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飛頼はカフェのドアを開けたまま話を切り出す。
「はい ちょっと聞きたい事がありまして……」
「とりあえず座って落ち着いてはどうかの?」
「いえ、ここで聞きたいのですが……ドア開けっ放しじゃまずいですか?」
「誰かに聞かれても理解できん話じゃ 構わんよ 換気してくれるとはありがたい」
優志はそう言って笑うが飛頼は一切笑わなかった。
(部屋には入らずいつでもここを脱け出せる状況にしとかないとな マジでこの部屋にはトリックありそうだし……)
そう考える飛頼を察するように優志は明るく話続ける。
「疑うほど怪しい者に見えるかもしれんが君に無害と言うことは確実じゃよ」
その言葉を聞いても飛頼は店内には入らず本題に入り始める。
「学校に化け物が出ました。丸で現実には存在しないようなヤツです。この前聞いた話と見た夢の後ですぐあんなヤツが出てくるのが偶然と思えないのですが あの化け物を学校に呼んだのは貴方ですか?」
「わしがそんな化け物を学校に呼んでも何のメリットもないが……何故そう思うのかな?」
「思い上がりかもしれないけどこの前見たり聞いたりした話の後で俺がどう行動するのかを貴方が判断するため……とか?」
「う~ん 鋭いが残念ながら呼んだのはわしではない そして呼びはしていないが消しはした」
「え?どう言う意味ですか?」
優志は飛頼の問いにテレビをつけて見せる。テレビではニュースが流れ、アナウンサーが話している。
「昨日 青果野中学校の3年Bクラスに現れた不審者の遺体が科学研究所から消失したとのニュースが入りました この消失した……」
飛頼はニュースを聞き、優志の言葉の意味を理解する。
「どうやってやったんですか?」
「こう見えて顔が広いんじゃよ 警察にも知り合いがおっての あれは地球に置いておくわけにはいかん だから撤去してもらった」
「では俺の机の中に銃を忍ばせたのは貴方ですか?」
「君には悪いことをしたの」
「それって俺のクラスにあの化け物が来るって分かってたってことなんじゃないんですか?」
「その通り この前ここで話した時からあれが君の前に現れることは予想できた だからわしは君にちょっとしたマジックをかけた……」
「ちょっ!ちょっと待ってください!あの時からですか?あの会話が原因で!?」
「うーん半分正解で半分不正解 正しくは会話をする前の出来事」
「このプレートが見せた過去と未来?」
飛頼はそう言って未だ壁にあるアイデックを見る。
「過去と未来を見る前の君の心が原因じゃよ」
「俺の心……ですか……」
飛頼は優志の答えの意味が解らなかった。
「あの時君は何故ここで突然気を失ったと思う?」
「それは……このプレートが俺に過去と未来を見せるため……?」
「う~ん また半分正解じゃが 何故君はアイデックに当てられたか?ということじゃよ 過去と未来もアイデックが見せようとしたものじゃ しかしそれだけのためにアイデックが人にエルガイアを集中させることはない」
「俺が何かを考えたり思ったりしたから……」
「あの時ここで殺人事件のニュースが流れていたのは覚えているかね?」
「あ~……あ!はい!」
「そのニュースを聴いてどう思ったかね?いや そのニュースだけじゃない 人が人を殺めること 苦しめること 一方的に攻撃すること 騙したり 相手の人格 事情を無視した行動をどう思うかね?」
飛頼は優志が言ったような行動を嫌う人間だったが、同時にそれをした者、しようする者に同じ事、又はそれ以上の事をしても許されると考える人間だった。
「人を傷つけて平気でいるヤツはそれ以上に痛めつけないといけないって思います 1番の理想は傷ついた本人が報復することですが それは中々出来ない ではその人の周りの人が代わりに報復できれば良いですがそれも出来ない だって『どんな理由があっても人を傷つけることは許されない』とまともな人間なら理解しているから つまりいつも攻撃するのは相手を考えない道徳のないやつらで攻撃されるのは道徳のあるまともな人間 俺はこんなこと間違ってると思います」
「では君は報復のための攻撃は許されるべきだと?」
「そこが難しくて 何でもかんでもOKにしたらいろんなところで争いが始まる だから俺は絶対に答えを間違えない第三者が報復したら良いと思います」
「そしてそれは自分だと思うかね?」
「え……?」
飛頼は言葉にはしなかったが内心思っていた。自分に絶対の力があればその報復する役をやるべきだと。
「まあ……俺に力があればですが……今の俺が誰かを攻撃しても返り討ちにされる可能性が高いですし」
「力が無くて良かったの 君は人を傷つけることはなさそうじゃ」
飛頼は優志にそう言われて違和感が残る。
(いや その言い方だと丸で力があって誰かのために動くことが間違ってるみたいにも聞こえるけど……俺は誰にも負けない力があればその力を有効活用したいと思ってるし……)
「でも 誰かがやらないと……そう言った理不尽は無くなら……!?」
話しかけて飛頼はアイデックを見る。
(そうか この人は俺が力を求めているかいないかを見てるんだ あのプレートは確か力を与えもし 奪いもするって言ってた そして奪っているときは現れ 与えると消えるって つまりあのプレートは今力を持ってる 俺がマジで望めば 俺に与えて消えるのか?)
