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領地経営スタート
家族として
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大事そうにドラゴンの卵を抱きあげて帰ってきたブラフ。
ヨーゼフと村人には、荷馬車に積んである買ってきた物を倉庫へ保管してもらう。食料や農具、工具を今回は買い付けてきた。
流民や難民なども情報をヨーゼフに集めてもらったが、小競り合いが続いている王国内ではなかなか人手不足に悩んでいるそうだ。
「よし、準備ができたぞ!」
「さっきから何をしていたんだ?」
「ふふふ、私たちの愛の結晶を作る準備だよ」
屋敷の一室に入ったブラフを追いかけていくと、魔法陣が描かれた部屋があった。どうやら魔術的な儀式を行う部屋に見える。
卵は部屋の中央、魔法陣の真ん中にクッションが置かれた上にあった。
「愛の結晶?」
「結婚とは魂の絆を結ぶものであり、そして子を育てることも一つなんだ」
「まぁそうだな」
俺は結婚もしたことがないし、彼女がいた経験もない。十六歳から仕事仕事で、彼女を作る暇もなかった。
「そこで、愛の結晶である子供を産む代わりに作り出すんだ」
「作り出す?」
「ああ、魔物卵に私たち二人の魔力を注ぎ込むんだ」
「魔力を注ぐ? 俺はまだ魔法を使ったことないのにどうやるんだ?」
「それはもちろん教えるさ」
そう言って俺の手を取ったブラフの手が、ほんのりと暖かい何かを伝えてくる。
「これは?」
「これが魔力だよ。私の魔力と同じように体の中に魔力を感じてみてくれ」
俺は言われるがままに、自分の体内に魔力を感じる。ブラフが俺の体に魔力を流していく。体を包み込むように魔力に包まれていると温かい。
俺の魔力を引き出して誘導するように、手に集めてくれる。それをドラゴンの卵へと流し込んでいく。
「これでいいのか?」
「うん。大丈夫だよ。トオルのペースに私が合わせるから」
俺はわからないなりに、卵を包み込んで温めたいという想いを込めた。次第に卵に熱が宿り暖かくなっていく。
「私にできるのは具現化と鑑定だけだ。だけど、魔力は多い方だって鑑定では言われたんだ」
俺の魔力はそれほど多くない。全ての魔力を注ぎ切ったところで、ブラフも魔力を注ぐ手を止めた。
「うん。十分だと思う。あとはこの魔法陣の上で互いに魔力が混ざり合って、中にいるドラゴンに生命の息吹を注ぎ込む。どんな子が生まれてくるのかは明日にはわかるよ」
「えっ? そんなに早いのか?」
「生まれるのはね。だけど、赤ちゃんだから生まれてすぐは何もできないよ」
「おい! ドラゴンの赤ちゃんって何を食べるんだ? 牛の肉とかか? この村には肉なんてないぞ!」
子供が生まれると聞いて、俺はどうすればいいのか戸惑いの方が勝ってしまう。
「本当にトオルは何も知らないんだね。生まれてくる子は私たちの魔力を糧に生きていくんだ。成龍になるまでは毎日魔力を与えてあげることが大事なんだよ」
「成龍?」
「うん。他の魔物もそうだけど、大体一年ぐらいで成龍になるんだ。遅い子でも三年だったかな?」
「そんなに早いのか?」
「そうだよ。私たちの愛の結晶だから大事に育てよう」
言葉だけ聞いていると不思議な気分になるが、自分の子が生まれてくると思うと嬉しい。
俺たちは夕食を済ませて、早めの眠りにつくことにした。
♢
昨日街から帰ってきたのが夕方だったので、夕方にはドラゴンの卵が孵るはずだ。
名前をつけるのか?
「ハンス、ヨーゼフ。俺はもっと魔物を倒して強くなりたい」
「急にどうしたんですか?」
「魔物は危険ですよ」
「わかっている。だけど、子供が生まれて魔力がいるんだ。俺はブラフほど魔力がないからな。もっと魔力量を増やしたいんだ」
不思議なことだが、魔物であっても子供が生まれるとちゃんとしてやりたい。
「そういうことですかい」
「なら、近くにラットが出ているようなので、それを倒してはいかがでしょうか?」
「ラット?」
俺はラットと言われてネズミを想像するが、あんな小さなネズミを倒したところでたいした経験値を得られないだろう。
「はい。食用の森ラットで、我々にとって貴重な肉ですから、狩りと実用を兼ね備えています」
「なるほど! 肉はいいな」
話を聞くと、森ラットの大きさは身長が50センチぐらいあり、あっさりとした肉質で臭みもなく、食べやすい食用魔物として食べられているそうだ。
その話をしている間にも、村人たちが肉を食べたいと集まってくるほどだ。
罠を仕掛け、森ラットを討伐することが決まり、俺は卵が孵るまでの時間を森ラット捕獲に向けて動き出した。
村の中は地ならしと、川沿いから拾ってきた小石を地面に埋めて固めることで、普通の石でも柔らかい地面を硬くしてくれて、歩きやすい地面になってくれる。
だが、開拓が進んでいない森の中は足場が悪く体力を奪われる。村作りやこの辺の開拓を進めなくてはならない。
村を囲った柵の中に畑を作り、川から水を引くようにして、トイレやお風呂も建設中だ。
まだまだやりたいことはあるが、なかなか捗らない。
カタログ召喚で、土木建築に必要な機材などを毎日調べるために、魔力が続く限り召喚している。
次第に熟練度も上がっていくだろう。
「トオル様! 森ラットです」
