5 / 38
始まり
魔法体験
しおりを挟む
ブルドーザーが本当に具現化された!
これが魔法か? 凄いものだな。俺にも魔法が使えるようになるのだろうか? 使えるようになりたい!
「すごいな!」
「はは、喜んでくれるのは嬉しいが、具現化している間、私の魔力が消費されていくんだ。すまないが、早く使って見せてくれないか?」
「魔力が消費される?」
「常に走り続けて体力を消耗している、という感じだ」
「なるほど、わかった。見ていてくれ」
俺は早速ブルドーザーに乗り込み、荒れた領地を掘り返し、地ならしを行いながら大きな岩を排除していく。燃料のガソリンなどがどうなっているのかはわからないが、恐らく魔力で動いているのだろう。時間の制約は不明だが、機能は問題なく、一時間ほどでかなりの場所を整地できた。
だが、戻ってくると、ブラフが青白い顔で座り込んでいた。
「ブラフ! どうしたんだ?」
「ああ、すまない。思った以上に大きな物を具現化したせいで、魔力の消耗が激しかったみたいだ」
具現化されたブルドーザーが消えると同時に、ブラフはその場で倒れてしまった。
「大丈夫か?」
「魔力は休めば自然に回復するから、少し休ませてくれ」
「こんなところで休むのは危険だ。屋敷に戻ろう」
「少しだけ、少しだけでいいから……」
ブラフの顔色は良くない。この荒地には魔物が出現する可能性もある。今の俺たちは魔避けの魔石を持っていない。俺はブラフを背負って屋敷に戻ることにした。
「……すまない」
「気にするな。それに、お前はもっと食べた方がいい。軽すぎるぞ」
俺はブラフを背負ったまま屋敷まで走り、ベッドに寝かせてから一息ついた。
台所で食事の準備をしながら、これから住むことになる屋敷が、ほとんど手入れされていないことに気づいた。
「まずは、この屋敷を掃除して綺麗にしよう。掃除道具はあるかな? 大工道具を手に入れておいてよかった」
俺は家の中を探し、掃除道具を見つけた。
この屋敷はしばらく誰も住んでいなかったようで、放置されたままだった。ブラフが寝ているベッドもギリギリ使える状態だが、できれば洗って日光に当てたいところだ。
「よし、まずはキッチンから片付けるか。次にリビング、玄関と掃除を進めていこう」
三時間ほど集中して掃除をしていると、ブラフが目を覚まして起きてきた。
「やあ、トオル。迷惑をかけたね」
申し訳なさそうな顔をしているブラフ。その中性的な容姿が色気を漂わせているのか、同性でもどきっとしてしまう瞬間がある。
「気にするな。俺も楽しくなってついやりすぎた」
「はは、そうか。それで、今は何をしているんだ?」
「この屋敷が汚れているから掃除だよ」
「手伝おう」
「じゃあ、自分の部屋から掃除してきてくれ。洗濯はしたことあるか?」
「あ~、ないね」
「料理もしたことがないって言ってたよな?」
「はは、ごめん、役立たずで」
俺は一人暮らしをしていたから家事は慣れているが、この広い屋敷を二人だけで管理するのはさすがに無理がある。
「なあ、金はあるんだよな?」
「うん。支度金として王様からもらってきたよ。それに、三年間は無税で構わないってお墨付きももらってるんだ」
「ほう、やるじゃん。なら、村人を雇わないか?」
「えっ? 雇う?」
「ああ、この屋敷は二人には広すぎる。だから、領地の村人を雇って、掃除や身の回りの世話を手伝ってもらえばいいんだよ」
「うーん、でも村人は少ないし、彼らが働いてくれなければ税が取れないよ」
俺は大工になりたての頃のことを思い出していた。大きな現場で仕事をしているとき、無力さを感じた俺を親方が支えてくれたことがあった。
「すみません。全然何もできなくて……」
「何を言ってやがんだ。今のお前は学んでいる時期だ。お前が成長して、いつか俺を助けてくれればそれでいい。若い奴が育ってくれれば、俺たちも助かる。だから今は俺たちが支えてやるよ」
親方の言葉に感動したことを今でも覚えている。
「最初は税金を集めるより、みんなで協力してこの領地を作り上げる方がいいと思うんだ。小さなことは目を瞑って、後に大きな成果を得る方が大事だってことさ」
「はは、確かにそうだな。これじゃどっちが領主かわからないな」
ブラフは困ったように笑い、少し自信を失っているように見えた。
「……ブラフ」
「うん、トオルの言う通りだ。今の少ない領民から税を取っても意味はない。彼らと信頼関係を築いて育てていく方が、領地の未来につながるね」
ブラフはいい奴だ。俺のような異世界から来た者の意見にも耳を傾け、自分なりに考え行動しようとしている。
この世界に来て、王様からは追放された。無能な能力だと言われてな。それでもブラフと出会えて、今は楽しく過ごせている。これからもブラフと一緒に助け合いながらやっていけたらありがたい。
「よし、まずは屋敷の片付けだ。明日は領民に会いに行こうぜ」
「そうだね。なんだか考え事をしていたらお腹が空いてきたよ」
「おう、そう言うと思ってスープを作っておいたぞ」
「トオルは本当に何でもできるな」
「おいおい、俺は追放された巻き込まれ野郎だぞ」
「はは、もしかしてトオルが一番すごい人かもよ」
「そんなわけないだろ」
俺たちは他愛もない話をしながら食事を楽しみ、その後、屋敷の片付けに取り掛かった。
これが魔法か? 凄いものだな。俺にも魔法が使えるようになるのだろうか? 使えるようになりたい!