「力を得たら何か代償があるんですか?例えばこの前の話みたいに心を削られるとか 」
「いや 何もない 普通の人間の君に与えられたところでこのアイデックの力を引き出せるのは1割程度 君がもしアティスやヴァイスと言った人間を越えた存在なら5割は引き出せるが暴走したり 疲弊するだろう つまり今の君にはちょうど良い力を与えられるんじゃよ」
飛頼は完全には信用していないが内心期待が高まっていた。
(もし本当ならいつも思ってたことができる!少なくても俺の周りの理不尽で苦しんでるヤツらを助けられる!)
そう思った瞬間だった。飛頼はアイデックの目のオブジェがこっちを見た気がし、緊張が走る。気のせいかと気をとられた瞬間一瞬目の前が真っ白になったかと思うと次の瞬間には重くのしかかるような力が飛頼にかかる。
「くっ!」
酷く汗をかき、崩れ落ちる飛頼はさっき自分が力に期待が高まったことを思いだし、後悔する。
(しまった 思わず力を得た後のこと考えたら……楽しくなっちまった……まさか……もう力が俺に……)
倒れながら飛頼は朦朧とする意識の中でアイデックが掛けてあった壁に視線を送る。そこには既に何もなく、飛頼は状況を理解した。
(まずい……マジで変な力もらったんじゃ……)
またしても飛頼はカフェで気を失うこととなった。
ーー
「ん……?」
飛頼は目覚めるとこの前見た過去の場所と同じような壮大に広がる大地の上に立っていた。
「またあの話の世界か?確か……ビュート……だっけ?」
立ち尽くす飛頼の後ろから涼しい風が吹き始める。
「この風最高」
飛頼は清涼感のある風に浸っていると体の左側に違和感を覚える。
「何か……変だな」
そしてその違和感は突然具現化され、飛頼は目を見開く。
「羽!?」
飛頼の左側に黒い翼のような光が現れ、飛頼は自分の背中を触って確認する。
「俺から生えている訳ではないのか?でも体を捻ると動きに合わせてついてくる」
左にばかり意識が向いていると次は右からも何かを感じとる飛頼。
「またか!?こっちは白い」
言葉通り右にはさっきのような光が白く現れた。
「これは……」
ーー
「ん……ん?」
飛頼は不思議な夢から覚め、カフェ内のソファーに眠っていることに気づく。
「君はここで気を失うのが得意じゃの」
「ハハ……は!あのプレートは!?」
「アイデックなら消えたよ」
「てことは……」
「わしが前話したことを覚えているようじゃの」
「なら……あのアイデックとか言うやつの力は……」
「君に継承された」
「まだ聞きたいことがあったのに……副作用的な事とか……」
「はは……心配せずともそんなものはないよ 単純に君と言う存在が強くなっただけと思っても良い」
「でもヤバイヤツの力を継承したんでしょ? 力を奪うしか止める手立てのないヤツの」
「やはり不安要素は多いか……わしは君にマジックをかけたと言ったがその一つが君を守る力じゃ あの時アイデックが君に過去と未来を見せた時点でアイデックは君に強い興味を持ったとわしは確信した アイデックは普通の人間には程よい増強をしてくれるとは言ったがそれは継承が完了したらの話 実際普通の人間にはアイデックのエルガイアは耐えられん わしが君に守る力を与えれば副作用は何もないのじゃ そして一度君の力となればそのエルガイアは沈静化し 君にあった力しか発揮できなくなる」
「はぁ……え? 今一つって……まだ何かトリックが?」
「うむ 付与の力を使って君が危険になったら武器を与えるようにしたり 適応力の力を与えて君が学校で銃を咄嗟に使えるようにしたり そもそも君がどんな人間か計るために君を雨宿りさせてテレビに嘘のニュースを流してみた」
