マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜

潟湖

文字の大きさ
71 / 125

第71話 マイページの発見

しおりを挟む
 イードと遊んだ日の夜、ライトはベッドの中で改めて転職神殿での出来事を改めて振り返っていた。
 あの直後はアル母子の来訪やら、翌日は新設転移門の試運転やら多忙を極めていて考察する余裕など全くなかったのだ。


『あれから職業について考える暇もなかったけど、あの日のことを忘れないうちに考察しとかなきゃな……』
『まず、旧教神殿跡地には名も無き巫女がいて、転職のことについて尋ねてきて……俺は予定通り【斥候】を選んだ』
『おそらくは、俺の今の職業は【斥候】になっている、はず、なんだが……』
『さて、じゃあそれを一体どうやって確認するか、なんだよなぁ』


 そう、この世界においてライトはまだ自分のレベルやステータスの詳細などを知る術がなかった。
 ゲームの中でなら、マイページという項目をチェックするだけのことだったのだが。今はそのマイページのチェック方法からして不明なのだ。


『「ステータスオープン」とか「オープンウィンドウ」とか「レベルチェック」とか、お約束的なそれらしい言葉唱えても全ッ然何も起こらんし』
『ちくしょう、あーもうこれ一体どうやったらマイページ見ることができるようになるんだよ……』


 その時、突然ライトの目の前にホログラム画面が現れた。
 転移門の操作画面とそっくりの、青い半透明の画面である。

「うおッ、何だこれ!?」
「……ッ……!!これ、マイページじゃねぇか……!!」

 それまで無言で脳内会話に留めていたライトだが、突然のことに吃驚し過ぎて思わず飛び起きて叫んでしまった。
 幸いにも、レオニスがまだ寝室に来ていなくて良かったが。
 思わず己の口を両手で塞ぎながら、周囲をキョロキョロ見回してしまうライト。
 自分以外の気配がないことを改めて確認した後、突然目の前に現れたマイページ画面をまじまじと観察する。


『これは……間違いなく今の俺のステータス、だ……』
『何でまた突然出てきたんだ……もしかして「マイページ」という単語に反応したのか?発現のタイミング的に、そうとしか思えんが……』
『はて、俺この世界に来てから今まで一度も「マイページ」という単語を考えたり、発したことは……なかったか?』
『いや……ただの一度もなかったはずはないが……もしかして、数日前まで職業システム的に無職のルーキーだったから発現しなかったのか?』


 試しに、再び寝転んでみたり起きたり、ベッドから出て立ってみたりしたが、どんな姿勢でもライトの目の前に表示されるようだ。
 とりあえず再び布団の中に入り、仰向けになりながら画面の項目を見ていくと、各種基本データが並んでいる。
 ゲーム内でよく見たマイページ、それと全く同じ画面が懐かしい。


 ==========

【名前】ライト
【レベル】3
【職業】斥候
【職業習熟度】0%
【称号】-
【状態】通常
【HP】26(+0)
【MP】13+5445(+0)
【SP】20(+0)
【BP】-
【所持金】0G
【CP】0CP

 ==========


『レベル3か、てっきり1のままかと思っていたが』
『職業はちゃんと【斥候】になっている』
『あのディーノ村の神殿跡地、やはりあれが転職神殿でビンゴだったんだな』
『ゲーム内通貨0Gに課金通貨CPが0なのは、今のところ個人資産を全く持ってないからまぁ当然として……』
『称号とBPは-(マイナス)表記か……称号は未装備だから当たり前としても、BPは仕方ないかも』
『つーか、MP後半にアホほど高い数値の付与があるが、何でだ?……もしかして前にレオ兄の言っていた、魔の森カタポレンに常時住むことによる魔力耐性の影響、か?』


 念願の職業【斥候】に就けていたことに、安堵と喜びを感じるライト。
 レベルも1ではなく3だったのが意外だったが、日々の鍛錬のおかげで少しづつ経験値が入っていたのかもしれない。
 現に、HPもレベル3にしては32とかなり高めの数値だし。

 SPは【スキルポイント】で、スキル使用時に消費するポイントのことを指す。
 ゲーム登録時は20からのスタートで、その拡張には特殊アイテムが必要になる。
 ポイントの回復は、時間経過による自然回復もしくは特殊なSP回復アイテムを使用する。
 SPが足りなくなると、当然スキルを発動することはできない。
 威力の高い大技ほどポイント消費量が多いのは、ゲーム世界のお約束だ。

