転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫

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・アルフリード視点・

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「うっ、ごほっ」

「アルフリード様、お身体の具合でも悪いのですか?」

「何でもない」

「ですが…」

「俺に構わなくていい」

騎士団の副団長であるフレデリックは壁に寄りかかって、息を乱して咳き込む俺に近付いてきた。
背中を撫でようとしてきて、とっさに避けた。
幼少期は仕方ないとはいえ、そこだけは彼以外に触られたくない。

仕事以外で関わってきてほしくなくて突き放すようにフレデリックに背を向けて歩いた。

俺の拒絶に追いかけては来なかった。

一年一年過ぎていくと、俺の姿も完璧な人間のように変わっていく。
もう竜の姿がどうだったか思い出せなくなっている。
それと同時に、俺の中に流れる魔力も日に日に増えていく。

魔法を使わないと身体の中の魔力が身体中から溢れてくる。
俺は身体の中に魔力があるから俺自身は影響はそこまでない。
魔法を生み出しているのは俺だから当然だ。

影響があるのは魔力を持たない人間だ。

魔物から離れた魔力は人間の身体に入り込む。
人間の身体は当然耐性がなく魔力に適応していない。
異物が入った身体は、身体の中から発火して身体を燃やし尽くして消える。

人間にとって空気を吸ったら即死する猛毒のようなものだ。
しかも誰の目にも見えないから余計に厄介だ。

魔物の目撃情報があり、下層部に行った時に燃えている人間を見た。
他の騎士達に息を吸わずに離れるように言い、発火した人間に触れた。
人間の身体は触れた頭から冷気が広がっていき、氷に包まれた。

魔力が充満しているのは気配ですぐに分かり、理解した。

魔物を研究する研究所もあるが、より詳しく知っているのは同じ魔物である者だけだ。
魔力があるという事は、何処かに魔力を暴走させた魔物がいるはずだ。

魔力の放出の原因であるスライムの魔物を見つけて、斬りつけて消滅した。
浄化した魔物を眺めて、魔力が弱い魔物だったから被害が広がらなかった。
魔物なら誰でもこういう事になる危険がある。

これが俺だったらと思うと、被害はより広がる。

今思えば、力の使い方を知らなかった竜の姿だった時危なかった。
魔力が漏れずに魔法を使う事で無意識に落ち着かせていた。
あの時は知らずに魔力は感情に等しいから抑えていたが、正解だったんだなと今は思う。

一歩間違えたら、俺は厄災の魔物に変わる。

今では魔力を上手くコントロールして、あんな失態はもうない。
国を守るために騎士団に入り、最年少の二十歳で騎士団長となった。

下層部も国の結界で守られているのに、結界石が遠いのか結界の効果が薄い。
ここにも設置すればいいのに、王族は下層部に見向きもしない。

結果が薄いからか、すぐに結界に穴を開けて外から魔物が入ってくる事がある。

今までは魔物が人間に取り憑くまで何も出来なかった。

騎士団に入るまで、下層部の立ち入りを禁止されていた。
人間に取り憑いた魔物は凶暴化して殺し合う。
下層部がこうなったのも野放しにされた魔物のせいだ。

俺が騎士団に入り、積極的に下層部の調査をした。
暴れる魔物を倒すと取り憑かれる人は減った。
どんなに倒しても魔物は溢れていき、力を暴走させた。

弱い魔力だから魔物を倒せれば同時に消える。
今はこうやってやって行くしかない。

俺の中にある魔力の量は多く、魔法を使う量は少ない。
だからこそ魔力切れという事はないが、すぐに魔力が身体中に満ちてきて体調を崩す。

仕事として多く魔物を倒す事しか楽にはならない。
もっと強い魔物はいないのかと求めてしまった自分が嫌だ。
これより強い魔物は、最悪の場合国が滅ぶ。

あの少女に触れられたら魔力が安定して落ち着いた。
もう一度やってもらえば、魔法を使わなくても良くなるのかもしれない。
どういう仕組みか分からないが、実際に楽になったのは確かだ。

そう思っても精神的に触れられるのは嫌だ。
助けてもらったのに、こんな気持ちになる自分もどうかと思う。
でも、我慢が出来ない…彼との記憶を塗り替えられてしまう気がした。

この身体に彼は触れていないが、記憶では感触を覚えている。

これは俺のわがままでしかないが、それに頼るくらいならこの身が朽ちるまで戦い続ける。

ここに彼がいたらいいのに……この世の何処にも彼しかいないとしても、彼にだけ触れられたい。
彼なら、もっともっと深くに入り込んでも構わない。

触れられるだけではない、俺ももっと触れたい。

俺が入る事を許してくれただろうか、暴かれたくないところは見ないから。
もう、そういう事も出来ない…彼の代わりは何処にもいない。

魔力は身体を満たしているのに、心は満たされる事はない。

優しく温かな太陽のような笑顔しか俺を照らせない。

今日も下層部の魔物を消して、他の騎士達に指示を出した。
もっと力を出さないと、まだ魔力が治まりそうにない。

力を持て余して手に小さな火を出すが、こんな力で落ち着くわけがない。

後ろにガサガサと気配を感じて、火を炎に変えて後ろに向かって放った。
棍棒を持った豚の魔物は雄叫びを上げて灰となった。
風に飛ばされていく灰を眺めて、俺のようだと思った。

俺の大切な初恋は、本当に終わったんだな。
あの子は、俺のいない世界で幸せになっているのかな。

本当に、自分の心はどうしてこんなに醜いのか。

好きな子の幸せをこんなに望む事が出来ないなんて…
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