「マジかよ……エルガイアって何でも出来るんですか?」
「熟練度合いで変わる まあ一度手にしたらその力は君の物じゃ 君が正しいと思ったときに使うと良い」
「使うとって……どうやって……」
「君は理不尽をなくすんじゃろ?理不尽の根元を摘み取るんじゃろ?理不尽には理不尽で返すんじゃろ?」
「そうあるべきとは考えていますが……」
「だったら明日君の周囲の理不尽から消してみたらどうじゃ?それともまだ返り討ちが怖いかの?保証しようか 君はもう普通の人間を凌駕した 一度力を見せたら誰も逆らわなくなるじゃろ」
「何人相手でも?」
「何人相手でもな そんなに不安かの?力を望んだのは君じゃろ?」
「正確には望んでいないんです……」
そう言いかけて飛頼は考える。
(いや……実際この力を手にしたらと思ったらワクワクした そうやって期待した時点で望んでんだよな だって思ってたもんな ずっと……理不尽は無くさないといけないって そのために自分に絶対的な強さが欲しいって……正確には望んでない?違う いつも望んでたけど曖昧にしてた 叶わない望みなんて持っても疲れるだけだって……諦めてた でも……それが叶うとわかって俺は望んだんだ……そうだ……!俺は望んだ!使ってやる!この力を!)
「そうですね この力を使いたいと思いました どんな形にせよ それは俺の望みです」
その言葉と共にさっきまであった飛頼の不安が消え、決意する。どんな手を使っても自分の望みを叶えると。
「はい ちょっと聞きたい事がありまして……」
「とりあえず座って落ち着いてはどうかの?」
「いえ、ここで聞きたいのですが……ドア開けっ放しじゃまずいですか?」
「誰かに聞かれても理解できん話じゃ 構わんよ 換気してくれるとはありがたい」
優志はそう言って笑うが飛頼は一切笑わなかった。
(部屋には入らずいつでもここを脱け出せる状況にしとかないとな マジでこの部屋にはトリックありそうだし……)
そう考える飛頼を察するように優志は明るく話続ける。
「疑うほど怪しい者に見えるかもしれんが君に無害と言うことは確実じゃよ」
その言葉を聞いても飛頼は店内には入らず本題に入り始める。
「学校に化け物が出ました。丸で現実には存在しないようなヤツです。この前聞いた話と見た夢の後ですぐあんなヤツが出てくるのが偶然と思えないのですが あの化け物を学校に呼んだのは貴方ですか?」
「わしがそんな化け物を学校に呼んでも何のメリットもないが……何故そう思うのかな?」
「思い上がりかもしれないけどこの前見たり聞いたりした話の後で俺がどう行動するのかを貴方が判断するため……とか?」
「う~ん 鋭いが残念ながら呼んだのはわしではない そして呼びはしていないが消しはした」
「え?どう言う意味ですか?」
優志は飛頼の問いにテレビをつけて見せる。テレビではニュースが流れ、アナウンサーが話している。
「昨日 青果野中学校の3年Bクラスに現れた不審者の遺体が科学研究所から消失したとのニュースが入りました この消失した……」
飛頼はニュースを聞き、優志の言葉の意味を理解する。
「どうやってやったんですか?」
「こう見えて顔が広いんじゃよ 警察にも知り合いがおっての あれは地球に置いておくわけにはいかん だから撤去してもらった」
「では俺の机の中に銃を忍ばせたのは貴方ですか?」
「君には悪いことをしたの」
「それって俺のクラスにあの化け物が来るって分かってたってことなんじゃないんですか?」
「その通り この前ここで話した時からあれが君の前に現れることは予想できた だからわしは君にちょっとしたマジックをかけた……」
