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カリストロ辺境伯領編
甘過ぎる時間
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私はハルトを庭のあずまやに連れてきた。そして、何故か今は、ハルトの膝に乗せられている。
「・・・・なんで膝の上?」
「ん?レーネが可愛いから」
ハルトは、私の髪を指にくるくると巻き付けながら、にっこりと笑顔を向けた。その笑顔が総ちゃんと重なった。
え?
「どうしたの?」
ハルトを見つめたまま固まった私を怪訝に思ったのか、ハルトが心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「なんでもないよ。それより!なんで婚約を受けたの?!」
見間違いだ。総ちゃんに会いたいという想いが見せた幻だ。そう思うことで、泣きそうな心を抑え込んだ。ハルトと出逢ってから私の中の総ちゃんが膨れ上がった気がする。私はどうしてしまったんだろう?
「一目惚れしたから?」
なんで疑問系なの?
「嘘だ。5歳に惚れるとか、ロリコンなの?」
「だって、レーネは普通の5歳じゃないでしょう?」
そうだけど。一目惚れってことは、この見た目ってことでしょ。違うの?
「同じ転生者だから?」
「それもあるかな。でも、レーネのことは、ほっとけない感じかな?」
「???」
「独りにしておくと、何仕出かすかわからない。それに、身軽に黒鋼と何処へでも行っちゃいそう。それは嫌かな。一緒に行くから、置いていかないでね?」
そう言ったハルトの顔はとても切なくて、笑っているのに泣いている顔に見えてしまった。
「分かった。何処かに行きたくなったらちゃんと言う」
「いい子」そういいながら、ハルトは膝に乗せた私を抱き締めて、私の頭に顔を埋めた。この人は、総ちゃんじゃない。分かっているのに、前世に引っ張られてしまう自分がとても嫌だった。
その日以来、ハルトは学園で授業のない日は私を城から連れ出してくれた。黒鋼もいるし真珠もいるから、父様もお祖父様も簡単に許可をくれた。その二人さえいれば、他の護衛はかえって足手まといになるため、つけなくても許されている。城下を散策とか遠駆けという理由で抜け出しているけど、実際は、転移して精霊の森に狩りに行くことの方が多い。そこで、黒鋼や真珠、ハルトに魔法を教えてもらったり、この国の成り立ちや歴史を聞いたり、とても楽しかった。母様も回復し、元気に公務をこなしている。父様と仲良くしているから、私に弟妹が出来る日も近いだろう。
時折、ハルトの仕草に総ちゃんを思い出しては、自分を嫌悪することもあるけど、自分の能力を偽らなくていい、ハルトとの時間は私にとって、とてもかけがえのないものになっていった。
そして、7歳まであと数ヶ月という日、私に弟ができた。名前は、テオドール。テオドール・カリストロ辺境伯令息。未来の領主様だ。ハルトは今は中央の学園に通っていて、転移で頻繁に戻ってきてくれる。この国の貴族として認められるには、中央の学園に1年通わなければならない。カリストロ辺境伯領では、16歳になった年に1年通うことになっている。それまでは領内の学園に通う。
「ハルト!やっと弟ができたよ!私これで姫様から解放される♪」
「何を言ってるの?姫様は姫様でしょう?」
「違うの!大人になったら、女王様しなくていいでしょ?」
「ああ、なるほどね。レーネは冒険者みたいにこの世界を旅して回りたいんだったね」
「うん!だって、折角高い能力を貰ったんだから、それを活かすには冒険者でしょう!」
「レーネよ。そんなに冒険者がいいのか?」
ここは、精霊の森の前にある平原。私たちは休憩がてらピクニックをしている。黒鋼は、もふもふ姿で私とハルトの背もたれだ。
「だって、自由だよ!黒鋼だって、自由な方がいいでしょ?」
「フフッ。ライトと同じことを言うのだな」
「ご先祖様も自由を求めてたんだ?」
「特に晩年はな。この領に居を構えてからは、国王として仕事が忙しかったからな」
「だよね。国王も領主も大変だよね。私には無理。ハルトは?国王様やりたい?」
「やりたいわけないだろう?そんなことするくらいなら、魔道具の研究したい」
「はは。だよね」
うん。まだ産まれたばかりの弟には悪いけど、一抜けさせてもらうよ。
「そうだ。魔道具で思い出した。レーネ、手を出して?」
「手?」
はい、と右手をハルトに差し出した。ハルトはスッと私の小指に小さな指輪を差し入れた。
「これは、魔力を誤魔化す魔道具。レーネは来年8歳だろう?魔力測定があるよね。そのまま計るととんでもないことになるよね?だから、その対策。これを嵌めて計ると魔力量は普通の8歳より少し多いくらいになるよ」
「!!ありがとう。よかったぁ。どうしようかと思ってたの」
本当によかった。
「誤魔化すだけだから、実際の魔力量は変わらない。当日だけ着けると要らぬ詮索をされかねないから、今日から着けること。魔道具かどうかは見てもわからないから私からのプレゼントだと言えばいいよ。婚約者からのプレゼントなら不自然じゃない」
そうか。婚約者からのプレゼントになるんだ。
うわー。なんか恥ずかしい。
これが初めてのプレゼントじゃないけど、今までのは髪飾りとかお菓子とか花束とかだった。指輪はなんか特別な感じがするから余計に恥ずかしさが増す。
「恥ずかしがるレーネも可愛いね。貴重貴重」
その言葉にドキリとした。だって、総ちゃんもよくそう言っていたから。どうして、ハルトは総ちゃんじゃないんだろう?
