17 / 34
17【騎士との口づけ】
しおりを挟む
のしかかってくる大きな身体は、たいへん重い。マレクの肩に顔を埋めて甘えるようにしているのは、大型犬に懐かれているようでもある。主人の存在を確かめるように、背中に回った腕が力を込めてくる。
――逃げたりしないのに。
マレクは笑みを浮かべながら、黒い頭を撫でた。すると、バルトルトは顔を上げて、マレクの頭を腕で囲む。少しでも肘を曲げれば、顔がぶつかる距離だ。
琥珀色の目が自分の唇を見ている。浮き出た喉仏が上下する。それだけで口づけがしたいのだと、色恋に鈍いマレクにもわかった。顔の横の拳が何度も震えているのが、葛藤しているのだということも。
手持ち無沙汰だった腕を太い首に巻き付けた。口づけする距離を測ったことは今までない。こんなふうに自分から距離を詰めた経験はなかった。
だから、腕を回した拍子に、バルトルトの唇に自分の唇が当たった。
「あ、ごめ、んんっ!」
一瞬にして柔らかいものに包まれて腕を離したのに、すぐにまた感触がやってきた。至近距離でバルトルトのまつ毛を見たのを最後に、目を瞑った。
触れるだけではなく、今度は唇を押しつぶすような強い圧だった。重なるというよりかは、擦るようだ。角度を変え、何度も唇を擦りつけたり、甘噛する。息ができなくなる頃に適度に離れて、それでも続く。
「バル、んっ」
ついには唇を割って、厚みのある舌が入り込んできた。歯列をざらりとした舌がなぞっていく。粘膜の絡まる音がして、聞いたマレクの耳は熱くなった。
半目でのぞくと、バルトルトの伏せた瞼が見えた。いつも表情の少ない顔が苦しそうに歪んでいる。ほんのり赤く染まった肌が興奮していることを告げた。
必死な顔に見惚れていると、マレクの縮こまった舌がバルトルトに暴かれた。表面も裏も舌先でなぞられて、くすぐったい。
どうすればいいのか勝手がよくわからず、されるがままになっている。舌を吸い付かれたときには肩が動いた。舌も甘噛されて、表面がじんじんとうずいてきた。
かと思えば、舌先だけで遊ぶように舐めてくる。バルトルトの口周りが唾液で濡れているのがおかしい。マレクは微笑を浮かべながら、舌先で丁寧に舐め取った。
親切心だったのに、バルトルトは「くそ」と青筋を立てている。
さすがに舐めたのは、はしたなかっただろうか。主導権はマレクになかったのかもしれない。
反省して瞼を伏せたとき、手首が強く握られた。手のひらが重なったかと思うと、指に太い指が絡まった。そんじょそこらの力では外せなくなった。
「いちいち可愛いことをするな」
酔っ払ったかのように目元を赤く染めたバルトルトは、マレクの下顎に噛みつくように貪ってきた。
先程の比ではない。口内で舌が暴れ回っている。口の端から唾液が垂れると、厚い舌が舐め取ってくる。息継ぎができなかった。苦しくて頭がぼーっとして、何も考えられない。
身体が重なっているせいで、腿に硬いものが触れた。気づいた瞬間に、全身が熱くなった。
身体に異常反応が出ているのに、バルトルトはマレクとの口づけに夢中になっているらしい。熱に浮かされたように「マレク」と呼んでくる。止めるのは野暮な気がして、このまま流されることにした。
◆
唇が腫れぼったくなるまで口づけは続いた。
バルトルトは肘をついたまま、横たわっている。その目が細められていて、視線はマレクに注がれていた。
窒息寸前まで追い込まれて、深呼吸を繰り返す。
「大丈夫か?」
普段はあまり抑揚のない低い声が、愉快そうに上がっている気がする。珍しく機嫌がいいのかもしれない。
相変わらず表情に変化はない。それでも興味深く感じ取ろうとすれば、言葉や顔色だけではない表現が、少しだけわかるようになった。
「大丈夫じゃ、ない」
まだ空気が足りずに、呼吸を繰り返す。「やり過ぎたか」と目を伏せて反省する騎士は、マレクの顎に指を添えた。親指で唇をなぞってくる。先程の感触を思い出して、吐息が漏れた。
「この顔では城に行けないな」
バルトルトが口の端を上げた。それは決して満面とはいえなくても、笑みを浮かべたのは確かだ。
マレクは見惚れて、喉が詰まった。胸の辺りから、込み上げてくるものがあったが、どうにか手を当てて抑えた。
「な、何で、行けないの?」