「ちょっ!ちょっと待ってください!あの時からですか?あの会話が原因で!?」
「うーん半分正解で半分不正解 正しくは会話をする前の出来事」
「このプレートが見せた過去と未来?」
飛頼はそう言って未だ壁にあるアイデックを見る。
「過去と未来を見る前の君の心が原因じゃよ」
「俺の心……ですか……」
飛頼は優志の答えの意味が解らなかった。
「あの時君は何故ここで突然気を失ったと思う?」
「それは……このプレートが俺に過去と未来を見せるため……?」
「う~ん また半分正解じゃが 何故君はアイデックに当てられたか?ということじゃよ 過去と未来もアイデックが見せようとしたものじゃ しかしそれだけのためにアイデックが人にエルガイアを集中させることはない」
「俺が何かを考えたり思ったりしたから……」
「あの時ここで殺人事件のニュースが流れていたのは覚えているかね?」
「あ~……あ!はい!」
「そのニュースを聴いてどう思ったかね?いや そのニュースだけじゃない 人が人を殺めること 苦しめること 一方的に攻撃すること 騙したり 相手の人格 事情を無視した行動をどう思うかね?」
飛頼は優志が言ったような行動を嫌う人間だったが、同時にそれをした者、しようする者に同じ事、又はそれ以上の事をしても許されると考える人間だった。
「人を傷つけて平気でいるヤツはそれ以上に痛めつけないといけないって思います 1番の理想は傷ついた本人が報復することですが それは中々出来ない ではその人の周りの人が代わりに報復できれば良いですがそれも出来ない だって『どんな理由があっても人を傷つけることは許されない』とまともな人間なら理解しているから つまりいつも攻撃するのは相手を考えない道徳のないやつらで攻撃されるのは道徳のあるまともな人間 俺はこんなこと間違ってると思います」
「では君は報復のための攻撃は許されるべきだと?」
「そこが難しくて 何でもかんでもOKにしたらいろんなところで争いが始まる だから俺は絶対に答えを間違えない第三者が報復したら良いと思います」
「そしてそれは自分だと思うかね?」
「え……?」
飛頼は言葉にはしなかったが内心思っていた。自分に絶対の力があればその報復する役をやるべきだと。
「まあ……俺に力があればですが……今の俺が誰かを攻撃しても返り討ちにされる可能性が高いですし」
「力が無くて良かったの 君は人を傷つけることはなさそうじゃ」
飛頼は優志にそう言われて違和感が残る。
(いや その言い方だと丸で力があって誰かのために動くことが間違ってるみたいにも聞こえるけど……俺は誰にも負けない力があればその力を有効活用したいと思ってるし……)
「でも 誰かがやらないと……そう言った理不尽は無くなら……!?」
話しかけて飛頼はアイデックを見る。
(そうか この人は俺が力を求めているかいないかを見てるんだ あのプレートは確か力を与えもし 奪いもするって言ってた そして奪っているときは現れ 与えると消えるって つまりあのプレートは今力を持ってる 俺がマジで望めば 俺に与えて消えるのか?)
「力を得たら何か代償があるんですか?例えばこの前の話みたいに心を削られるとか 」
「いや 何もない 普通の人間の君に与えられたところでこのアイデックの力を引き出せるのは1割程度 君がもしアティスやヴァイスと言った人間を越えた存在なら5割は引き出せるが暴走したり 疲弊するだろう つまり今の君にはちょうど良い力を与えられるんじゃよ」
飛頼は完全には信用していないが内心期待が高まっていた。
(もし本当ならいつも思ってたことができる!少なくても俺の周りの理不尽で苦しんでるヤツらを助けられる!)