ハルトが総ちゃんならいいのに・・・・。
そんなことあるわけないのに、総ちゃんはちゃんとあの世界で生きて幸せになっているはずなのに、そう思ってしまった自分に嫌悪した。
「・・・・なんで膝の上?」
「ん?レーネが可愛いから」
ハルトは、私の髪を指にくるくると巻き付けながら、にっこりと笑顔を向けた。その笑顔が総ちゃんと重なった。
え?
「どうしたの?」
ハルトを見つめたまま固まった私を怪訝に思ったのか、ハルトが心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「なんでもないよ。それより!なんで婚約を受けたの?!」
見間違いだ。総ちゃんに会いたいという想いが見せた幻だ。そう思うことで、泣きそうな心を抑え込んだ。ハルトと出逢ってから私の中の総ちゃんが膨れ上がった気がする。私はどうしてしまったんだろう?
「一目惚れしたから?」
なんで疑問系なの?
「嘘だ。5歳に惚れるとか、ロリコンなの?」
「だって、レーネは普通の5歳じゃないでしょう?」
そうだけど。一目惚れってことは、この見た目ってことでしょ。違うの?
「同じ転生者だから?」
「それもあるかな。でも、レーネのことは、ほっとけない感じかな?」
「???」
「独りにしておくと、何仕出かすかわからない。それに、身軽に黒鋼と何処へでも行っちゃいそう。それは嫌かな。一緒に行くから、置いていかないでね?」
そう言ったハルトの顔はとても切なくて、笑っているのに泣いている顔に見えてしまった。
「分かった。何処かに行きたくなったらちゃんと言う」
「いい子」そういいながら、ハルトは膝に乗せた私を抱き締めて、私の頭に顔を埋めた。この人は、総ちゃんじゃない。分かっているのに、前世に引っ張られてしまう自分がとても嫌だった。
その日以来、ハルトは学園で授業のない日は私を城から連れ出してくれた。黒鋼もいるし真珠もいるから、父様もお祖父様も簡単に許可をくれた。その二人さえいれば、他の護衛はかえって足手まといになるため、つけなくても許されている。城下を散策とか遠駆けという理由で抜け出しているけど、実際は、転移して精霊の森に狩りに行くことの方が多い。そこで、黒鋼や真珠、ハルトに魔法を教えてもらったり、この国の成り立ちや歴史を聞いたり、とても楽しかった。母様も回復し、元気に公務をこなしている。父様と仲良くしているから、私に弟妹が出来る日も近いだろう。
時折、ハルトの仕草に総ちゃんを思い出しては、自分を嫌悪することもあるけど、自分の能力を偽らなくていい、ハルトとの時間は私にとって、とてもかけがえのないものになっていった。
そして、7歳まであと数ヶ月という日、私に弟ができた。名前は、テオドール。テオドール・カリストロ辺境伯令息。未来の領主様だ。ハルトは今は中央の学園に通っていて、転移で頻繁に戻ってきてくれる。この国の貴族として認められるには、中央の学園に1年通わなければならない。カリストロ辺境伯領では、16歳になった年に1年通うことになっている。それまでは領内の学園に通う。
「ハルト!やっと弟ができたよ!私これで姫様から解放される♪」
「何を言ってるの?姫様は姫様でしょう?」
「違うの!大人になったら、女王様しなくていいでしょ?」
「ああ、なるほどね。レーネは冒険者みたいにこの世界を旅して回りたいんだったね」
「うん!だって、折角高い能力を貰ったんだから、それを活かすには冒険者でしょう!」
「レーネよ。そんなに冒険者がいいのか?」
ここは、精霊の森の前にある平原。私たちは休憩がてらピクニックをしている。黒鋼は、もふもふ姿で私とハルトの背もたれだ。
「だって、自由だよ!黒鋼だって、自由な方がいいでしょ?」
「フフッ。ライトと同じことを言うのだな」
「ご先祖様も自由を求めてたんだ?」
「特に晩年はな。この領に居を構えてからは、国王として仕事が忙しかったからな」
「だよね。国王も領主も大変だよね。私には無理。ハルトは?国王様やりたい?」
「やりたいわけないだろう?そんなことするくらいなら、魔道具の研究したい」
「はは。だよね」
うん。まだ産まれたばかりの弟には悪いけど、一抜けさせてもらうよ。
「そうだ。魔道具で思い出した。レーネ、手を出して?」
「手?」
はい、と右手をハルトに差し出した。ハルトはスッと私の小指に小さな指輪を差し入れた。
「これは、魔力を誤魔化す魔道具。レーネは来年8歳だろう?魔力測定があるよね。そのまま計るととんでもないことになるよね?だから、その対策。これを嵌めて計ると魔力量は普通の8歳より少し多いくらいになるよ」
「!!ありがとう。よかったぁ。どうしようかと思ってたの」
本当によかった。
「誤魔化すだけだから、実際の魔力量は変わらない。当日だけ着けると要らぬ詮索をされかねないから、今日から着けること。魔道具かどうかは見てもわからないから私からのプレゼントだと言えばいいよ。婚約者からのプレゼントなら不自然じゃない」
そうか。婚約者からのプレゼントになるんだ。
うわー。なんか恥ずかしい。
これが初めてのプレゼントじゃないけど、今までのは髪飾りとかお菓子とか花束とかだった。指輪はなんか特別な感じがするから余計に恥ずかしさが増す。
「恥ずかしがるレーネも可愛いね。貴重貴重」
その言葉にドキリとした。だって、総ちゃんもよくそう言っていたから。どうして、ハルトは総ちゃんじゃないんだろう?
ハルトが総ちゃんならいいのに・・・・。
そんなことあるわけないのに、総ちゃんはちゃんとあの世界で生きて幸せになっているはずなのに、そう思ってしまった自分に嫌悪した。
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