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好きになったきっかけ
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「じゃあ、また明日ね」
そう言って僕と彼女は分かれた。彼女の顔は僕と話す前より明るくなっていた。きっと今日話してくれたことで、『彼』に告白するという不安を少しでも軽く出来たんだろう。
2人っきりで話せる、それほどまでに僕達の仲が進展したのはいつ頃だっただろうか。
初めて言葉を交わした日から僕達は少しずつ友達として距離が近づいていった。それは彼女の明るい性格がもたらした結果だった。
「あ、おはよ!」
「……おはよう」
初めは挨拶を交わすだけ。彼女は僕を見かける度にその、見る人までが笑顔になるような可愛らしい笑顔で話しかけてくる。
毎日、まっすぐ透き通った瞳で僕の目を見ながら声をかけてくれる。
「あっ、髪切ったの?」
「うん。そうなんだ」
「へー、似合ってるね!」
「……ありがとう」
次は軽い雑談をするようになった。彼女は人のことをよく見ていて少しの変化にもすぐ気づく。
困っている人がいたら迷わず助けるし落ち込んでいたらそれとなく手を差し伸べる。もちろん髪型が変わったということに気づくなど造作もない。
「あー、今日もそれ食べてる!」
「……だって安くて美味しいから」
「もう、メロンパンばっか食べてちゃダメでしょ」
「えー……美味しいのに」
彼女と話すことが増えた。席替えがあり、席が近くなったのも要因だろう。今では彼女と話すことが日課のようになっている。
それに今までよりも沢山の表情を見ることが増えた。笑った顔や真剣な顔、驚いた顔とか。本当に見ていて楽しくなるほどコロコロと顔が変わる。
彼女を眺めていることが多くなった気がする。
「……うっ、ぐすっ…………」
初めて、泣いているところを見た。誰もいない教室の隅で声を押し殺しながら、泣いている。
僕がそこに出くわしたのはただの偶然だけれど…………力になりたいと思った。彼女のことが本気で心配になったんだ。
「……何か、あったの?」
僕は彼女に問いかける。彼女は酷く驚いた顔をして僕の方を見て……笑った。無理やり作ったような笑顔で。
それはいつも僕が目にする花が咲くような笑顔とは違う、寂しく辛さを滲ませる……そんな顔だった。
「……な、何でもないよっ」
慌てたように君は言う。さっきから崩そうとしない笑顔のままで。
「でも……そんな風には、見えないよ」
「…………っ」
息を飲むのが聞こえた。もう、表情も崩れてしまっている。
いつもキラキラと輝く瞳には涙が滲んでいて……まるで見たことのないような酷く悲しそうな顔をしていた。
「……僕でよかったら、相談に乗るよ?」
ありがとう、と言い話し出した。
「実はね…………」
話によると最近、飼っていた犬が会えない場所へと旅立ってしまったらしい。どうやら泣いていた理由は僕の想像とは違うようだ。合っていなくて良かったのだけれど。
これがきっかけとなり僕達は今までより色んなことを話すようになった。お互いの悩みや軽い相談をして、知ることのなかった新たな一面を知り……。
この時から既に僕は彼女に恋をしていたのだと思う。僕が、気づかなかっただけで。何故ならもう彼女のことを考えない時間が無いくらいだったのだから。
彼女と話すようになって僕は変わった。毎日学校に行くのが楽しくて、彼女に会えるのが楽しみで仕方なくて。
彼女の挨拶1つで僕は思わず口元が緩んでしまうし、彼女と話せば時間を忘れて話し込んでいる。
いつだか彼女に『私にとっては 1番の友達だ』と言われたことがある。その言葉を口にした彼女はとても可愛くて、思わず見蕩れるほどに美しかった。
「…………はぁ」
無意識にため息がこぼれ落ちる。彼女のことを思えば思うほど、どれだけ僕が彼女に恋をしているのかを自覚してしまう。
君以上に好きな人なんてこの先出来るのだろうか。初めて好きになった人だと言うのに、君には好きな人がいて。僕の初恋は叶わない。
自室のベッドに横になり考えた。やっぱり僕は本当に彼女のことが好きなんだ。
