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【5章】断れない

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【5章】断れない

 リオと、最後に会ってから3日後。
 絵里は土曜日の夜、自室で珍しく1人でビールを飲んでいた。

 この3日間、適当な男に抱かれる気にもならなかった

(何か、後味悪いわね)

 リオとは長年の付き合いだったからだろうか。それとも、まどかが自分という存在のせいで傷ついているからだろうか。

『ごめんなさい。変なこと言っちゃいましたね。よければ、まだお友達でいて下さいね』
 
 彼女の悲しそうな顔は、リオにフラれて絶望していたまどかの顔と、どうしても重なった。

(あ~、もう酒をできるだけ飲んで、寝よ)

 まだ家にはビールだけでなく、焼酎や日本酒も常備してある。
 絵里は冷蔵庫から、冷やしていた秋田の日本酒を取り出した。

 ーーーその時、自分の部屋にあるスマフォが振動し始めた。

(え、こんな夜に誰?···タクヤか、ヨシアキかな)
 
 今自分が付き合っている相手と、セックスフレンドのことを思い出し、絵里はスマフォを見た。

「えっ」

 時間は、午後11時45分を過ぎていた。


  リオからの、メッセージだった。

『すみません、大学の飲み会で終電を逃してしまいました。絵里さんの家に泊まりに行ってもいいですか?』

 既読にしてしまったことを後悔した。
 でも、すぐに返事なんてできるはずもない。
 
(今までの関係ならすぐオッケーしたけど、仮にも告白してきた相手だし。一晩だけでも良いからと言ってたわよね)
 
 そんな相手を泊められるかと言われたら、Noだろう。絵里が返答を困っていると、リオから続けてメッセージがやってきた。

『すみません、先日のことがあったのに。無理なら、漫画喫茶とか行きますので』

(お嬢様のリオが漫画喫茶?そんなこと言われたら、了承せざる得ないじゃない)

 漫画喫茶には個室があるが、決して安全ではない。漫画喫茶での売春行為もあれば、レイプ未遂の事件だってある。
 リオのような美人が行くのは、良くない。

(まぁ、同性だし)

 絵里は、OKというスタンプをリオに送った。

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