【完結】もしも願いが叶うならあの時の約束を

翠月 歩夢

文字の大きさ
17 / 26

僕と試練と想い出2

しおりを挟む
「埋めた場所……確か、公園だったはず」


 茜と僕が初めて会った場所。
そしていつも遊んでいたあの公園に埋めたはずだ。
だけど、その公園の場所がどこだったか、思い出せない。
その公園は昔住んでた家の近くだった。
それは覚えている。
でも、家の場所を覚えていない。
……もう戻ることはないと思っていた。
茜に必ず戻るとは言っていたけれど。
約束しておきながら本当はその約束を守ろうとはしていなかったのかもしれない。
 だけど。今は違う。
思い出すんだ。どこだったか、どうしたかったのか。
 とりあえず、進む方を決めないと。


「こっちかな……?」


足を一歩踏み出した時。


[ガタッ]
[ガラガラガラッ]

「……え?」
 僕がたっていた道の、今まさに僕が進もうとしていた方の道においてあった工事用の物が落ちて道を塞いでいる。
この道は1本の道だ。
つまり今の状態では僕は塞がれていない方の道に進むしかない。
途中で分かれる道はだいぶ先にある。
しばらくは行く先に悩まないだろう。
もしかしたら思い出すかもしれないし。

「あ、この道……」
通ったことがある気がする。
なんとなく懐かしい感じ。
こっちの道で合ってたのかな……?
昔公園に行く時に通ってた道、なのかも
でも……思い出せてはいない。

「どうしよう……どっちに行けば……?」
 道が分かれている。
ついに分岐路に来てしまった。
どちらの道に進もう……。
どっちを見てもあまり変わらないように見える。全くもって分からない。


[ガサッ]
「にゃーお」
[ガサガサッ]
「ふみゃあー!」

「…………」
 猫が道を歩いて茂みの方へ向かった。
そしたら何かに引っかかってつまづき、それに襲いかかったらしい。
 こっちの道に進んでみよう。
なんだか気になるし。
それにしてもさっきから僕が悩んでいる時に限って何か起こるな。
誰かが手助けしてくれてるみたいだ。
この道もしばらくは分岐がないようだ。
 ……ん? なんかあれ見覚えがあるな……。
なんだろう。あの置き物。

「あ、思い出した……」

 この道は通ったことがある。
ここには変な置き物が置いてあった。
誰かの家の前においてあるんだけど、なんの置き物かよく分からない。
そして、その事を茜に話したことがあった。
公園に向かう途中にあるんだと。
 ということは。
この道は僕が公園に向かう道で、今通ってる道はその公園に続いている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。

西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。 私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。 それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」 と宣言されるなんて・・・

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

愛する人のためにできること。

恋愛
彼があの娘を愛するというのなら、私は彼の幸せのために手を尽くしましょう。 それが、私の、生きる意味。

初恋にケリをつけたい

志熊みゅう
恋愛
「初恋にケリをつけたかっただけなんだ」  そう言って、夫・クライブは、初恋だという未亡人と不倫した。そして彼女はクライブの子を身ごもったという。私グレースとクライブの結婚は確かに政略結婚だった。そこに燃えるような恋や愛はなくとも、20年の信頼と情はあると信じていた。だがそれは一瞬で崩れ去った。 「分かりました。私たち離婚しましょう、クライブ」  初恋とケリをつけたい男女の話。 ☆小説家になろうの日間異世界(恋愛)ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18) ☆小説家になろうの日間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18) ☆小説家になろうの週間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/22)

離れて後悔するのは、あなたの方

翠月るるな
恋愛
順風満帆だったはずの凛子の人生。それがいつしか狂い始める──緩やかに、転がるように。 岡本財閥が経営する会社グループのひとつに、 医療に長けた会社があった。その中の遺伝子調査部門でコウノトリプロジェクトが始まる。 財閥の跡取り息子である岡本省吾は、いち早くそのプロジェクトを利用し、もっとも遺伝的に相性の良いとされた日和凛子を妻とした。 だが、その結婚は彼女にとって良い選択ではなかった。 結婚してから粗雑な扱いを受ける凛子。夫の省吾に見え隠れする女の気配……相手が分かっていながら、我慢する日々。 しかしそれは、一つの計画の為だった。 そう。彼女が残した最後の贈り物(プレゼント)、それを知った省吾の後悔とは──とあるプロジェクトに翻弄された人々のストーリー。

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

処理中です...