転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫

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噂が噂を作る

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翌朝、学校に向かって歩いていた。

やっぱりダメだったかな、お礼の置き手紙をしていただけじゃ感謝は伝わらない。

でも学校の時間だからって起こすのも申し訳ない。
部屋でも仕事をしていたし、俺が想像出来ないほど忙しいんだろうな。

夜遅くに苦しそうにしていたし、背中をさすったら落ち着いたけど休んだ方がいい。

返さなくていいと言われたけど、高価な服みたいだから貰えない。
綺麗に服を洗って返す時に改めてお礼を言おう。
捨てるかどうするかは所有者であるアルフリードが決める事だ。

それで、この世界での俺達の繋がりが何もなくなる。

学校の道具も何も持って来ていないから一度アパートに戻ってきた。

身体の痣はまだ消えていないが、薄くなっているから数日で綺麗になる。
身体の怠さはもう治っている、感謝してもしきれないほどもらっている。
やっぱり菓子折りも持っていった方がいいよな。

その前に新しい仕事探さないといけないな、一気に現実に引き戻された。

学校に行くと、いつもの水が上から降ってこない。
上を見上げると教室のベランダから俺の事を見ている顔があった。
俺と目が合った瞬間にすぐに引っ込んでしまった。

まるで危ない人を見るかのような奇妙な顔をしていた。

前を見ると俺を見る人達がいたが、避けるように走っていった。

「なんだろう」

この前と今日、二日しか離れていないのになんでこんなに態度が違うんだろう。

なにかあったとしたら昨日、変わった事なんてあっただろうか。

考えていたら、周りから「あれがアルフリード様に無礼をした生徒?」「あの身なり、下層部の人間じゃない?」と言われていた。
俺が振り返るとすぐに下を向いて目線を逸らされた。

俺が倒れた時アルフリードに部屋まで運ばれた。
意識を失ってはいたがパレード中だったから不特定多数に見られたんだと思う。
俺が倒れたせいで、アルフリードに迷惑掛かってしまった。

俺とは立場が違う人だから、俺が陰口言われるだけならいいがアルフリードもなにか言われたら嫌だな。
俺を助けただけだから悪くは言われないと思うけど、迷惑はこれ以上掛けたくない。

俺には謝る事しか出来ない、なにかしてほしい事があるなら何でもする。
俺よりもアルフリードなら何でも出来そうな気がするけど…

俺はヤバい奴だと噂が広がり、腫れ物扱いされている。
学校で友達作るのはもうとっくに諦めている。
変な奴だと思われるだけだし、暴力振るわれないだけマシか。

「お前、下層部の分際でパレード中のアルフリード様に突撃したんだって?」

「え……?」

噂がだんだん変な方向にねじ曲がってきて、とんでもない事になっていた。
噂は噂だけではなく、真実も混じっているのかな。

意識がない時にアルフリードに突撃してしまったのか?

記憶がないと本人しか知らないし、アルフリードは優しいから言わないよな。

そう言われたら覚えていないから否定が出来ない。

でも謝るのはアルフリードにだから、全く関係ないこの人達に言われても困る。

肯定も否定も出来ないから、そのまま右に回って来た道を歩く。
反論しても、俺の経験からして話が通じない人達だ。

通りすぎると危ない気がしたから、離れるのが一番だ。

後ろから怒鳴り声が聞こえたが、全速力で早歩きする。
走ると怒られるから、このくらいなら教師に目を付けられる事はない。

またいつもの変わらない日常に戻ると思っていた。
しかし、今まで関わりがなかった危険な人に目を付けられるようになった。

後ろから首を掴まれて、床に無理矢理押し倒された。
相手は廊下を走るのがいけない事だと認識していないのか、全速力だった。

頭を打って、脳が揺さぶられて痛みと頭がボーッとしてきた。

「うっ…」

「無視してんじゃねぇぞ!」

「国の英雄の敵は俺達が何してもいいよな」

何を言っているのか分からず、理解させる気も相手にはなかった。
せっかく治りかけていたのに、もう一度頭を床に打ち付けられた。

ポタポタと廊下を赤い点が汚していき、頭から血を流していた。
この前殴られた事がマシだと思うほど、殺される恐怖を感じた。

首を掴む手を掴もうとしたら、腕を掴まれて後ろに引っ張られた。
ミシミシと骨が軋む痛みに涙が溢れてきて、身体が震える。

痛いと声を出すと重いっきり頬を殴られるから何も言えなくなった。

最初は貴族かと思ったが、よく見ると旧式の服だ。
貴族は新しい服を着ているが、下層部の人達は高価な服が買えず旧式の服を着ている。
デザインはそう変わらないが、細かい部分が色褪せている。

まさか、俺にこんな事をしているのが下層部の生徒だとは思わなかった。
でもよく考えたら下層部同士でもこういう事はある、元々治安が悪いところだから…

上層部の人間と違うところは暴力の加減がない事だ。

上層部の人間は下手な事をして相手を殺すと自分の経歴に傷が付く。
下層部の人間は何も失うものがないから強い。

下層部の人間だと分かる人にはすぐに分かる。
俺はまさか違うだろうと思って、最初から上層部の人間だと思っていた。

そこは疑って申し訳なかったと心の中で謝った。

自分が悪くなくても、止めてほしくて必死に謝った。
手が離されて、腕を守るように自分の身体を抱きしめる。

「止めてほしかったらこれから毎日金持って来いよ」

「上層部には男を買う変態貴族がいるんだってさ、すぐに金入るだろ」

下品な笑い声を上げる奴らに言い返したらまた何をされるか分からず、黙っている事しか出来なかった。
上層部の人間は金持ちだから、金を要求された事はなかった。

それでも、どちらかがマシだと思いたくないほどどちらも最低だ。

アルフリードに会ったら、また心配掛けてしまう。
傷がない状態で会いたいのに、痣が増えたら余計な心配を掛けてしまう。

俺のポケットをまさぐられて財布を取り出して、お金を全て取られて財布を顔の上に落とされた。

俺のお金なのに「ちゃんと稼いで来いよ!」と怒られて、下層部の人間達はいなくなった。
ゆっくり起き上がろうとしたが、すぐに身体が軋んで痛い。

俺に魔法があれば、すぐに治って誰にも気付かれないようにするのにな。
壁に寄りかかり、小さく息を吸って吐くだけでも身体が動いて痛い。

この痛みは、俺が未練がましく彼を見ていた罰なのかな。
彼の幸せを邪魔しているように見えたから、二度と近付くなと言われているようだ。

「俺だって幸せを奪いたくない、ちゃんとおめでとうって言いたいんだ!」

誰もいない静かな廊下で、心の叫びを口にした。
俺の望みは、有流くんにただ笑ってほしいだけだ…隣が俺じゃなくても幸せにしてくれる人なら…
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