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第13話 ライトの懸念(side:ライト/橘 光)
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本来俺の知るブレイブクライムオンラインには【レオニス・フィア】というキャラクターは、存在しなかった。
故に、ハイロマとのコラボイベントで初めて見た時には
「あー、コラボ用キャラとして新規に描き上げたのねー」
「んまぁー、気合いの入りまくった男前ですこと、さすが乙女ゲー用コラボキャラッスねー」
「その気合いを、俺らの方にも向けてくださいませんかねぇ?運営様ェ……」
くらいにしか思わなかった。
だって、それまでのブレイブクライムオンラインにイケメンキャラなんて一人もいなかったしね……キャラのアバターも、美麗とか格好いいってよりはデフォルメ寄りの可愛い系だったし。
だが、俺の前世の記憶が甦ったあの日。
怒濤のように溢れ出てくる記憶の中に、間違いなくレオニスの姿がいくつもあったのだ。
ピンクの髪の女の子相手に口説いたり、壁ドンやキスを迫る場面。それらは乙女ゲームでいうところのスチルと呼ばれる静止画。
前世の俺は、ゲームの画面越しにそれらを見ていた。
煌めく黄金色の髪に澄み渡るような天色の瞳、鍛え抜かれた長身体躯。その爽やかさと大胆不敵さを備えた色香ダダ漏れの笑顔は、まさしく乙女ゲームの攻略対象に相応しい華やかさだった。
『うひょー、こりゃまた気合い入れて超絶イケメン出してきただけあって、スチルも豪華なもんだねぇ』
呑気にそう思いながら、ゲーム画面を眺めていたっけ。
『ブレイブクライムオンラインという世界からハイロマという乙女ゲームに派遣された、世界一の凄腕冒険者という設定のコラボ用NPC』
それが俺の前世での、レオニス・フィアという架空のキャラクターに対する認識だった。
だが、今は違う。
確固たる肉体と感情を持つ一人の人間として、俺の目の前に存在している。笑いもすれば怒りもする、腹が減ればご飯を食べて風呂にも入り、トイレにだって普通に行く。
もはやゲームの中の架空の人物ではない。赤ん坊だった俺を引き取って、衣食住全ての面倒を見てくれている。
今の俺にとってなくてはならない、とても身近な存在で大事な恩人だ。
そのレオニスが存在すると同時に、乙女ゲーム『ハイロマ』がベースとなっていると思われる国、ハイロマ王国もアクシーディア公国の北側隣国として実在している。
そのことに気づいた時、俺は考えた。
「この世界の時間が流れ月日が経っていった時に、レオニスはどうなるのだろう?」
と。
【レオニス・フィア】
『ブレイブクライムオンラインからやってきた男』
『【深紅の恐怖】の異名を持つ、金剛級ランクの凄腕冒険者』
『まだ見ぬ宝物を見つけるため、世界中を旅して回る孤高の強者』
『身長188cm/体重83kg/年齢29歳』
『B113cm/W83cm/H89cm/足のサイズ28.5cm』
『好きな食べ物:唐揚げ/嫌いな食べ物:ピーマン』
『好きなタイプの女の子:気の強いツンデレラ』
ハイロマ公式サイトのコラボイベント用ページで紹介されていた、レオニスのプロフィールデータは確かこんなんだった。
……ツンデレラ好きかどうかはともかく(今までレオ兄の周りに女がいるの見たことないから、全く分からんのだよね……)、BWHの詳細もそこまで分からんが、冒険者としての階級や称号、身長体重足のサイズ、好きな食べ物嫌いな食べ物、このあたりは合致している。
レオニスの兄貴よ、ピーマンくらい食べれるようになろうよ、ね?