ごめんね、好きになってしまって。この想いを伝えたら……きっと君を困らせてしまうから。僕は友達として、君と接していくから。
そう言って僕と彼女は分かれた。彼女の顔は僕と話す前より明るくなっていた。きっと今日話してくれたことで、『彼』に告白するという不安を少しでも軽く出来たんだろう。
2人っきりで話せる、それほどまでに僕達の仲が進展したのはいつ頃だっただろうか。
初めて言葉を交わした日から僕達は少しずつ友達として距離が近づいていった。それは彼女の明るい性格がもたらした結果だった。
「あ、おはよ!」
「……おはよう」
初めは挨拶を交わすだけ。彼女は僕を見かける度にその、見る人までが笑顔になるような可愛らしい笑顔で話しかけてくる。
毎日、まっすぐ透き通った瞳で僕の目を見ながら声をかけてくれる。
「あっ、髪切ったの?」
「うん。そうなんだ」
「へー、似合ってるね!」
「……ありがとう」
次は軽い雑談をするようになった。彼女は人のことをよく見ていて少しの変化にもすぐ気づく。
困っている人がいたら迷わず助けるし落ち込んでいたらそれとなく手を差し伸べる。もちろん髪型が変わったということに気づくなど造作もない。
「あー、今日もそれ食べてる!」
「……だって安くて美味しいから」
「もう、メロンパンばっか食べてちゃダメでしょ」
「えー……美味しいのに」
彼女と話すことが増えた。席替えがあり、席が近くなったのも要因だろう。今では彼女と話すことが日課のようになっている。
それに今までよりも沢山の表情を見ることが増えた。笑った顔や真剣な顔、驚いた顔とか。本当に見ていて楽しくなるほどコロコロと顔が変わる。
彼女を眺めていることが多くなった気がする。
「……うっ、ぐすっ…………」
初めて、泣いているところを見た。誰もいない教室の隅で声を押し殺しながら、泣いている。
僕がそこに出くわしたのはただの偶然だけれど…………力になりたいと思った。彼女のことが本気で心配になったんだ。
「……何か、あったの?」
僕は彼女に問いかける。彼女は酷く驚いた顔をして僕の方を見て……笑った。無理やり作ったような笑顔で。
それはいつも僕が目にする花が咲くような笑顔とは違う、寂しく辛さを滲ませる……そんな顔だった。
「……な、何でもないよっ」
慌てたように君は言う。さっきから崩そうとしない笑顔のままで。
「でも……そんな風には、見えないよ」
「…………っ」
息を飲むのが聞こえた。もう、表情も崩れてしまっている。
いつもキラキラと輝く瞳には涙が滲んでいて……まるで見たことのないような酷く悲しそうな顔をしていた。
「……僕でよかったら、相談に乗るよ?」
ありがとう、と言い話し出した。
「実はね…………」
話によると最近、飼っていた犬が会えない場所へと旅立ってしまったらしい。どうやら泣いていた理由は僕の想像とは違うようだ。合っていなくて良かったのだけれど。
これがきっかけとなり僕達は今までより色んなことを話すようになった。お互いの悩みや軽い相談をして、知ることのなかった新たな一面を知り……。
この時から既に僕は彼女に恋をしていたのだと思う。僕が、気づかなかっただけで。何故ならもう彼女のことを考えない時間が無いくらいだったのだから。
彼女と話すようになって僕は変わった。毎日学校に行くのが楽しくて、彼女に会えるのが楽しみで仕方なくて。
彼女の挨拶1つで僕は思わず口元が緩んでしまうし、彼女と話せば時間を忘れて話し込んでいる。
いつだか彼女に『私にとっては 1番の友達だ』と言われたことがある。その言葉を口にした彼女はとても可愛くて、思わず見蕩れるほどに美しかった。
「…………はぁ」
無意識にため息がこぼれ落ちる。彼女のことを思えば思うほど、どれだけ僕が彼女に恋をしているのかを自覚してしまう。
君以上に好きな人なんてこの先出来るのだろうか。初めて好きになった人だと言うのに、君には好きな人がいて。僕の初恋は叶わない。
自室のベッドに横になり考えた。やっぱり僕は本当に彼女のことが好きなんだ。
ごめんね、好きになってしまって。この想いを伝えたら……きっと君を困らせてしまうから。僕は友達として、君と接していくから。
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