【完結】もしも願いが叶うならあの時の約束を

私と願いと神様2

[キキッー！][ザザザッ]

「「きゃー！」」
「今女の子が！！」
「は、早く救急車！」

　……。私は今、自分の体を見下ろしている状態。しかも轢かれたという女の子は、私。しかも大量の血が、流れている。それも、多分助からないだろうという量の血が。

「ああ、私、死んじゃうんだ。」

思わず呟いた。けど……誰も聞いていない。だって今の私は、幽霊に近い状態だから。
それに……別に死んでも悲しむ人はいないだろう。未練もない。死んでもいいと、思っていた。今までは。

「今死んだら、潤に会えない…」

　会えなかったら潤は絶対に誤解してしまうだろう。手紙にも『許してくれるなら』と書いてあった。
許して欲しいのは、私の方なのに。
このままなにも伝えれずに、終わってしまう。せめて、もう一度だけでいい。そしたら、潤に伝えれるから。だから、
《1度だけでいいから……潤に会わせて下さい……》
神様が、いるのなら。1度でいい。彼が自分を責め続ける事がないように、私の想いを伝えさせてほしい。
　あのとき言ってしまった言葉を謝りたい。
あの時みたいに戻りたい。
潤に出会って救われたことも。
潤のことが好きだったことも。
好きだったから、離れたくなかったことも。
全部、言いそびれてしまっていたことを。素直に言えなかった言葉を。

《潤に伝える機会を私にください》

　必死にお願いしていた。今まで信じたことのなかった、神様に。
周りはもう静かになっていて、日も沈んでいた。
祈っても祈っても、全く変わらない。
そんなことは慣れていたけど。
今回限りは、お願いだから。

「その願い、俺が叶えてやろうか？」

「……え？」
まさか、本当に……？

「そうだ。俺が神様だよ」