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ささやかな主張
ミカエル様に抱えられて離宮に戻ってきた。爺やもプリシラも他のみんなも抱えられて急に戻ってきた私を心配して声をかけてくれるが、それに答える余裕はまだない。みんなもそれを分かっているから、返事がなくても何も言わない。ミカエル様の私室に辿り着き、仮面とマントを取ったミカエル様の膝に乗って、未だしがみついたままだ。ミカエル様も何も言わず、何も聞かず、髪を撫で続けてくれる。
「・・・・」
「・・・・」
やっぱり、この人の腕の中は安心できる。ずっとここにいたい。
「落ち着いたな?」
「うん」
もう少しだけ、このままでいたい。ミカエル様は、私が甘えているだけと気づいても、何も言わずに甘えさせてくれる。今だってそうだ。私を急かしたり突き放したりしない。私を傷つけない。だから、余計に甘えてしまう。猫ならゴロゴロと喉をならしただろう。髪を撫でる手が気持ちいい。頬を擽る指が心地いい。
「スミレ、話せるか?」
気遣う声音が耳に優しく響く。
「うん。・・・・あの眼がダメなの。支配しようとする眼が怖いの」
思い出しただけでブルッと全身が震えた。
「無理はしなくていい」
「今言わないと言えなくなるから」
ミカエル様の胸に凭れて、あの世界での私のことを異母兄のことを含めて淡々と話した。そうしなければ、胸が詰まりそうだったから。ミカエル様は、私を腕の中に抱え込んで、時折、背中を擦ってくれたり、「ゆっくりでいい」と励ましてくれた。だから、全部伝えられた。
「キモチ悪いよね」
「何を!キモチ悪くなどない!」
「こんな身体要らない・・・・」
「スミレ!」
「あっ・・・・」
「そのような悲しいこと言うな!貴女が居なければ、私は、また独りだ」
こんな悲しい顔をさせたかった訳じゃない。
「ごめんなさい。・・私、ここに居ていいの?」
「私を独りにするのか?」
「だって、謁見の時、返事に間があったから・・・・」
「ああ。それは、本当に私でいいのかと戸惑っただけだ。今まで請われたことはなかったのでな。それに、私は、華やかな場に呼ばれることは、まずない」
「華やかな場?」
「夜会やお茶会、パーティーだな」
「ああ。興味ないから、別に構いません。だって、半分は男性ですよね?無理です。行きたくありません」
「フフ。そうだったな」
「もう!・・ミカエル様がいいんですよ。分かってます?」
「ああ。好きなだけここに居るといい」
「じゃあ、ずっと居ます」
「そうか」
「はい」
眼を閉じて、抱き寄せてくれる優しい腕に身を委ねる。もう少し、私の心が暖まるまで、もう少しだけ・・・・。
ふわふわと優しい時間を漂っていると、突然階下が騒がしくなった。身体に緊張が走り、硬くなる。
「大丈夫だ。爺が応対してくれる」
「うん」
緊張を解すようにゆったりとした口調で囁きながら、私の髪、頬、手の甲を順に撫でていく。ミカエル様の楽しそうな雰囲気が伝わってきて、私も緊張が溶けて、身体の力が抜けていった。再び、眼を閉じて身体を預けた。
コンコンコン
のんびりと寛いでいると、扉が軽く叩かれた。この叩き方は爺やだ。
「殿下、両陛下と第二王子殿下、第三王子殿下がお見えです。如何いたしましょうか?」
「すぐ行く。応接室にお通ししろ」
「姫様も呼ばれておりますが」
「分かった。スミレは支度が必要ゆえ、お待ちいただけ」
「スミレ様はどこだ!」
「お待ち下さい!ガルクローグ兄上!」
バン!という轟しい音と共に第二王子が乱入してきた。その後を追って、第三王子と国王陛下まで部屋に入ってきた。私は、反射的にミカエル様にすがりついて、恐怖を押さえる。バサリと音がしたと思ったら、視界が遮られ、力強い腕に抱き込まれてほっとした。
「私室に無断で入るなど、どういうつもりだ、ガルクローグ」
ミカエル様の手は、私の背中を擦って落ち着かせてくれる。
「くっ!そのおぞましい顔をさっさと隠せ!」
「何故だ?私室でどのようにしていようとも、指図されるいわれはない」
「ならば、連れ去ったスミレ様を出せ!貴様のような化け物にスミレ様は渡せん!」
「スミレならば、ここにいるが?」
「「「は?」」」
「スミレ、姿を出せるか?」
ブンブンと首を横に振った。ミカエル様にしがみつく手に力を込めて拒否をした。
「・・やです」
「だそうだ」
「!!!スミレ様は、ランスロットと共におるのか?スミレ様の私室ではなく?」
王様の声が聴こえた。
「ここに居ますよ。申し訳ありませんが、スミレの支度が終わるまで、応接室でお待ち下さい。人前に出られる状態ではありません」
「「「は?」」」
ミカエル様、言い方!それだと、私とミカエル様の間に何かあったと勘ぐられます!・・・・あれ?別にいいのか、な?