ふっと小さく笑い声を漏らす騎士に、またしても目の前が真っ赤に染まる。唇に触れていた手が移って、頬を撫でた。
「顔中が真っ赤だ。情事の後のように目が潤んでいる。この顔で部屋から出すのは、良くないだろう……妙な虫に付かれて困る」
そんな真っ赤だろうかと考えて、羞恥でまた顔が熱くなる。もう一つ気になったのは「妙な虫って何?」ということだ。
「さあな」
肩をすくめて笑うのはずるかった。マレクはいちいち胸がいっぱいになって、何も言えなくなる。
隣り合って横たわって話をしているだけのふたりの時間が過ぎていく。顔の熱が落ち着く頃には、すっかり太陽が上がって、部屋に日だまりができていた。
◆
王城へ向かうために豪奢な馬車に乗ったのは、バルトルトもマレクも目立つ服装をしていたからだ。国王の面前では身綺麗にしなければならず、普段よりも上等な服を着ていた。
バルトルトは黒い騎士服を着こなし、腰に剣帯をしている。胸元の勲章といい、太い首元を隠した襟には金の糸で縁取られていた。
前髪は後ろに撫でつけられており、額に何本か落ちていた。髪の毛は一つにまとめられていて、端正な顔立ちを邪魔していない。
馬車の窓を眺める横顔は、一枚の絵画にしておいてもいいほど、様になっていた。
マレクは反対に落ち着かない服を着ていた。袖にも襟にもフリルがついた貴族服だ。鮮やかな青の服は、マレクの瞳の色から選んだらしい。
この服の色やブーツや髪型に至るまで、バルトルトから事細かに注文があったという。お世話をしてくれる侍女に聞いた。
その時のマレクは「僕は知らないのに!」と、少しだけ苛ついた。しかし、衣装に着替えたマレクをバルトルトが見たときに「やはり、お前には青が似合うな」と笑った。すっかり毒気を抜かれて、「そ、そう?」と満更でもない気持ちになった。
金糸の髪は後に撫でつけられて、丸い額が出ている。バルトルトのような原始的な雄を思わせる額ではなく、産毛も残り、子供っぽくてマレクは好きではなかった。それも、バルトルトに不意打ちに口づけを落とされたことで変わった。
――「可愛いな」
厳密には何に対して可愛いと言ったのかはわからない。それでもマレクは、丸すぎる額に対して言ったように捉えた。そうするだけで、嬉しかった。丸い額もきらびやかな服も全部、受け入れられた。
バルトルトの視線が窓に向けられているはずなのに、時折、マレクをちらちら見てくる。見返そうとすると、慌てて窓の外に戻す。何度か繰り返して、マレクは堪らず笑い声を上げた。
「何だよ、バルトルト。何か話したいことでもあるの?」
気を許した友達のようにバルトルトの隣に座ると、大きな身体が固まったのを感じた。
「いや、何も」と、もごついているのが怪しい。
見上げると、琥珀色の目がマレクを凝視してきた。
この目は穏やかな時もあるのに、獲物を狩るように鋭くなる時もある。それを怖いと思うよりかは、不思議と自らすすんで被食者なりたいと思ってしまう。いっそのこと、バルトルトの血肉になりたい。
望みに近い想いに駆られながら、マレクはバルトルトの袖を掴んだ。そっと自分の方へ引く。瞼を伏せると、優しく柔らかい感触が唇に押し当てられた。
瞼を開けると、額同士が触れ合う。あまりに近い距離で見つめ合っているのが恥ずかしくて笑う。バルトルトもこり固まっていたはずの頬を緩めていた。
ふたりが車中でじゃれ合っている間に、馬車は速度を緩めて、やがて完全に止まった。グロッスラリアの王城は、灰色に見えたアラバンド城とはまったく違っていた。
何より城内の雰囲気がまるで違う。通りかかった令嬢の贅沢をこらした衣装は、アラバンドではまず見られないものだった。
女性の贅沢はまず先に禁じられた。外に出る男性は権力を誇示するために、贅沢を義務付けられた。
国の未来を担う女性や子供を道具に扱うアラバンドが破滅に向かったのは、運命だったのかもしれない。
働く侍女も近衛兵も健康的で明るい顔をしている。それは隣で歩くバルトルトのせいかもしれなかった。令嬢もバルトルトを見る目が夢心地に蕩けていた。侍女は頭を下げているためわからないが、遠くの方で「ガドリン様よ」という声は聞こえた。「お隣の方はもしかして……」
