口なしに熱風

大田ネクロマンサー

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第62話 果たされる約束 ※

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私をベッドに沈めると、ランダは急に起き上がった。動作が機敏で、心がついていかない。

驚きで見開いた目の前で、ランダはガバッと服を脱いで、美しい体を晒した。そしてベッドに上がりなおすついでに履物も脱ぎ去った。男らしい動作に見惚れていていると、ランダは得意げに笑った。


「ダグラスお墨付きだ」


香油の入っている小さな壺を自慢げに見せるランダに、申し訳ないのだが笑ってしまった。


「ああ、ミカの笑顔が一番、股間が痛むな」

「ランダは経験者だと思っていたぞ。なぜ否定しなかったんだ?」

「男はそういうものだろ? でも大丈夫。前々からダグラスにご高説いただいて、経験者と遜色はない。だからミカは安心して俺に体を預けろ」


だからダグラスとよく出かけていたのか。その時に私は男色趣味ではないとダグラスに咎められたのだろう。


「ローズ姫は男らしいな」


ランダは私の大好きな笑顔で近づき、唇に熱風を巻きおこす。最初はぎこちなかったそれも、これまでの旅で欲望に忠実になった口づけ。

お互い焦らされた欲望が、口の隙間から吐息となって漏れだす。私はひとつも溢したくないと必死にランダの舌に吸いついた。

私の執念に痺れを切らしたランダの両手が、夜着の前合わせを乱暴にむしっていく。そうして晒された肌に、重ねられるランダの熱い肌。見ずともわかるお互いの熱が擦れ合うたび、二人の隙間から吐息が漏れだした。

ランダがなにか言おうと、耳元に唇を寄せる。ショールは邪魔だったのか剥ぎ取ろうとした。


「ランダ……このショールはしたままがいい……。恥ずかしがっているわけではないんだ……」


ランダは不思議そうに私の顔を覗き見る。だから私はショールの端を握って、顔に寄せた。恥ずかしいわけではないと言いながら、本心を言うには少し照れ臭かった。ランダは安心したように息を吐き、笑って私を受け入れてくれる。


「そんなに気に入ってくれたか?」

「うん。これをしてると、素直になれる……」


素直に、ランダが望む私になれる気がする。


「まだ素直には、なれていないか?」


ランダは嬉しそうに私の頬に吸いつき答えを待っていた。しかし私は待ちきれなかった。


「ランダに抱かれたくて、準備をしていたんだ。ダグラスに教わったらしいが、それは不要だ。だから……今日は……もう……」


ランダは驚いた顔で、急に起き上がった。本心を曝けだしすぎただろうか。


「ああ……どうせダグラスなんてつまらない抱き方しかしないからな……」


笑顔を咲き誇らせたランダに、下っ腹がキュッと締め付けられる。


「もう欲しい……ランダ……」

「可愛い声を出して……もっと聞かせてくれるか?」


ランダは私の両足を持ち上げ、大きく開かせる。それに息を飲む音に顔を背けると、ランダは嬉しそうに息を弾ませた。そうして母に造らされた無駄な性器に、ランダの熱い切先があてがわれた。


「ぁっ……ん……んんっ」


母の遺品である棒とは比べ物にならないほどの存在感。それは太さや長さといった比較ではない。血管の浮き出たランダの造形は、ゆっくり沈め込まれるたびに腸壁を複雑に刺激する。


「声を殺すならばそのショールを剥ぎ取るぞ」

「ぁ……ランダ……ランダ……アアッ……」

「そうだ。本当に痛くはないか?」

「はやく……もう待てなっ……!」


突然、奥までねじ込まれ、声を失ってしまった。突き抜けるような快楽で、しばらく激しい息しか吐き出せなかった。ランダの喜ぶ声を出そうにも、想像を超える快楽がそれを拒む。


「はぁっ、はっ……。ラ……ンダ……? ランダは大丈夫か……?」

「大丈夫なように見えるか? ミカ、ダグラスのようには優しくできないぞ!」

「私が……ダグラスと寝たことがあるように言うな!」

「ははっ」


大好きな笑顔はパッと咲いたらすぐに散って、真剣な顔に変わる。入れられているだけで息の上がる凄まじい男根。それが一度引き抜かれ、さらに奥に叩き込まれた。


「あぁああああ──っ!」


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