「侍女を呼ぶから隣の部屋で着替えさせてもらえ」
「ここに居てくれますか?」
「ここにいる」
ミカエル様に抱き上げられて、ミカエル様の寝室に降ろされた。急いでやって来たビアンカとコーネルは、私のドレスなどの衣装を持って待機している。
「ここなら、私が隣の部屋にいれば、誰も入れない。ゆっくり着替えなさい。頼んだ」
「畏まりました」
ミカエル様は、私の頭をぽんぽんとすると、隣室へと出ていった。
「さあ、姫様。着替えましょうね。ドレスはどちらになさいますか?」
サーモンピンクのレースを使った可愛いドレスとゴールドにシルバーの刺繍がされた上品なドレスを見せられた。勿論、ミカエル様の色を選んだ。この場にふさわしいと思ったからだ。ビアンカとコーネルも満足そうだ。化粧も髪型もドレスに合わせた。全てが整い隣室に行くと、仮面とマントを着けたミカエル様が待っていた。
「よく似合っている」
ドレスが、自分の色だと気づいたのだろう、声が嬉しそうだ。ちょっと恥ずかしいけど、これは、私の主張であり、意思だ。
「仮面、着けちゃったんですね」
「先程まで陛下がいたからな」
「そうですか・・・・」
「不満そうだな」
「不満です」
美人は3日で飽きるというけど、ミカエル様はどれだけ見ていても、飽きない。むしろ、足りないくらいだ。
「そんなことを言うのは、貴女くらいだな。・・これから、両陛下と第二王子、第三王子に会うことになる。大丈夫か?」
「大丈夫じゃありません。第二王子とは、会いたくありません」
「そうだろうな」
会わないという選択肢はないようだ。ミカエル様のエスコートで応接室に着くと、爺やが扉を開けてくれた。室内には、立ち上がり頭を垂れた王族がいた。
またか。
「楽にしてください」
その言葉で全員が座り、お茶が入れ直された。私は、ミカエル様と一緒のソファーに腰を下ろした。今度はマントではなく、しっかりと腕を掴んでいる。本当は、膝の上に座りたい。私の安全地帯だ。
「お待たせ致しました、陛下」
「いや、かまわん。スミレ様、先程は紹介できませんでしたので、我が国の王妃と王子の紹介をしても宜しいでしょうか?」
いえ、別に要りません、とは言えない。
「はい。座ったままでお願いします」
「わたくしは、王妃のカテリーナ・アルル・ロールウッドでございます。お見知りおきを」
あっ、この人は大丈夫な人だ。ママに似てる。笑顔が作り物じゃない。思わず、微笑み返してしまった。
「俺は、第二王子のガルクローグ・セバス・ロールウッド。必ずやスミレ様をその化け物から解放してみせます!その俯いた美しい顔を輝かんばかりの微笑みに変えてみせましょう」
ハァ、ウザい。話しの通じない人は、相手にしたくない。この人、絶対ナルシストだよ。
マントの中に隠れたい。見ないで欲しい。
ミカエル様は、私の緊張に気づいて手の甲をそっと撫でて宥めてくれた。
「・・・・私は、第三王子のレイナード・クルス・ロールウッドと申します。お見知りおきを」
良くも悪くも普通かな。でも、普通は大事。ちゃんと礼儀もわきまえている。
「スミレ様、ご気分はいかがでしょうか?」
気分?良いわけがない。王妃様の笑顔に少しだけ癒されたのに台無しだ。
「・・・・」
「あ、・・おほん・・・・」
王様は、気まずそうに視線をさ迷わせた。
「ハァ。陛下、この様なところまで、どういったご用件でしょうか」
「おお。それなんだが・・・・。スミレ様の伴侶候補にと選んだ者達が、お主では納得がいかぬと申してな。その・・・・スミレ様と共に過ごす時間が欲しいと・・・・」
「お断りします」
即座に断った。冗談じゃない。
「何故だ!皆、俺を筆頭に容姿も剣の腕も申し分ない者ばかりだ。共に過ごせば、その化け物より優れていると分かるはずだ。スミレ様は、騙されている!」
「先程から、化け物と聴こえてきますけど、よもやわたくしの息子のことではありませんよね?ガルクローグ」
王妃様、笑顔が怖いです。その笑顔は、第二王子に向けたままにしてください。それにしても、第二王子は、王妃様の子じゃないの?