そういや期間限定攻略キャラレオニスの身体特徴として、こんなことも書かれていたっけ。
『左耳の後ろのうなじにホクロ、右脇腹の背中側に三日月型の痣があるよ!』
『耳の後ろのうなじは自分で直接見れないところなので、彼はそこにホクロがあることを知らないの。彼と仲良くなって、是非ともそのホクロの存在を貴女のその目で確かめよう!』
『右脇腹の痣は、水着になると見える位置にあるの!そして、お風呂に入るとほんのり紅く染まって超絶セクシー!海水浴イベントや入浴シーンに入れるスペシャルルート、絶対に絶対に見逃さないでね!』
…………知らんがな。まぁ、黒子と痣に関しては長年いっしょに暮らしているから、その存在が本当にあることは既に確認済みなのだが。
こんなハイロマ発のレオ兄情報を、世界を跨いでまでなお覚えてた俺も大概だとは思うが、何でこんなん覚えてるかって?
それはね、亜香里のやつが
『キャー、コラボイベの限定キャラ、超絶カッコいいー!』
『うなじの黒子とか痣とか、絶ッッッ対セクシーショットに決まってるじゃん!何が何でも意地でも見るわー!』
『お兄!ちょっとちょっと見てよこれー、ようやく右脇腹の月型痣スチル撮れたのー!お兄にもこの幸せ気分、お裾分けしてア・ゲ・ル♡』
……とか言いながら、イベント中ほぼ毎日キャーキャー騒がしく喜んでたんだよ!
だからね、あいつのせいで俺はこんなにレオ兄の詳細なデータを覚え知る羽目になったんだ、決して、決して俺はBL愛好家ではない!
……そういやあいつ、レオ兄の水着姿の方は拝めたんだろうか?
……
………
…………
深く考えるのはやめとくか。
このアクシーディア公国において、ゲームデータ通り世界一にも等しい金剛級のランクを既に持つ、正真正銘最強の冒険者レオニス。
まさか本当に、ハイロマ王国でヒロインらしき女の子と出会って、運命の恋に落ちてそのまま結婚―――なんて、そんなことが起きるとは思えないし、思いたくもない。
そう、ハイロマにおけるレオニス攻略ストーリーのハッピーエンドは『ヒロインとの結婚』なのだ。
それこそが、俺が最も懸念かつ憂慮する未来の知識だった。
故に、ハイロマとのコラボイベントで初めて見た時には
「あー、コラボ用キャラとして新規に描き上げたのねー」
「んまぁー、気合いの入りまくった男前ですこと、さすが乙女ゲー用コラボキャラッスねー」
「その気合いを、俺らの方にも向けてくださいませんかねぇ?運営様ェ……」
くらいにしか思わなかった。
だって、それまでのブレイブクライムオンラインにイケメンキャラなんて一人もいなかったしね……キャラのアバターも、美麗とか格好いいってよりはデフォルメ寄りの可愛い系だったし。
だが、俺の前世の記憶が甦ったあの日。
怒濤のように溢れ出てくる記憶の中に、間違いなくレオニスの姿がいくつもあったのだ。
ピンクの髪の女の子相手に口説いたり、壁ドンやキスを迫る場面。それらは乙女ゲームでいうところのスチルと呼ばれる静止画。
前世の俺は、ゲームの画面越しにそれらを見ていた。
煌めく黄金色の髪に澄み渡るような天色の瞳、鍛え抜かれた長身体躯。その爽やかさと大胆不敵さを備えた色香ダダ漏れの笑顔は、まさしく乙女ゲームの攻略対象に相応しい華やかさだった。
『うひょー、こりゃまた気合い入れて超絶イケメン出してきただけあって、スチルも豪華なもんだねぇ』
呑気にそう思いながら、ゲーム画面を眺めていたっけ。
『ブレイブクライムオンラインという世界からハイロマという乙女ゲームに派遣された、世界一の凄腕冒険者という設定のコラボ用NPC』
それが俺の前世での、レオニス・フィアという架空のキャラクターに対する認識だった。
だが、今は違う。
確固たる肉体と感情を持つ一人の人間として、俺の目の前に存在している。笑いもすれば怒りもする、腹が減ればご飯を食べて風呂にも入り、トイレにだって普通に行く。
