【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる

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第1章

追跡劇の幕開けと岩場の奇襲

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 わざと物音を立て、僅かな痕跡を残しながら、俺はアッシュ村を背に森の中へと駆けていた。プルは肩の上で周囲の気配を探り、リンドは音もなく、しかし力強い足取りで俺の後ろをついてくる。

(来たな……追ってきてる)

 プルの微かな合図で、後方から複数の人間が追跡してきていることを確認する。騎士団の斥候部隊、おそらく俺が村の近くで見かけた五人組だろう。俺の挑発に乗ってきたようだ。

 彼らは訓練されているだけあって、追跡の速度は速い。だが、俺もレベルアップとスキル強化の恩恵で、身体能力は以前とは比べ物にならないほど向上していた。本気で逃げれば撒くことも可能だろうが、それでは意味がない。彼らを引きつけ、そして叩く。それが今回の目的だ。

「……もう少しだ」

 俺は事前に目星をつけていた場所――狭く、ゴツゴツとした岩が折り重なるように連なる岩場地帯――へと進路を取った。ここは見通しが悪く、足場も不安定だ。奇襲を仕掛け、敵の連携を乱すにはうってつけの場所だった。

 背後から聞こえる追跡者の気配が、徐々に近づいてくる。彼らの会話が断片的に聞こえてきた。
「……間違いない、この先だ! あの忌々しいトカゲの足跡もあるぞ!」
「フン、逃げ足だけは速いようだな、追放者のなり損ないが」
「油断するな。あのトカゲ……竜だという噂もある。それに、妙なスライムも連れているとか」
「構うものか。我ら王国騎士団の精鋭が、そんなものに遅れを取るはずがないだろう。さっさと捕らえて、隊長にご報告するぞ!」

(……舐めてくれる)

 その油断が命取りになると思い知らせてやる。俺は岩場の入り口を抜け、待ち伏せに適した影へと滑り込んだ。プルとリンドも、アイコンタクトだけでそれぞれの配置につく。

 やがて、五人の騎士団兵が岩場へと足を踏み入れてきた。先頭の男が、いかにも斥候のリーダーといった風情で、油断なく周囲を見渡している。だが、死角からの奇襲までは予測できていないだろう。

(……今だ!)

「プル!」
「ぷるしゅぅぅぅ!!」

 俺の合図と共に、プルが岩陰から飛び出し、斥候たちの足元を目掛けて広範囲に《粘着液》を散布!
「なっ!? うわっ!」
「足が……!?」

 突然の奇襲と、ぬかるむ足元に斥候たちが体勢を崩す! さらにプルは続け様に《ウォーターカッター》を放ち、彼らの注意を自分に引きつけた!

「リンド!」
「キュアアアアアッ!!」

 粘着液を避け、岩壁を蹴って飛び出したリンドが、斥候たちの頭上から威嚇の咆哮を轟かせる! 同時に、口から灼熱の熱波を放射! 完全な炎ではないが、その熱量は凄まじく、斥候たちの鎧を赤熱させ、陣形を完全に崩壊させた!

「ぐあっ! 熱い!」
「竜だ! やはり本物の竜だったか!」

 混乱が斥候たちを支配する。その最大の隙を、俺は見逃さない!

(もらった!)

 影から飛び出し、強化された脚力で一気に加速! 目標は、リーダー格の男から離れ、孤立しかけている最後尾の兵士!
「な……速い!?」

 兵士が驚愕の声を上げるが、もう遅い。俺は新調した剣を抜き放ち、最短距離で懐に潜り込むと、鎧の隙間――脇腹を目掛けて鋭く突きを入れた!

「がはっ……!?」

 確かな手応え。兵士は短い呻き声を上げ、その場に崩れ落ちた。

「ロイド!? き、貴様ぁっ!」

 仲間がやられたことに気づいたリーダー格の男が、怒りに顔を歪めて剣を抜く。他の三人も、混乱から立ち直り、それぞれ武器を構えて俺たちを取り囲もうとする。

「小癪な真似を……! 全員、殺せ!」

 リーダーの号令で、残りの四人が同時に襲い掛かってきた! さすがは騎士団、立て直しが早い。だが――

「遅いんだよ!」

 俺は【収納∞】から即座に回復ポーションを取り出し、先ほどの戦闘で受けた微細な傷を癒す。さらに、時間停止空間に入れておいた煙幕玉を一つ取り出し、足元に叩きつけた!

 ボンッ!

 白い煙が辺り一面に広がり、騎士団兵たちの視界を奪う!
「なっ、煙幕だと!?」
「どこだ! どこにいる!」

 視界を奪われ、混乱する兵士たち。だが、俺にはプルの索敵能力がある。彼らの位置は手に取るように分かった。

「プル、左の二人を頼む! リンド、右のリーダー格を!」

 煙幕の中、俺は指示を飛ばす。プルは水の刃を飛ばして二人を牽制し、リンドは巨体を生かした突進と爪でリーダー格の男に襲い掛かる!

 そして俺は、残った最後の一人の背後へと音もなく回り込んでいた。

「――チェックメイトだ」

 俺の呟きと同時に、剣が閃く。
 騎士団兵の短い悲鳴が、煙の中に吸い込まれていった。
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