「第二王子は、側妃の子だ」
ぼそりと隣から声が聴こえた。
なるほどね。通りで、第二王子だけ浮いてると思った。
王妃様に問われた第二王子は、何も答えることができず、蛇に睨まれた蛙のようだ。
「陛下。スミレ様をご覧になれば、誰を想っていらっしゃるかは一目瞭然でございましょう?思い上がった者達の戯れ事など取り合う必要はございませんわ」
「それは、分かっておる。だが、こちらから声をかけたのだ。無下にもできん」
「ならば、伴侶、として誰が相応しいか、ランスロットと勝負させましょう?それがいいですわ。ランスロット、30人程度、叩きのめせるわね?」
「準備運動にもなりませんよ」
ふたりとも不敵に微笑まないで。いや、ミカエル様は見えないけど、絶対に笑ってる。
「宜しいですわね、陛下。5日後の9時。第一騎士隊の訓練場で。わたくし達も立ち合います。ガルクローグも良いですわね?あれだけのことを言ったのですから、是非ともスミレ様を救い出して見せるとよろしいわ。ホホホ」
王妃様、その高笑い、素敵です。
「フン!」
第二王子は、足音も荒く離宮から出ていった。
「・・・・」
「・・・・」
やっぱり、この人の腕の中は安心できる。ずっとここにいたい。
「落ち着いたな?」
「うん」
もう少しだけ、このままでいたい。ミカエル様は、私が甘えているだけと気づいても、何も言わずに甘えさせてくれる。今だってそうだ。私を急かしたり突き放したりしない。私を傷つけない。だから、余計に甘えてしまう。猫ならゴロゴロと喉をならしただろう。髪を撫でる手が気持ちいい。頬を擽る指が心地いい。
「スミレ、話せるか?」
気遣う声音が耳に優しく響く。
「うん。・・・・あの眼がダメなの。支配しようとする眼が怖いの」
思い出しただけでブルッと全身が震えた。
「無理はしなくていい」
「今言わないと言えなくなるから」
ミカエル様の胸に凭れて、あの世界での私のことを異母兄のことを含めて淡々と話した。そうしなければ、胸が詰まりそうだったから。ミカエル様は、私を腕の中に抱え込んで、時折、背中を擦ってくれたり、「ゆっくりでいい」と励ましてくれた。だから、全部伝えられた。
「キモチ悪いよね」
「何を!キモチ悪くなどない!」
「こんな身体要らない・・・・」
「スミレ!」
「あっ・・・・」
「そのような悲しいこと言うな!貴女が居なければ、私は、また独りだ」
こんな悲しい顔をさせたかった訳じゃない。
「ごめんなさい。・・私、ここに居ていいの?」
「私を独りにするのか?」
「だって、謁見の時、返事に間があったから・・・・」
「ああ。それは、本当に私でいいのかと戸惑っただけだ。今まで請われたことはなかったのでな。それに、私は、華やかな場に呼ばれることは、まずない」
「華やかな場?」
「夜会やお茶会、パーティーだな」
「ああ。興味ないから、別に構いません。だって、半分は男性ですよね?無理です。行きたくありません」
「フフ。そうだったな」
「もう!・・ミカエル様がいいんですよ。分かってます?」
「ああ。好きなだけここに居るといい」
「じゃあ、ずっと居ます」
「そうか」
「はい」
眼を閉じて、抱き寄せてくれる優しい腕に身を委ねる。もう少し、私の心が暖まるまで、もう少しだけ・・・・。
ふわふわと優しい時間を漂っていると、突然階下が騒がしくなった。身体に緊張が走り、硬くなる。
「大丈夫だ。爺が応対してくれる」
「うん」
緊張を解すようにゆったりとした口調で囁きながら、私の髪、頬、手の甲を順に撫でていく。ミカエル様の楽しそうな雰囲気が伝わってきて、私も緊張が溶けて、身体の力が抜けていった。再び、眼を閉じて身体を預けた。
