オメガの花魁

花園侑

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3話「出会い」

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3話「出会い」

 ユキは月城ユキという名前から源氏名を白雪とし遊郭で働き始めた。
 「楼主さん。よろしくお願いします。」
 「よろしく。君、なんて美しいんだ。うちに来てくれてありがとうね。」
 「はい……。」
 遊郭に新しく入った美しい白雪という者。その噂はすぐに遊郭中に広まった。そして白雪の美しい容姿に客は魅力され客は皆白雪を指名した。それから遊郭に入ったばかりにも関わらず1ヶ月で花魁へと上り詰めた。それもあり腕のいい九条という医者に瑞希を見てもらえることになった。
 「……瑞希、もう大丈夫だよ。病気もあと少しで治るはずだ。もう少しだけ頑張ってくれ。」
 九条家とは医者の家系でどんな病気でも治せる。しかし他の医者よりも何倍もの額がかかる。そしてユキは遊郭での努力もありしばらくすると治療費も必要な額を超えていた。そしてユキはある日手紙を受け取った。
 『お兄ちゃんありがとう。病気は完治したわ。あなたのおかげ。本当にありがとう。これで私も働くことが出来る。だから一人で抱えないで。家に戻ってきて欲しいわ。月城瑞希』
「瑞希……!」
 その手紙を読んだユキは真っ先に店の楼主の元へ行き店を辞めると伝えた。しかし。
 「白雪がいなくなると売上が落ちる。君が来てから10倍にもなったのだぞ。すまないがここにいてくれないか?」
 ユキは心優しく断れない性格だ。「嫌です。」という一言が言えず楼主の言葉に素直に従ってしまった。
 「わかりました。」
 そして結局瑞希のいる家に戻ることが出来ずここで働きはじめて1年経った。その間は瑞希との手紙のやり取りも許されなかった。心配した瑞希からの手紙がたくさん届いた。そしてユキは1年働くうちにここでは自分は商品なのだと。ここでは人間として扱って貰えないということに気づいた。毎晩ひたすらアルファの男の夜の相手。さらにヒートが来ると普段の倍の値段で取引される。そんな扱いにユキは少しずつ心を病んでしまっていた。
 「……家に帰りたい。瑞希……。」
 そうつぶやきながら毎日を遊郭で過ごした。そんな時、ユキを最も苦しめたある出来事が起こる。
 「妊娠してるね。このままだと接客できないから堕ろしてね。」
 楼主にそう言われ身ごもった子を殺めてしまった。それからユキは接客中以外は部屋にこもりずっと涙を流した。
 「……ごめんなさい、ごめんなさい。」
 と謝罪の言葉を呟いていた。そんな時ある男がユキを指名した。
 「九条圭司です。」
 彼はユキを犯そうとはせず彼の異変に気づき優しく話しかけた。

 「あなただけです。私のことを気にしてくださるのは。本当に嬉しい。」
 ユキは気づいたら涙を流していた。その様子を見た九条は気づいたらユキを抱きしめていた。
 「……!!」
 雪は驚いて目を丸くする。九条は
 「すみません!」
 とすぐに離れた。
 「いいえ。九条さんは優しいですね。みんな私のことをただ犯すだけなんだ。ここじゃそれが当たり前なんだけど。でもあなたは私の話を聞いてくださった。こんなの、はじめてです。」
 「あなたが苦しそうに見えたので少しでも楽になればと思って。俺はあなたを犯しません。明日も来ます。あなたともっとお話がしたい。つらいこと、少しでもなくなって欲しい。」
 「ええ。待ってます。」
 「では今日はこれで失礼します。」
 「はい。また明日。」
 九条が帰ったあと。ユキは彼のことを考えていた。
 (……あの人に身請けして欲しいな。絶対彼は私の運命の人だ。)
 ちょうど同時刻の九条も同じことを考えていた。
 (ユキさん……。彼を身請けして遊郭から逃がしてやりたい。俺が彼を守りたい。そして瑞希さんも……。)
 九条は以前ユキの妹瑞希の病気を診ていた医者だ。半年前に彼女の病気は九条の努力により完治した。

 九条が瑞希の病気が治したあと。
 「九条先生。お兄ちゃん。私のお兄ちゃんが遊郭にいるんです。白雪という名前で。連絡が取れなくて。お願いします。様子を見に行ってくださいませんか。」
 「わかりました。」
 見に行くと一際目立つ美しい花魁がいた。白雪花魁だ。しかし医者をしている九条は白雪がなにかに苦しんでいるのを感じ取った。それから瑞希に言われたのもあるが個人的にも彼が気になったため白雪花魁を指名した。
 (先程少し話しただけでもわかる。ユキさんは心優しく美しい。あんなところで苦しむべきじゃない。)
 
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