転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫

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新しい恋

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その身体を全て受け止めるように強くしっかりと抱き締められた。

震えているのは俺だけじゃない、有流くんの身体も震えている。

彼は元恋人の有流くんだ、間違いない…じゃあ違うって何の話?

有流くんはあの時の話をしてくれた、その真実は一瞬理解出来なかった。

俺が見たのは有流くんのお兄さん?顔がそっくりな兄弟がいるって知らなかった。
有流くんは家族との仲が良くなくて、内緒にしていた。
その結果、俺達は真相を知らぬまま家族に別れさせられた。

「この世界とは別の世界だから、証拠はない」

「うん、そうだね」

「俺は生涯を優斗に捧げていた、愛を証明するためには何でもする」

アルフリードは手に力を込めて、短剣を出現させた。
その短剣を自分の心臓に向けていて、驚いてアルフリードの両手を掴んで上に向けた。

愛の証明でそこまでするなんて望んでないし、有流くんが言うなら信じる。
生まれ変わっても、別れたかったのに嘘を付く意味が何もない。

顔が似ているとはいえ俺の顔を覚えてくれて、こうして助けてくれる。
それだけで嬉しかった、有流くんの愛は感じたよ。

ありがとう有流くん、こんな俺を好きになってくれて…

だからこそ、俺は過去とお別れする決意が出来た。
本当の事を知って、俺はあの人は有流くんじゃなかったと知った。
ずっと別れた事をひきずって、過去の思い出にすがっていた。

突然豹変した理由が分からなかった事も聞いとけば良かったという後悔もあった。

でも、俺は優斗じゃない…ユート・カインスという名前だ。
有流くんもアルフリードで、ゲームのメインキャラクター。
ヒロインのセレナと恋に落ちるかもしれない、アルフリードの道はきっと幸せが約束されている。

これは過去の恋人だ、今ではなくお互い前世に気持ちが囚われている。

「愛はいっぱいもらったよ、溢れるほど」

「そうなのか?でも、もっとあげたい」

「アルフリード様、優斗はもう死んでるんだよ…誰かのせいではなくもういない」

「目の前にいる」

「記憶が残っていても、顔が似ていても、俺は優斗じゃない」

「………」

「だから、俺はここで有流くんと正式にお別れするよ」

ずっとずっと好きだったのに、お別れするのは心が痛い。
でも、前を向くためには必要な事だ…いつまでもウジウジしていても前に進めない。

今度は誤解でもなく、ちゃんと俺の口から「別れよう」と言った。

アルフリードはしばらく沈黙した、それがどのくらい長かったのか分からない。
やがて小さな声で「分かった」と言い、手に持っていた短剣は消えた。

長い長い過去の想いは今日で終わったんだ、あの人は別人だからアルフリードに怯える事もない。

アルフリードはこの世界を知らない、今後好きな人が出来る事も…その人が近くにいる事も…

両手を掴んでいた手を離して、脱いだ上着を着た。

ベッドから降りて、いつの間にか下半身の興奮がおさまっていた。
それどころじゃなかったからかな、ここでまだ興奮していたらいよいよ変態になるな。

「俺、この世界の事知ってるんだ」

「ユートにも能力があるのか?」

「俺自身も分からないけど、前世の頃にやっていたゲームの世界でアルフリードは女の子と幸せになる物語なんだ」

「そうなのか」

「知ってる?セレナちゃんって言うんだけど…」

「……」

お互い沈黙が続く、アルフリードが何を思っているのか分からない。

後ろを振り返ると、アルフリードもこちらを見つめていた。
一度も逸らさず、まっすぐに俺に視線を向けていた。

前世の頃、告白されて俺はその告白を受けた。
それからお互いの気持ちを知っているから、好きと口にする事はなかった。
愛情を確かめ合うのは、キスが一番想いが伝わると思ったからだ。

俺は、有流くんが好きな気持ちがあったが口には出していなかった。

話し合わないから俺達はすれ違い、こんな事になった。
想いを伝える事はそれほど重くて、大切な事だ。

アルフリードは手を伸ばして俺の腰に腕を回して、抱きしめた。
腹に顔を埋めるアルフリードは苦しくないのか、強く抱きしめていた。

俺はアルフリードを見下ろして、ジッとしていた。
少しでも動いたら、この幸せが逃げてしまう気がしたから。

断ったのに、この気持ちを知られたら図々しいって思うよね。

「俺、俺は…この関係をリセットしたんだ、アルフリードとして可愛い女の子と結婚して、国の英雄として皆の憧れる存在、俺も見たいな…一人の国民として…竜王騎士の活躍をっ」

「興味ない、国を守る事も絶対に好きにならない女も…俺の人生には必要ない」

「だ、ダメだよ…今までゲーム通りに進んでるんだよ!セレナちゃんに一目惚れして助けて騎士団で匿っているんだから」

「俺は仕事をしただけだ、騎士団のメイドの仕事を与えたのは副団長だ、会った事は何度もあるが微塵も興味がない」

「でも…」

「ゲームでは俺もユートもゲームのキャラクターなんだろ?こういうシーンはあったのか?」
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