もはやゲームの中の架空の人物ではない。赤ん坊だった俺を引き取って、衣食住全ての面倒を見てくれている。
今の俺にとってなくてはならない、とても身近な存在で大事な恩人だ。
そのレオニスが存在すると同時に、乙女ゲーム『ハイロマ』がベースとなっていると思われる国、ハイロマ王国もアクシーディア公国の北側隣国として実在している。
そのことに気づいた時、俺は考えた。
「この世界の時間が流れ月日が経っていった時に、レオニスはどうなるのだろう?」
と。
【レオニス・フィア】
『ブレイブクライムオンラインからやってきた男』
『【深紅の恐怖】の異名を持つ、金剛級ランクの凄腕冒険者』
『まだ見ぬ宝物を見つけるため、世界中を旅して回る孤高の強者』
『身長188cm/体重83kg/年齢29歳』
『B113cm/W83cm/H89cm/足のサイズ28.5cm』
『好きな食べ物:唐揚げ/嫌いな食べ物:ピーマン』
『好きなタイプの女の子:気の強いツンデレラ』
ハイロマ公式サイトのコラボイベント用ページで紹介されていた、レオニスのプロフィールデータは確かこんなんだった。
……ツンデレラ好きかどうかはともかく(今までレオ兄の周りに女がいるの見たことないから、全く分からんのだよね……)、BWHの詳細もそこまで分からんが、冒険者としての階級や称号、身長体重足のサイズ、好きな食べ物嫌いな食べ物、このあたりは合致している。
レオニスの兄貴よ、ピーマンくらい食べれるようになろうよ、ね?
そういや期間限定攻略キャラレオニスの身体特徴として、こんなことも書かれていたっけ。
『左耳の後ろのうなじにホクロ、右脇腹の背中側に三日月型の痣があるよ!』
『耳の後ろのうなじは自分で直接見れないところなので、彼はそこにホクロがあることを知らないの。彼と仲良くなって、是非ともそのホクロの存在を貴女のその目で確かめよう!』
『右脇腹の痣は、水着になると見える位置にあるの!そして、お風呂に入るとほんのり紅く染まって超絶セクシー!海水浴イベントや入浴シーンに入れるスペシャルルート、絶対に絶対に見逃さないでね!』
…………知らんがな。まぁ、黒子と痣に関しては長年いっしょに暮らしているから、その存在が本当にあることは既に確認済みなのだが。
こんなハイロマ発のレオ兄情報を、世界を跨いでまでなお覚えてた俺も大概だとは思うが、何でこんなん覚えてるかって?
それはね、亜香里のやつが
『キャー、コラボイベの限定キャラ、超絶カッコいいー!』
『うなじの黒子とか痣とか、絶ッッッ対セクシーショットに決まってるじゃん!何が何でも意地でも見るわー!』
『お兄!ちょっとちょっと見てよこれー、ようやく右脇腹の月型痣スチル撮れたのー!お兄にもこの幸せ気分、お裾分けしてア・ゲ・ル♡』
……とか言いながら、イベント中ほぼ毎日キャーキャー騒がしく喜んでたんだよ!
だからね、あいつのせいで俺はこんなにレオ兄の詳細なデータを覚え知る羽目になったんだ、決して、決して俺はBL愛好家ではない!
……そういやあいつ、レオ兄の水着姿の方は拝めたんだろうか?
……
………
…………
深く考えるのはやめとくか。
このアクシーディア公国において、ゲームデータ通り世界一にも等しい金剛級のランクを既に持つ、正真正銘最強の冒険者レオニス。
まさか本当に、ハイロマ王国でヒロインらしき女の子と出会って、運命の恋に落ちてそのまま結婚―――なんて、そんなことが起きるとは思えないし、思いたくもない。
そう、ハイロマにおけるレオニス攻略ストーリーのハッピーエンドは『ヒロインとの結婚』なのだ。
それこそが、俺が最も懸念かつ憂慮する未来の知識だった。
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