「すごいな!」
「はは、喜んでくれるのは嬉しいが、具現化している間、私の魔力が消費されていくんだ。すまないが、早く使って見せてくれないか?」
「魔力が消費される?」
「常に走り続けて体力を消耗している、という感じだ」
「なるほど、わかった。見ていてくれ」
俺は早速ブルドーザーに乗り込み、荒れた領地を掘り返し、地ならしを行いながら大きな岩を排除していく。燃料のガソリンなどがどうなっているのかはわからないが、恐らく魔力で動いているのだろう。時間の制約は不明だが、機能は問題なく、一時間ほどでかなりの場所を整地できた。
だが、戻ってくると、ブラフが青白い顔で座り込んでいた。
「ブラフ! どうしたんだ?」
「ああ、すまない。思った以上に大きな物を具現化したせいで、魔力の消耗が激しかったみたいだ」
具現化されたブルドーザーが消えると同時に、ブラフはその場で倒れてしまった。
「大丈夫か?」
「魔力は休めば自然に回復するから、少し休ませてくれ」
「こんなところで休むのは危険だ。屋敷に戻ろう」
「少しだけ、少しだけでいいから……」
ブラフの顔色は良くない。この荒地には魔物が出現する可能性もある。今の俺たちは魔避けの魔石を持っていない。俺はブラフを背負って屋敷に戻ることにした。
「……すまない」
「気にするな。それに、お前はもっと食べた方がいい。軽すぎるぞ」
俺はブラフを背負ったまま屋敷まで走り、ベッドに寝かせてから一息ついた。
台所で食事の準備をしながら、これから住むことになる屋敷が、ほとんど手入れされていないことに気づいた。
「まずは、この屋敷を掃除して綺麗にしよう。掃除道具はあるかな? 大工道具を手に入れておいてよかった」
俺は家の中を探し、掃除道具を見つけた。
この屋敷はしばらく誰も住んでいなかったようで、放置されたままだった。ブラフが寝ているベッドもギリギリ使える状態だが、できれば洗って日光に当てたいところだ。
「よし、まずはキッチンから片付けるか。次にリビング、玄関と掃除を進めていこう」
三時間ほど集中して掃除をしていると、ブラフが目を覚まして起きてきた。
「やあ、トオル。迷惑をかけたね」
申し訳なさそうな顔をしているブラフ。その中性的な容姿が色気を漂わせているのか、同性でもどきっとしてしまう瞬間がある。
「気にするな。俺も楽しくなってついやりすぎた」
「はは、そうか。それで、今は何をしているんだ?」
「この屋敷が汚れているから掃除だよ」
「手伝おう」
「じゃあ、自分の部屋から掃除してきてくれ。洗濯はしたことあるか?」
「あ~、ないね」
「料理もしたことがないって言ってたよな?」
「はは、ごめん、役立たずで」
俺は一人暮らしをしていたから家事は慣れているが、この広い屋敷を二人だけで管理するのはさすがに無理がある。
「なあ、金はあるんだよな?」
「うん。支度金として王様からもらってきたよ。それに、三年間は無税で構わないってお墨付きももらってるんだ」
「ほう、やるじゃん。なら、村人を雇わないか?」
「えっ? 雇う?」
「ああ、この屋敷は二人には広すぎる。だから、領地の村人を雇って、掃除や身の回りの世話を手伝ってもらえばいいんだよ」
「うーん、でも村人は少ないし、彼らが働いてくれなければ税が取れないよ」
俺は大工になりたての頃のことを思い出していた。大きな現場で仕事をしているとき、無力さを感じた俺を親方が支えてくれたことがあった。
「すみません。全然何もできなくて……」
「何を言ってやがんだ。今のお前は学んでいる時期だ。お前が成長して、いつか俺を助けてくれればそれでいい。若い奴が育ってくれれば、俺たちも助かる。だから今は俺たちが支えてやるよ」
親方の言葉に感動したことを今でも覚えている。
「最初は税金を集めるより、みんなで協力してこの領地を作り上げる方がいいと思うんだ。小さなことは目を瞑って、後に大きな成果を得る方が大事だってことさ」
「はは、確かにそうだな。これじゃどっちが領主かわからないな」
ブラフは困ったように笑い、少し自信を失っているように見えた。
「……ブラフ」
「うん、トオルの言う通りだ。今の少ない領民から税を取っても意味はない。彼らと信頼関係を築いて育てていく方が、領地の未来につながるね」
ブラフはいい奴だ。俺のような異世界から来た者の意見にも耳を傾け、自分なりに考え行動しようとしている。
この世界に来て、王様からは追放された。無能な能力だと言われてな。それでもブラフと出会えて、今は楽しく過ごせている。これからもブラフと一緒に助け合いながらやっていけたらありがたい。
「よし、まずは屋敷の片付けだ。明日は領民に会いに行こうぜ」
「そうだね。なんだか考え事をしていたらお腹が空いてきたよ」
「おう、そう言うと思ってスープを作っておいたぞ」
「トオルは本当に何でもできるな」
「おいおい、俺は追放された巻き込まれ野郎だぞ」
「はは、もしかしてトオルが一番すごい人かもよ」
「そんなわけないだろ」
俺たちは他愛もない話をしながら食事を楽しみ、その後、屋敷の片付けに取り掛かった。
836
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる