皇帝に追放された騎士団長の試される忠義

大田ネクロマンサー

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第17話 夜の邂逅 ※

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 食事が済んだらお互いのテントに帰る。しかし俺はさっきメアに言われたことが頭の中を巡っていて、寝付けそうになかった。

 散歩がてら、木で囲まれた道を歩き森に向かう。この集会所に来る時に通らなかった、安全な道。この道はすぐ先で森に繋がっているが、同時に険しい崖も近くにあり、方向によっては来ることが難しい。迂回路を間違えば山を越えなければ辿りつかないのだ。

 森はしんと静まり返り、虫の気配まで感じるほどだ。立ち止まればメアの言葉が脳裏によぎる。だからずんずん歩いてすぐに崖に到達してしまった。崖に手をつき、ミオのことを考えていたら、遠くで薪の爆ぜる音がする。

 よく見ると崖の壁面に洞穴があり、そこから僅かに橙の光が漏れていた。直感的に、あの日と同じだと体が突き動かされる。防具も武器も持ち合わせていなかったことから、はやる足取りを必死で抑え、洞窟に忍び寄った。

 洞窟は以前とは違い入り口が狭かったことから、竜神ではないのかもしれないとも思った。しかしここで確かめずに引き返すこともできず、ゆっくりと奥へ進む。薪の爆ぜる最奥にたどり着いた時、美しい碧が目に飛び込んでくる。竜神は腹を地面につけて蹲っていた。

「あ……の……」

 なんと声をかけていいか分からず、曖昧な声を出してしまう。気配に気づいた竜神は、背に丸めた長い首の先だけをこちらに向けた。

「レジー……」

「貴方をずっと探していたのです……貴方に会いたかった……」

「ああ、俺に……嬉しい、な……」

 竜神は鱗を逆立たせブルッと震えた。

「レジー……俺も会えて嬉しいけど……今日はダメだ……ダーニャが借りられなかった……」

 ダーニャが借りられなかったこと、それは発情状態ということか。確かに前にあった時のような服も着ていなかった。竜神はこの大陸で1個体というが、それならばなぜ発情というものがあるのだろう。激しく震え我慢している様子を見ると、理不尽さを感じざるを得ない。

「俺は助けになりませんか?」

 ゆっくりと竜神に近づく。今日は背中の美しい鱗が輝いていた。彼の側で上を見上げると、洞窟は上が吹き抜けており、そこから月光が降り注いでいた。

「あ……ダメだよ……レジー……こっちに来ないで……今日はダメだよ……」

 低い音と高い音が入り混じる不思議な声が俺を牽制する。彼が来てはダメだという理由もよくわかっていた。なにをするかわからない。彼は持てる理性の全てでそう牽制してくれているのに、俺は歩みを止めることができなかった。

 悲痛な顔で俺を見つめる竜神の近くまで来たら、彼の首に抱きついた。

「貴方の助けになりたい」

 低い唸り声をあげ、彼の両腕が伸びてきた。そうして体を起こした彼のふさふさの胸に埋められる。今日の体は以前とは比べ物にならないほど熱く、胸からは焦げたような匂いがするほどだった。しかしそれが熾火のように心地よく、以前のように睡魔に襲われそうになる。

 ふと、特に熱い下の方を見ると、長い物が俺の腹に当たっていた。

「見ないで……レジー……」

「じゃあ、このまま……」

 俺は多分性器であろうそれを手で柔らかく包んだ。

「ダメ……レジー、我慢ができ、ない、レジーが欲しい、レジー……あ、あ、あ!」

 手に包んだ先端は濡れていた。根本は異常に太かったが先端に行くほど細い。人族の性器とは違っていたが先端はかろうじて片手で握れるほどだった。それをゆっくりと扱いていく。先端とは言い難い部分にくぼみがあった。多分ここが人族でいう敏感な場所だと思う。

「はっ、レジー……レジーの手が……そんなにしたら……」

 手が肉で押し広げられ、性器が膨らんだ時、信じられないことが起こる。先端から更に突起が伸びたのだ。

「ここは……触っても痛くないですか?」

「は、ぁ、あ、ダメ……レジー……!」

 その先端は片手では持ちきれなかったことから、もう一方の手と交代で、そっと握る。その時、大量の液体が飛び出した。多分性液なのだろうが、見る角度によって色の違う液体だった。

「あぁ……あ、ぁ、レジー……レジー……」

 ブルブルと体を震わせ竜神は俺を抱き寄せる。さっきの液体は怪物を切り裂いた時のように、ハラハラと空中に消えていってしまった。この大陸の特定の種族は命が尽きる時、こうやって空に帰っていく。竜神の性液もその役目を果たすことなく命尽きて空へ舞う。その美しく悲しい光景に目を奪われた。
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