マレクも認識されていたのが恥ずかしく思えて、歩く速度を緩めたのだが、バルトルトはすぐに気づいた。
「どうした? 疲れたのか?」
覗き込んできて、太い指が頬に触れる。その時、後ろできゃーと声が聞こえた。すぐに途絶えたが。マレクは太い指を強く握って、首を振った。
「大丈夫。一番緊張するのは、これからだもんね」
バルトルトが心配してくれていることで、安心して冷静になれた。せめて、バルトルトに恥をかかせないようにしよう。自分の中にある貴族の断片を集めて、どうにか気高く装う。そう決意を新たにした。
――逃げたりしないのに。
マレクは笑みを浮かべながら、黒い頭を撫でた。すると、バルトルトは顔を上げて、マレクの頭を腕で囲む。少しでも肘を曲げれば、顔がぶつかる距離だ。
琥珀色の目が自分の唇を見ている。浮き出た喉仏が上下する。それだけで口づけがしたいのだと、色恋に鈍いマレクにもわかった。顔の横の拳が何度も震えているのが、葛藤しているのだということも。
手持ち無沙汰だった腕を太い首に巻き付けた。口づけする距離を測ったことは今までない。こんなふうに自分から距離を詰めた経験はなかった。
だから、腕を回した拍子に、バルトルトの唇に自分の唇が当たった。
「あ、ごめ、んんっ!」
一瞬にして柔らかいものに包まれて腕を離したのに、すぐにまた感触がやってきた。至近距離でバルトルトのまつ毛を見たのを最後に、目を瞑った。
触れるだけではなく、今度は唇を押しつぶすような強い圧だった。重なるというよりかは、擦るようだ。角度を変え、何度も唇を擦りつけたり、甘噛する。息ができなくなる頃に適度に離れて、それでも続く。
「バル、んっ」
ついには唇を割って、厚みのある舌が入り込んできた。歯列をざらりとした舌がなぞっていく。粘膜の絡まる音がして、聞いたマレクの耳は熱くなった。
半目でのぞくと、バルトルトの伏せた瞼が見えた。いつも表情の少ない顔が苦しそうに歪んでいる。ほんのり赤く染まった肌が興奮していることを告げた。
必死な顔に見惚れていると、マレクの縮こまった舌がバルトルトに暴かれた。表面も裏も舌先でなぞられて、くすぐったい。
どうすればいいのか勝手がよくわからず、されるがままになっている。舌を吸い付かれたときには肩が動いた。舌も甘噛されて、表面がじんじんとうずいてきた。
かと思えば、舌先だけで遊ぶように舐めてくる。バルトルトの口周りが唾液で濡れているのがおかしい。マレクは微笑を浮かべながら、舌先で丁寧に舐め取った。
親切心だったのに、バルトルトは「くそ」と青筋を立てている。
さすがに舐めたのは、はしたなかっただろうか。主導権はマレクになかったのかもしれない。
反省して瞼を伏せたとき、手首が強く握られた。手のひらが重なったかと思うと、指に太い指が絡まった。そんじょそこらの力では外せなくなった。
「いちいち可愛いことをするな」
酔っ払ったかのように目元を赤く染めたバルトルトは、マレクの下顎に噛みつくように貪ってきた。
先程の比ではない。口内で舌が暴れ回っている。口の端から唾液が垂れると、厚い舌が舐め取ってくる。息継ぎができなかった。苦しくて頭がぼーっとして、何も考えられない。
身体が重なっているせいで、腿に硬いものが触れた。気づいた瞬間に、全身が熱くなった。
身体に異常反応が出ているのに、バルトルトはマレクとの口づけに夢中になっているらしい。熱に浮かされたように「マレク」と呼んでくる。止めるのは野暮な気がして、このまま流されることにした。
◆
唇が腫れぼったくなるまで口づけは続いた。
バルトルトは肘をついたまま、横たわっている。その目が細められていて、視線はマレクに注がれていた。
窒息寸前まで追い込まれて、深呼吸を繰り返す。
「大丈夫か?」
普段はあまり抑揚のない低い声が、愉快そうに上がっている気がする。珍しく機嫌がいいのかもしれない。
相変わらず表情に変化はない。それでも興味深く感じ取ろうとすれば、言葉や顔色だけではない表現が、少しだけわかるようになった。
「大丈夫じゃ、ない」
まだ空気が足りずに、呼吸を繰り返す。「やり過ぎたか」と目を伏せて反省する騎士は、マレクの顎に指を添えた。親指で唇をなぞってくる。先程の感触を思い出して、吐息が漏れた。
「この顔では城に行けないな」