コンコンコン
のんびりと寛いでいると、扉が軽く叩かれた。この叩き方は爺やだ。
「殿下、両陛下と第二王子殿下、第三王子殿下がお見えです。如何いたしましょうか?」
「すぐ行く。応接室にお通ししろ」
「姫様も呼ばれておりますが」
「分かった。スミレは支度が必要ゆえ、お待ちいただけ」
「スミレ様はどこだ!」
「お待ち下さい!ガルクローグ兄上!」
バン!という轟しい音と共に第二王子が乱入してきた。その後を追って、第三王子と国王陛下まで部屋に入ってきた。私は、反射的にミカエル様にすがりついて、恐怖を押さえる。バサリと音がしたと思ったら、視界が遮られ、力強い腕に抱き込まれてほっとした。
「私室に無断で入るなど、どういうつもりだ、ガルクローグ」
ミカエル様の手は、私の背中を擦って落ち着かせてくれる。
「くっ!そのおぞましい顔をさっさと隠せ!」
「何故だ?私室でどのようにしていようとも、指図されるいわれはない」
「ならば、連れ去ったスミレ様を出せ!貴様のような化け物にスミレ様は渡せん!」
「スミレならば、ここにいるが?」
「「「は?」」」
「スミレ、姿を出せるか?」
ブンブンと首を横に振った。ミカエル様にしがみつく手に力を込めて拒否をした。
「・・やです」
「だそうだ」
「!!!スミレ様は、ランスロットと共におるのか?スミレ様の私室ではなく?」
王様の声が聴こえた。
「ここに居ますよ。申し訳ありませんが、スミレの支度が終わるまで、応接室でお待ち下さい。人前に出られる状態ではありません」
「「「は?」」」
ミカエル様、言い方!それだと、私とミカエル様の間に何かあったと勘ぐられます!・・・・あれ?別にいいのか、な?
「侍女を呼ぶから隣の部屋で着替えさせてもらえ」
「ここに居てくれますか?」
「ここにいる」
ミカエル様に抱き上げられて、ミカエル様の寝室に降ろされた。急いでやって来たビアンカとコーネルは、私のドレスなどの衣装を持って待機している。
「ここなら、私が隣の部屋にいれば、誰も入れない。ゆっくり着替えなさい。頼んだ」
「畏まりました」
ミカエル様は、私の頭をぽんぽんとすると、隣室へと出ていった。
「さあ、姫様。着替えましょうね。ドレスはどちらになさいますか?」
サーモンピンクのレースを使った可愛いドレスとゴールドにシルバーの刺繍がされた上品なドレスを見せられた。勿論、ミカエル様の色を選んだ。この場にふさわしいと思ったからだ。ビアンカとコーネルも満足そうだ。化粧も髪型もドレスに合わせた。全てが整い隣室に行くと、仮面とマントを着けたミカエル様が待っていた。
「よく似合っている」
ドレスが、自分の色だと気づいたのだろう、声が嬉しそうだ。ちょっと恥ずかしいけど、これは、私の主張であり、意思だ。
「仮面、着けちゃったんですね」
「先程まで陛下がいたからな」
「そうですか・・・・」
「不満そうだな」
「不満です」
美人は3日で飽きるというけど、ミカエル様はどれだけ見ていても、飽きない。むしろ、足りないくらいだ。
「そんなことを言うのは、貴女くらいだな。・・これから、両陛下と第二王子、第三王子に会うことになる。大丈夫か?」
「大丈夫じゃありません。第二王子とは、会いたくありません」
「そうだろうな」
会わないという選択肢はないようだ。ミカエル様のエスコートで応接室に着くと、爺やが扉を開けてくれた。室内には、立ち上がり頭を垂れた王族がいた。
またか。
「楽にしてください」
