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過去との邂逅
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しおりを挟む「お前たちSランクを担当する、木咲=ユリシス=ハイエンナールだ。これから一回目の訓練に入る。最初の討伐実習は五日間の野営を行う。心してかかるように」
集合場所に指定された森の入り口は、昼でも明かりが必要なほど薄暗かった。
森を背に立つのは、担当魔騎士の木咲。
風花はSランクの生徒三人と、その前に横一列に並んでいた。
風花以外に前衛が一人。後衛が一人。そして喩術士が一人の少数精鋭だ。
腰にかかるほどの銀髪を三つ編みに結わえた木咲は、一同をぐるりと見渡してから口を開いた。
「実習の間、私のことは隊長と呼ぶように。これからお前たちに実習中の名前を授ける。私はその名で指導する。それが、この夏学期の実習の決まりだ」
「……っ」
風花の背中を形容しがたい悪寒が駆け抜けた。
木咲から名前を授かる、というその行為が、風花を酷く不快にさせた。
ふう。
頭の中にライルの声がリフレインする。
嫌悪の理由はなんとなく理解していた。
精霊が気に入った主人の元で名をねだるのと同じ。
人間は精霊を名で縛る。それは、契約と言われる行為だ。
風花は精霊ではないが、精霊に限りなく近い気質であるが故に、理解してしまった。
ライルに、名を付けてほしかった理由も。
今、木咲に、ほかの誰かに名を付けられたくない理由も。
「お前たちは所属する隊が分かれているな。私はそれぞれの隊の番号で呼ぶことにする。左からサン、ジュウゴ、ハチ、ヨンだ。呼ばれたら返事をするように」
木咲は三隊、十五隊、八隊、そして風花の四隊からそれぞれ生徒に番号を振った。
担当魔騎士が生徒に名前や番号を付けて呼ぶことは一般的である。
担当魔騎士には、生徒の素性は伝えられない。
それは、貴族などの子女が混じっていても、手を抜くことなく、対等な訓練を積ませるためであった。
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