【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる

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第1章

夜空へ

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 俺が遠隔起爆装置のスイッチを押し込んだ、まさにその瞬間。倉庫の奥深く、魔力増幅器の中枢部で、ボルガン親方特製の小型爆弾が炸裂した!

 ドゴォォンッ!!

 指向性を持たせた爆発は、的確にエネルギー制御コアを粉砕! 直後、制御を失った膨大な魔力が逆流し、増幅器全体が断末魔のような甲高い悲鳴を上げる! 紫色の閃光が走り、装置が内側から弾け飛ぶように激しく損傷! 周囲の怪しげな機械や魔法陣も連鎖的に爆発を起こし、火花と金属片、そして濃密な瘴気が実験室エリア全体に撒き散らされた!

「ぐわあああっ!」
「エネルギーが逆流する! 止めろ!」
「ダメだ! 制御不能だ!」
「くそっ、あの侵入者め!」

 倉庫内は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。爆風と破片で多くの研究員や諜報員が吹き飛ばされ、あるいは負傷し、パニックに陥っている。魔力増幅器から漏れ出したエネルギーが引火したのか、倉庫の一部では黒煙と炎が上がり始めていた。

(よし! 破壊は成功だ!)

 俺はこの混乱を好機と見て、即座に行動を開始した。
「プル、行くぞ! 脱出だ!」
「ぷるっ!」

 俺たちは資材の影から飛び出し、脱出ルートへと向かう。もはや隠密行動の必要はない。ただ、この地獄から一刻も早く抜け出すのみ!

「待て! 逃がすな!」
「侵入者を追え!」

 混乱の中からも、まだ動ける兵士や諜報員が俺たちの脱出に気づき、追撃してくる! 彼らは怒りと憎悪に満ちた目で、武器を構えて迫ってきた!

「邪魔だ!」

 俺は【収納∞】から、斥候から奪っておいた手榴弾のような小型の魔道具(おそらく閃光弾か催涙弾だろう)を複数取り出し、追手の足元へ投げつける!

 パンッ! パンッ!

 眩い閃光と刺激性のガスが炸裂し、追手の足を鈍らせる!
「目が、目がぁ!」
「けほっ、けほっ!」

 さらに、通路の狭い場所に差し掛かったところで、オークの盾や壊れた木箱などをスキルで瞬間的に出現させ、物理的な障害物を作り出す!

「プル、援護!」
「ぷるしゅー! カッター!」

 プルも振り返りざまに《粘着液》と《ウォーターカッター》を放ち、追撃を妨害する!

 俺たちは事前に見当をつけておいた地下へと続く隠し通路(おそらく物資搬入用に使われていたものだろう)へと飛び込んだ。背後で追手の怒号が遠ざかっていく。
 薄暗く、埃っぽい地下通路を駆け抜け、地上へと続く別の出口から飛び出すと、そこは倉庫街から少し離れた、人気のない路地裏だった。

「キュルルゥ!」

 ほぼ同時に、夜空からリンドが舞い降りてきた! 倉庫での爆発音と騒ぎを聞きつけ、俺たちを迎えに来てくれたのだ。陽動も上手くいっていたようだ。

「リンド、ナイスタイミングだ!」

 俺はプルを抱え、素早くリンドの背に飛び乗る! リンドは力強く翼を羽ばたかせ、俺たちを乗せてドワーダルの夜空へと急上昇した!

 眼下には、炎と黒煙を上げる第7倉庫が見える。周囲には街の衛兵や野次馬が集まり始めているようだが、もう俺たちを追ってくる者はいないだろう。

「はぁ……はぁ……やった、な」

 夜風を受けながら、俺はようやく安堵の息をついた。激しい疲労感が全身を襲うが、それ以上に大きな達成感が胸を満たしていた。魔力増幅器は破壊し、奴らの計画は阻止したのだ。

「ぷるぅ……(疲れたけど、やったね!)」
「キュル……(当然の結果だ)」

 プルとリンドも、それぞれのやり方で勝利を喜び、互いを労う。

 俺たちは街から少し離れた、安全な森の中へと着陸した。改めて互いの無事を確認し合い、しばし休息を取る。
 これで、ドワーダルを脅かしていた危機はひとまず去った。だが、俺の心は完全には晴れなかった。

(逃げた『氷刃』は、明日の夜にはこの街に来るはずだ。アジトが壊滅したことを知り、奴はどう動く? そして、アルヴィンは……)

 破壊工作は成功したが、根本的な解決には至っていない。敵の本体はまだ健在であり、彼らは必ず次なる手を打ってくるだろう。

「ひとまず、奴らの企みは阻止した。だが、本当の戦いはこれからだ……」

 俺はドワーダルの街の灯りを遠くに望みながら、静かに呟いた。手に入れた一時的な平和。だが、その先にあるであろう、より大きな戦いを見据え、俺は決意を新たにする。
 プルとリンドも、俺の隣で静かに夜空を見上げていた。まるで、これから始まる本当の戦いを予感しているかのように。
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