「よし! 協力して捕えるぞ!」
狩りの腕ももっとあげて、家族に美味しい物を食べさせてやりたい。
ヨーゼフと村人には、荷馬車に積んである買ってきた物を倉庫へ保管してもらう。食料や農具、工具を今回は買い付けてきた。
流民や難民なども情報をヨーゼフに集めてもらったが、小競り合いが続いている王国内ではなかなか人手不足に悩んでいるそうだ。
「よし、準備ができたぞ!」
「さっきから何をしていたんだ?」
「ふふふ、私たちの愛の結晶を作る準備だよ」
屋敷の一室に入ったブラフを追いかけていくと、魔法陣が描かれた部屋があった。どうやら魔術的な儀式を行う部屋に見える。
卵は部屋の中央、魔法陣の真ん中にクッションが置かれた上にあった。
「愛の結晶?」
「結婚とは魂の絆を結ぶものであり、そして子を育てることも一つなんだ」
「まぁそうだな」
俺は結婚もしたことがないし、彼女がいた経験もない。十六歳から仕事仕事で、彼女を作る暇もなかった。
「そこで、愛の結晶である子供を産む代わりに作り出すんだ」
「作り出す?」
「ああ、魔物卵に私たち二人の魔力を注ぎ込むんだ」
「魔力を注ぐ? 俺はまだ魔法を使ったことないのにどうやるんだ?」
「それはもちろん教えるさ」
そう言って俺の手を取ったブラフの手が、ほんのりと暖かい何かを伝えてくる。
「これは?」
「これが魔力だよ。私の魔力と同じように体の中に魔力を感じてみてくれ」
俺は言われるがままに、自分の体内に魔力を感じる。ブラフが俺の体に魔力を流していく。体を包み込むように魔力に包まれていると温かい。
俺の魔力を引き出して誘導するように、手に集めてくれる。それをドラゴンの卵へと流し込んでいく。
「これでいいのか?」
「うん。大丈夫だよ。トオルのペースに私が合わせるから」
俺はわからないなりに、卵を包み込んで温めたいという想いを込めた。次第に卵に熱が宿り暖かくなっていく。
「私にできるのは具現化と鑑定だけだ。だけど、魔力は多い方だって鑑定では言われたんだ」
俺の魔力はそれほど多くない。全ての魔力を注ぎ切ったところで、ブラフも魔力を注ぐ手を止めた。
「うん。十分だと思う。あとはこの魔法陣の上で互いに魔力が混ざり合って、中にいるドラゴンに生命の息吹を注ぎ込む。どんな子が生まれてくるのかは明日にはわかるよ」
「えっ? そんなに早いのか?」
「生まれるのはね。だけど、赤ちゃんだから生まれてすぐは何もできないよ」
「おい! ドラゴンの赤ちゃんって何を食べるんだ? 牛の肉とかか? この村には肉なんてないぞ!」
子供が生まれると聞いて、俺はどうすればいいのか戸惑いの方が勝ってしまう。
「本当にトオルは何も知らないんだね。生まれてくる子は私たちの魔力を糧に生きていくんだ。成龍になるまでは毎日魔力を与えてあげることが大事なんだよ」
「成龍?」
「うん。他の魔物もそうだけど、大体一年ぐらいで成龍になるんだ。遅い子でも三年だったかな?」
「そんなに早いのか?」
「そうだよ。私たちの愛の結晶だから大事に育てよう」
言葉だけ聞いていると不思議な気分になるが、自分の子が生まれてくると思うと嬉しい。
俺たちは夕食を済ませて、早めの眠りにつくことにした。
♢
昨日街から帰ってきたのが夕方だったので、夕方にはドラゴンの卵が孵るはずだ。
名前をつけるのか?
「ハンス、ヨーゼフ。俺はもっと魔物を倒して強くなりたい」
「急にどうしたんですか?」
「魔物は危険ですよ」
「わかっている。だけど、子供が生まれて魔力がいるんだ。俺はブラフほど魔力がないからな。もっと魔力量を増やしたいんだ」
不思議なことだが、魔物であっても子供が生まれるとちゃんとしてやりたい。
「そういうことですかい」
「なら、近くにラットが出ているようなので、それを倒してはいかがでしょうか?」
「ラット?」
俺はラットと言われてネズミを想像するが、あんな小さなネズミを倒したところでたいした経験値を得られないだろう。
「はい。食用の森ラットで、我々にとって貴重な肉ですから、狩りと実用を兼ね備えています」
「なるほど! 肉はいいな」
話を聞くと、森ラットの大きさは身長が50センチぐらいあり、あっさりとした肉質で臭みもなく、食べやすい食用魔物として食べられているそうだ。
その話をしている間にも、村人たちが肉を食べたいと集まってくるほどだ。
罠を仕掛け、森ラットを討伐することが決まり、俺は卵が孵るまでの時間を森ラット捕獲に向けて動き出した。
村の中は地ならしと、川沿いから拾ってきた小石を地面に埋めて固めることで、普通の石でも柔らかい地面を硬くしてくれて、歩きやすい地面になってくれる。
だが、開拓が進んでいない森の中は足場が悪く体力を奪われる。村作りやこの辺の開拓を進めなくてはならない。
村を囲った柵の中に畑を作り、川から水を引くようにして、トイレやお風呂も建設中だ。
まだまだやりたいことはあるが、なかなか捗らない。
カタログ召喚で、土木建築に必要な機材などを毎日調べるために、魔力が続く限り召喚している。
次第に熟練度も上がっていくだろう。
「トオル様! 森ラットです」
「よし! 協力して捕えるぞ!」
狩りの腕ももっとあげて、家族に美味しい物を食べさせてやりたい。
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