バルトルトが口の端を上げた。それは決して満面とはいえなくても、笑みを浮かべたのは確かだ。
マレクは見惚れて、喉が詰まった。胸の辺りから、込み上げてくるものがあったが、どうにか手を当てて抑えた。
「な、何で、行けないの?」
ふっと小さく笑い声を漏らす騎士に、またしても目の前が真っ赤に染まる。唇に触れていた手が移って、頬を撫でた。
「顔中が真っ赤だ。情事の後のように目が潤んでいる。この顔で部屋から出すのは、良くないだろう……妙な虫に付かれて困る」
そんな真っ赤だろうかと考えて、羞恥でまた顔が熱くなる。もう一つ気になったのは「妙な虫って何?」ということだ。
「さあな」
肩をすくめて笑うのはずるかった。マレクはいちいち胸がいっぱいになって、何も言えなくなる。
隣り合って横たわって話をしているだけのふたりの時間が過ぎていく。顔の熱が落ち着く頃には、すっかり太陽が上がって、部屋に日だまりができていた。
◆
王城へ向かうために豪奢な馬車に乗ったのは、バルトルトもマレクも目立つ服装をしていたからだ。国王の面前では身綺麗にしなければならず、普段よりも上等な服を着ていた。
バルトルトは黒い騎士服を着こなし、腰に剣帯をしている。胸元の勲章といい、太い首元を隠した襟には金の糸で縁取られていた。
前髪は後ろに撫でつけられており、額に何本か落ちていた。髪の毛は一つにまとめられていて、端正な顔立ちを邪魔していない。
馬車の窓を眺める横顔は、一枚の絵画にしておいてもいいほど、様になっていた。
マレクは反対に落ち着かない服を着ていた。袖にも襟にもフリルがついた貴族服だ。鮮やかな青の服は、マレクの瞳の色から選んだらしい。
この服の色やブーツや髪型に至るまで、バルトルトから事細かに注文があったという。お世話をしてくれる侍女に聞いた。
その時のマレクは「僕は知らないのに!」と、少しだけ苛ついた。しかし、衣装に着替えたマレクをバルトルトが見たときに「やはり、お前には青が似合うな」と笑った。すっかり毒気を抜かれて、「そ、そう?」と満更でもない気持ちになった。
金糸の髪は後に撫でつけられて、丸い額が出ている。バルトルトのような原始的な雄を思わせる額ではなく、産毛も残り、子供っぽくてマレクは好きではなかった。それも、バルトルトに不意打ちに口づけを落とされたことで変わった。
――「可愛いな」
厳密には何に対して可愛いと言ったのかはわからない。それでもマレクは、丸すぎる額に対して言ったように捉えた。そうするだけで、嬉しかった。丸い額もきらびやかな服も全部、受け入れられた。
バルトルトの視線が窓に向けられているはずなのに、時折、マレクをちらちら見てくる。見返そうとすると、慌てて窓の外に戻す。何度か繰り返して、マレクは堪らず笑い声を上げた。
「何だよ、バルトルト。何か話したいことでもあるの?」
気を許した友達のようにバルトルトの隣に座ると、大きな身体が固まったのを感じた。
「いや、何も」と、もごついているのが怪しい。
見上げると、琥珀色の目がマレクを凝視してきた。
この目は穏やかな時もあるのに、獲物を狩るように鋭くなる時もある。それを怖いと思うよりかは、不思議と自らすすんで被食者なりたいと思ってしまう。いっそのこと、バルトルトの血肉になりたい。
望みに近い想いに駆られながら、マレクはバルトルトの袖を掴んだ。そっと自分の方へ引く。瞼を伏せると、優しく柔らかい感触が唇に押し当てられた。
瞼を開けると、額同士が触れ合う。あまりに近い距離で見つめ合っているのが恥ずかしくて笑う。バルトルトもこり固まっていたはずの頬を緩めていた。
ふたりが車中でじゃれ合っている間に、馬車は速度を緩めて、やがて完全に止まった。グロッスラリアの王城は、灰色に見えたアラバンド城とはまったく違っていた。
何より城内の雰囲気がまるで違う。通りかかった令嬢の贅沢をこらした衣装は、アラバンドではまず見られないものだった。
女性の贅沢はまず先に禁じられた。外に出る男性は権力を誇示するために、贅沢を義務付けられた。
国の未来を担う女性や子供を道具に扱うアラバンドが破滅に向かったのは、運命だったのかもしれない。