そう思った瞬間だった。飛頼はアイデックの目のオブジェがこっちを見た気がし、緊張が走る。気のせいかと気をとられた瞬間一瞬目の前が真っ白になったかと思うと次の瞬間には重くのしかかるような力が飛頼にかかる。
「くっ!」
酷く汗をかき、崩れ落ちる飛頼はさっき自分が力に期待が高まったことを思いだし、後悔する。
(しまった 思わず力を得た後のこと考えたら……楽しくなっちまった……まさか……もう力が俺に……)
倒れながら飛頼は朦朧とする意識の中でアイデックが掛けてあった壁に視線を送る。そこには既に何もなく、飛頼は状況を理解した。
(まずい……マジで変な力もらったんじゃ……)
またしても飛頼はカフェで気を失うこととなった。
ーー
「ん……?」
飛頼は目覚めるとこの前見た過去の場所と同じような壮大に広がる大地の上に立っていた。
「またあの話の世界か?確か……ビュート……だっけ?」
立ち尽くす飛頼の後ろから涼しい風が吹き始める。
「この風最高」
飛頼は清涼感のある風に浸っていると体の左側に違和感を覚える。
「何か……変だな」
そしてその違和感は突然具現化され、飛頼は目を見開く。
「羽!?」
飛頼の左側に黒い翼のような光が現れ、飛頼は自分の背中を触って確認する。
「俺から生えている訳ではないのか?でも体を捻ると動きに合わせてついてくる」
左にばかり意識が向いていると次は右からも何かを感じとる飛頼。
「またか!?こっちは白い」
言葉通り右にはさっきのような光が白く現れた。
「これは……」
ーー
「ん……ん?」
飛頼は不思議な夢から覚め、カフェ内のソファーに眠っていることに気づく。
「君はここで気を失うのが得意じゃの」
「ハハ……は!あのプレートは!?」
「アイデックなら消えたよ」
「てことは……」
「わしが前話したことを覚えているようじゃの」
「なら……あのアイデックとか言うやつの力は……」
「君に継承された」
「まだ聞きたいことがあったのに……副作用的な事とか……」
「はは……心配せずともそんなものはないよ 単純に君と言う存在が強くなっただけと思っても良い」
「でもヤバイヤツの力を継承したんでしょ? 力を奪うしか止める手立てのないヤツの」
「やはり不安要素は多いか……わしは君にマジックをかけたと言ったがその一つが君を守る力じゃ あの時アイデックが君に過去と未来を見せた時点でアイデックは君に強い興味を持ったとわしは確信した アイデックは普通の人間には程よい増強をしてくれるとは言ったがそれは継承が完了したらの話 実際普通の人間にはアイデックのエルガイアは耐えられん わしが君に守る力を与えれば副作用は何もないのじゃ そして一度君の力となればそのエルガイアは沈静化し 君にあった力しか発揮できなくなる」
「はぁ……え? 今一つって……まだ何かトリックが?」
「うむ 付与の力を使って君が危険になったら武器を与えるようにしたり 適応力の力を与えて君が学校で銃を咄嗟に使えるようにしたり そもそも君がどんな人間か計るために君を雨宿りさせてテレビに嘘のニュースを流してみた」
「マジかよ……エルガイアって何でも出来るんですか?」
「熟練度合いで変わる まあ一度手にしたらその力は君の物じゃ 君が正しいと思ったときに使うと良い」
「使うとって……どうやって……」
「君は理不尽をなくすんじゃろ?理不尽の根元を摘み取るんじゃろ?理不尽には理不尽で返すんじゃろ?」
「そうあるべきとは考えていますが……」
「だったら明日君の周囲の理不尽から消してみたらどうじゃ?それともまだ返り討ちが怖いかの?保証しようか 君はもう普通の人間を凌駕した 一度力を見せたら誰も逆らわなくなるじゃろ」
「何人相手でも?」
「何人相手でもな そんなに不安かの?力を望んだのは君じゃろ?」
「正確には望んでいないんです……」
そう言いかけて飛頼は考える。
(いや……実際この力を手にしたらと思ったらワクワクした そうやって期待した時点で望んでんだよな だって思ってたもんな ずっと……理不尽は無くさないといけないって そのために自分に絶対的な強さが欲しいって……正確には望んでない?違う いつも望んでたけど曖昧にしてた 叶わない望みなんて持っても疲れるだけだって……諦めてた でも……それが叶うとわかって俺は望んだんだ……そうだ……!俺は望んだ!使ってやる!この力を!)
「そうですね この力を使いたいと思いました どんな形にせよ それは俺の望みです」
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