ごめんね、父さん、父さん何もやってないのに、ひどいこと言って」
智也が笑顔で首を横に振る。
「父さん、それでなくても無実の罪を着せられて悔しくてたまらないのに、その
父さんに鞭打つようなことして…」
「真央、もういいんだよ、本当に…」
智也が真央を抱き寄せる。真央の目から涙がこぼれ落ちる。
「ねえ父さん、この指輪が証拠だよ。これを警察に持ってって、父さんの言ってた男が真犯人だって言おうよ」
「うーん」
「ねえ、父さん!」
智也が苦笑いしながら指輪を見る。
「だがこの指輪だけじゃな…こんな指輪ぐらいどこにでもあるし、あいつがこの指輪を知らないって言えばそれまでだろ」
「そんな…バス停のゴミ箱から出てきたんだよ!」
「でもそのことをどうやって証明する?奴が捨てたなんて証拠はどこにも無いわけだし…」
「……」
「ありがとう、真央。もういいんだよ。父さん自分がやったって認めちゃったし、会社も辞めちゃったからね」
「そんな…」
智也が微笑む。
「家族のみんなが僕がやってないってことを分かってくれるだけで十分だよ」
智也が真央の肩を叩く。
ため息をつく真央。
「まったく、父さんったら、馬鹿なことを…」
「ねえ、お姉えちゃん、絶対何かの間違いだよ。父さんがあんなことするわけがないよ」
真央が頭を抱える。
真央が階段を降りてくると、下に智也の姿が。
「!」
智也が言いづらそうに、
「…あの、実は今日な…」
すると真央が急に険しい顔に。
「うるさいよお! もうこの家から出て行ってよ!」
「ま、真央…」
真央がまた二階に上がる。
「……」
その様子を智也が寂しそうに見ている。
真央の部屋に真央が入ってくる。
そして左腕にはめている腕時計を外す。
「えい! もう!」
真央が腕時計を壁に叩きつける。
真央の目は真っ赤。
そこへ由紀が入ってくる。
リビングで智也と翔子がテーブルを挟んで対面して座っている。
そこへ真央と由紀がやって来る。
「会社をクビになったですって?」
智也は申し訳なさそうにうなずく。
「はあ、なんてことなの…」
翔子が頭を抱える。
智也は苦虫を噛み潰したような表情で、頭をかく。
「でも痴漢なんてやってないんだよ」
「あなたが痴漢をするような人間でないことは、私もよく分かってるわ」
智也を見つめる真央。
「でも暴力は振るったんでしょう?」
「ああ、すまない」
「あなたらしくもない」
「すまない。あんまり頭にきて」
「おまけに男性の服を脱がせたり…」
「おかしいんだよなあ。あいつ、絶対に左手に指輪してたはずなのに、どうしても見つからなかった」
「……」
「でもあの竹野って奴だけは許せない」
「何者なのかしら?」
「やつは竹野賢って免許証を持ってた」
「竹野賢?」
「時和町に住所があるみたい」
「竹野賢…」
「でも、もうどうしようもないわ」
席を立つ翔子。智也が真央と由紀を見る。
「信じてくれ、父さんは本当に…」
「ねえ、お父さん、その男性が左手に指輪してたのを見たのは間違いないのね?」
「ああ、間違いない」
由紀が考え込む。
「ねえ、もしかしてその人、その指輪を捨てたんじゃないの?」
「!」
「捨てた?」
「父さん、父さんは福屋町バス停で降りたよね?」
「あ、うん」
真央が駆け足で部屋を出る。
「お姉ちゃん!」
「……」
智也が走り去る真央を見る。
真央が玄関を駆け足で出てくる。
リビングで智也がテーブルでため息をつく。
由紀が傍に立っている。
「……」
夜の福屋町バス停留所で真央がバス停のゴミ箱を探している。
ゴミ箱を探し続ける真央。
真央が驚く。
「!」
森田家のリビングで智也がテーブルでションボリしている。
そこへ真央がやって来る。
智也が気付くと、真央が智也をじっと見ている。
「どうした? 何か用か?」
「…」
真央が智也の前に右手を差し出す。
「?」
智也が真央が差し出した右手を見ると、そこに指輪が。
「どうしたんだ? その指輪は?」
「父さん、あたしさっき福屋町のバス停に行ってきたの」
「ええ?」
「父さん、言ってたよね、痴漢した男が指輪してたって。で、バス停では持ってなかったって」
「ま、真央…」
「あたしバス停のゴミ箱を探してみたの。そしたらこの指輪が…」
智也が真央から指輪を受け取る。
「ねえ、その男がしてたのはその指輪で間違いない?」
智也が指輪を見る。
「うーん、断言はできないけど、でも指輪をゴミ箱に捨てるなんて滅多にあるもんじゃないし…」
「だよね。間違いないよ。父さんは作り事を言ってたわけじゃなかったんだ」
真央の目が潤む。
「ごめんね、父さん、父さん何もやってないのに、ひどいこと言って」
智也が笑顔で首を横に振る。
「父さん、それでなくても無実の罪を着せられて悔しくてたまらないのに、その
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「真央、もういいんだよ、本当に…」
智也が真央を抱き寄せる。真央の目から涙がこぼれ落ちる。
「ねえ父さん、この指輪が証拠だよ。これを警察に持ってって、父さんの言ってた男が真犯人だって言おうよ」
「うーん」
「ねえ、父さん!」
智也が苦笑いしながら指輪を見る。
「だがこの指輪だけじゃな…こんな指輪ぐらいどこにでもあるし、あいつがこの指輪を知らないって言えばそれまでだろ」
「そんな…バス停のゴミ箱から出てきたんだよ!」
「でもそのことをどうやって証明する?奴が捨てたなんて証拠はどこにも無いわけだし…」
「……」
「ありがとう、真央。もういいんだよ。父さん自分がやったって認めちゃったし、会社も辞めちゃったからね」
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