働く侍女も近衛兵も健康的で明るい顔をしている。それは隣で歩くバルトルトのせいかもしれなかった。令嬢もバルトルトを見る目が夢心地に蕩けていた。侍女は頭を下げているためわからないが、遠くの方で「ガドリン様よ」という声は聞こえた。「お隣の方はもしかして……」
マレクも認識されていたのが恥ずかしく思えて、歩く速度を緩めたのだが、バルトルトはすぐに気づいた。
「どうした? 疲れたのか?」
覗き込んできて、太い指が頬に触れる。その時、後ろできゃーと声が聞こえた。すぐに途絶えたが。マレクは太い指を強く握って、首を振った。
「大丈夫。一番緊張するのは、これからだもんね」
バルトルトが心配してくれていることで、安心して冷静になれた。せめて、バルトルトに恥をかかせないようにしよう。自分の中にある貴族の断片を集めて、どうにか気高く装う。そう決意を新たにした。
31
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる
ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。
・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。
・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。
・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。
冷徹勇猛な竜将アルファは純粋無垢な王子オメガに甘えたいのだ! ~だけど殿下は僕に、癒ししか求めてくれないのかな……~
大波小波
BL
フェリックス・エディン・ラヴィゲールは、ネイトステフ王国の第三王子だ。
端正だが、どこか猛禽類の鋭さを思わせる面立ち。
鋭い長剣を振るう、引き締まった体。
第二性がアルファだからというだけではない、自らを鍛え抜いた武人だった。
彼は『竜将』と呼ばれる称号と共に、内戦に苦しむ隣国へと派遣されていた。
軍閥のクーデターにより内戦の起きた、テミスアーリン王国。
そこでは、国王の第二夫人が亡命の準備を急いでいた。
王は戦闘で命を落とし、彼の正妻である王妃は早々と我が子を連れて逃げている。
仮王として指揮をとる第二夫人の長男は、近隣諸国へ支援を求めて欲しいと、彼女に亡命を勧めた。
仮王の弟である、アルネ・エドゥアルド・クラルは、兄の力になれない歯がゆさを感じていた。
瑞々しい、均整の取れた体。
絹のような栗色の髪に、白い肌。
美しい面立ちだが、茶目っ気も覗くつぶらな瞳。
第二性はオメガだが、彼は利発で優しい少年だった。
そんなアルネは兄から聞いた、隣国の支援部隊を指揮する『竜将』の名を呟く。
「フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下……」
不思議と、勇気が湧いてくる。
「長い、お名前。まるで、呪文みたい」
その名が、恋の呪文となる日が近いことを、アルネはまだ知らなかった。
邪神の嫁として勝手に異世界召喚されたけど、邪神がもろタイプだったので満更でもないです
我利我利亡者
BL
椎葉 譲(しいば ゆずる)は突然異世界に召喚された。折角就活頑張って内定もらえてこれからって時に、冗談じゃない! しかも、召喚理由は邪神とやらの神子……という名の嫁にする為だとか。こっちの世界の人間が皆嫌がるから、異世界から神子を召喚した? ふざけんな! そんなの俺も嫌だわ! 怒り狂って元の世界に戻すよう主張する譲だったが、騒ぎを聞き付けて現れた邪神を一目見て、おもわず大声で叫ぶ。「きゃわいい!」。なんと邪神は猫の獣人で、何を隠そう譲は重度のケモナーだった。邪神は周囲からあまりいい扱いを受けていないせいかすっかり性格が捻くれていたが、そんな事は一切気にせず熱烈にラブコールする譲。「大好き! 結婚しよ!」「早く元の世界に帰れ!」。今日もそんな遣り取りが繰り返される。果たして譲は、邪神とフォーリンラブできるのか!?
孤独な邪神でもある黒猫獣人×重度のケモナーでもあるおチャラけ根明
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる