転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫

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ペンダントの力

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「痛みは?」

「おかげで痛みはなくなった」

「じゃあアルくんを助けに行こう!」

「……」

俺の言葉に金髪のアルくんは何も言わなかった。

アルくんが危ない目に遭ってるなら助けにいきたい。
彼が助けに行きたいと思わなくても、アルくんになにかあったらまた彼も苦しむ。
彼はそれでいいのか?彼もアルくんなら自分を大切にしないのかな。

完全な神竜の意味はよく分からない。
でも、自分の気持ちならよく分かっている。

金髪のアルくんに手を差し伸ばすと、視線だけ俺の方に向けた。

「俺は諦めないから」とはっきりそう言った。

「後悔しないか?」

「しないよ、アルくんなら分かるよね…アルくんの中で俺が大きな存在なら俺はそれ以上にアルくんの存在が大きいんだから」

金髪のアルくんは小さく笑みを浮かべて、俺の手を握った。
その笑みは嬉しいというより、ちょっと意地悪な感じがした。

手と手が触れ合うとすぐに引き寄せられて、金髪のアルくんの腕の中におさまった。

その瞬間、空間に大きな亀裂が入った。

すぐに空間が割れて、周りの景色が変わった。
真っ暗な夜だったが外灯が照らしていて、見渡す。
見た事がない道の真ん中にいて、金髪のアルくんの真横になにかが通り過ぎた。

銃弾の音が聞こえてきて、戦いの真っ最中にいた。

空間から抜け出そうとしていたが、俺はずっと何処にいたんだ。
金髪のアルくんは「魔力のぶつかり合いでやはり空間が耐えられなかったか」と言っていた。

空間が壊れる事分かっていたのか、アルくんの魔力が限界だったから維持出来なかったのか。

「ユート!!」

「アルくん!」

いつものアルくんの声が聞こえて、アルくんの方を見る前に目を覆われた。
後ろにいるのは金髪のアルくんで目を隠す手を外そうと触れた。

しかし、びくともしなくて金属が混じり合う音が聞こえた。

アルくんが誰かと戦っているのに俺は何も出来ない。
守りたいのに何も出来ないなんてもう嫌だ。
ペンダントをギュッと握りしめると、温かくなった。

俺を守ってくれるならアルくんも守ってよ。

目を覆う手が離れて、視界にアルくんと長い爪を向ける男が見えた。
あの男は空間で目が覚めた時にいた男だ。
ペンダントの力で怪我を負っていたのを覚えている。

アルくんは攻撃を受け止めながら俺の名前を呼んでいた。

手になにかを握っていて、自分の手を見ると長槍が握られていた。
理由は分からないが、俺でもアルくんを助けられる。

人に刃を向けるのが怖くて、足が震える。
それでもアルくんと男の間に割り込むように長槍を振り下ろした。

地面に突き刺さる前に強風が二人を引き剥がした。

ダメージはなかったが、アルくんの前に立ち長槍を向けた。

「ユート、それは…」

「分からないけど、アルくんを守りたいって思ったら突然出てきて」

「ユートの想いの力か」

俺の想いの力、アルくんを守れるなら詳しい事は後回しでいい。

突然現れた俺を見て男は舌打ちして、男の後ろに小柄な男が現れた。
「こんな奴ら一人で十分だ!」「強がんなよ、さすがに黒竜相手に苦戦してるんじゃないのか?」と争いが始まった。

その視線が俺達に向けられて、爪と鞭が襲ってきた。

アルくんは爪を弾き返して一歩前に出た。
俺を見て安心してくれたのか、押され気味だったのが押していた。
俺もアルくんのために戦うんだと、鞭を払おうとしたが長槍に絡みついた。

少しでも手が緩んだら持っていかれるほどの強い力だ。
身長は俺とそう変わらないのに、腕力は俺よりも強い。

「そんなヒョロヒョロで僕に勝てると思った?」

「うっ…ぐっ」

「力の持ち腐れだね、その力…僕にちょうだいよ…お前より使いこなせるからさ」

長槍を思いっきり引っ張られると俺の身体も小柄な男に近付く。
足を踏ん張っても全く効果はない。
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