その言葉で全員が座り、お茶が入れ直された。私は、ミカエル様と一緒のソファーに腰を下ろした。今度はマントではなく、しっかりと腕を掴んでいる。本当は、膝の上に座りたい。私の安全地帯だ。
「お待たせ致しました、陛下」
「いや、かまわん。スミレ様、先程は紹介できませんでしたので、我が国の王妃と王子の紹介をしても宜しいでしょうか?」
いえ、別に要りません、とは言えない。
「はい。座ったままでお願いします」
「わたくしは、王妃のカテリーナ・アルル・ロールウッドでございます。お見知りおきを」
あっ、この人は大丈夫な人だ。ママに似てる。笑顔が作り物じゃない。思わず、微笑み返してしまった。
「俺は、第二王子のガルクローグ・セバス・ロールウッド。必ずやスミレ様をその化け物から解放してみせます!その俯いた美しい顔を輝かんばかりの微笑みに変えてみせましょう」
ハァ、ウザい。話しの通じない人は、相手にしたくない。この人、絶対ナルシストだよ。
マントの中に隠れたい。見ないで欲しい。
ミカエル様は、私の緊張に気づいて手の甲をそっと撫でて宥めてくれた。
「・・・・私は、第三王子のレイナード・クルス・ロールウッドと申します。お見知りおきを」
良くも悪くも普通かな。でも、普通は大事。ちゃんと礼儀もわきまえている。
「スミレ様、ご気分はいかがでしょうか?」
気分?良いわけがない。王妃様の笑顔に少しだけ癒されたのに台無しだ。
「・・・・」
「あ、・・おほん・・・・」
王様は、気まずそうに視線をさ迷わせた。
「ハァ。陛下、この様なところまで、どういったご用件でしょうか」
「おお。それなんだが・・・・。スミレ様の伴侶候補にと選んだ者達が、お主では納得がいかぬと申してな。その・・・・スミレ様と共に過ごす時間が欲しいと・・・・」
「お断りします」
即座に断った。冗談じゃない。
「何故だ!皆、俺を筆頭に容姿も剣の腕も申し分ない者ばかりだ。共に過ごせば、その化け物より優れていると分かるはずだ。スミレ様は、騙されている!」
「先程から、化け物と聴こえてきますけど、よもやわたくしの息子のことではありませんよね?ガルクローグ」
王妃様、笑顔が怖いです。その笑顔は、第二王子に向けたままにしてください。それにしても、第二王子は、王妃様の子じゃないの?
「第二王子は、側妃の子だ」
ぼそりと隣から声が聴こえた。
なるほどね。通りで、第二王子だけ浮いてると思った。
王妃様に問われた第二王子は、何も答えることができず、蛇に睨まれた蛙のようだ。
「陛下。スミレ様をご覧になれば、誰を想っていらっしゃるかは一目瞭然でございましょう?思い上がった者達の戯れ事など取り合う必要はございませんわ」
「それは、分かっておる。だが、こちらから声をかけたのだ。無下にもできん」
「ならば、伴侶、として誰が相応しいか、ランスロットと勝負させましょう?それがいいですわ。ランスロット、30人程度、叩きのめせるわね?」
「準備運動にもなりませんよ」
ふたりとも不敵に微笑まないで。いや、ミカエル様は見えないけど、絶対に笑ってる。
「宜しいですわね、陛下。5日後の9時。第一騎士隊の訓練場で。わたくし達も立ち合います。ガルクローグも良いですわね?あれだけのことを言ったのですから、是非ともスミレ様を救い出して見せるとよろしいわ。ホホホ」
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「フン!」
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