 そしてBPは【バトルポイント】、コロシアムで行われる対人試合で勝利した時に得られるポイントだ。
 バトルポイントそのものはステータス等に影響することは一切なく、一定の数値を超えればバトル専用の称号がもらえるだけの、完全なる自己満足系お飾り名誉しか得られない。

 これがマイナス表記なのは、ある意味当然といえば当然かもしれない。
 そもそもこの世界に、BPが発生するような対人試合専用コロシアムが実在しているとは到底思えないからだ。

 他に気がかりなのは、所持金関連である。
 ゲーム内通貨のGは、アクシーディア公国での標準通貨として流通しているのは確認済みだ。
 だが、課金通貨であるCPがマイナス表記ではなく0(ゼロ)CPと表示されている。

 これは、おそらく実在していないであろうBPと違い、どこかでCPを得られる可能性がある、ということを示唆しているのだろうか?
 まぁ、仮にCPを得たとして、その使い道があるのかどうかも全く不明だが。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 一通り項目を見ていき、さて、ステータス詳細はどこだ?と画面を見渡すと、画面の上下左右の端に三角のマークがそれぞれついている。
 その三角のうち、まずは横方向の◀▶に触れてみる。すると、画面が左右に動いて入れ替わる。
 スマホ画面のフリック切り替えのような感じだ。

 右側の▶を押すと、現在の装備品類データが出てきた。
 今現在のライトの装備は普通の服なので『布の服(上)』と『布の服(下)』のみだ。

 この装備品類ページを活用するのは、かなり後のことになるので飛ばしていく。

 次にもう一度▶を押すと、今度はステータスの詳細情報が出てきた。

 ステータスは【力】【体力】【速度】【知力】【精神力】【運】の6項目あり、それぞれに上がる能力値が決められている。その詳細は以下の通りである。


 ==========

 力=物理攻撃力
 体力=物理防御力/HP
 速度=敏捷/命中/回避
 知力=魔法攻撃力
 精神力=魔法防御力/MP
 運=器用/クリティカル/ドロップ率

 ==========


 ステータスは、レベルが1アップする毎に10ポイントが支給?されて、任意でステータスの各項目に割り振ることができる。能力値の上昇率は項目によりそれぞれ違うが、およそ0.15~2倍の範囲内だ。
 どの項目にレベルアップポイントを振るかで、そのキャラクターの方向性が決まる。
 力なら物理攻撃重視、知力なら魔法攻撃重視、運ならクリティカルやアイテムドロップ率重視、といった具合だ。

 ちなみにライトのゲームスタイルは【力こそが全て!】という、筋金入りの物理至上主義者にして完全なる脳筋であった。モンスターだろうが対人戦だろうが、先に撃破すりゃいいんだよ、撃破すりゃ!というノリである。

 故にステータスポイントの割り振りは、常時力極振り一択だった。だが、今世ではそうはいかない。何故なら、ゲームと違って本当にこの世界で死ぬリスクもあるからだ。
 なので、物理攻撃重視の方針は変わらないが、それと同時に死なない程度に防御も上げてHPの底上げも図っておきたいところだ。

 知らぬ間に上がっていた、レベル2つ分の20ポイントがあったので、ライトは早速15ポイントを力に、5ポイントを体力に振り分けて確定ボタンを押す。
 レベルアップポイントを振ったことで、ライトのステータスは以下のようになった。


 ==========

【力】48  〖物理攻撃力〗96
【体力】11  〖物理防御力〗22
【速度】6  〖敏捷〗10〖命中〗7〖回避〗9
【知力】2  〖魔法攻撃力〗4
【精神力】1  〖魔法防御力〗2+2718
【運】3   〖器用〗5〖クリティカル〗1〖ドロップ率〗1

 ==========


 一通りステータス画面を弄った後、再び▶を押すと今度は一番最初に出てきた各種基本情報画面になった。
 どうやらマイページの左右画面で見れる情報は『各種基本情報』『装備品類データ』『ステータス詳細情報』の3種類で、循環ループするようだ。

 そして魔法防御力の後半に、MP同様の異常に高い数値の付与がある。
 これはやはり、魔の森カタポレンに住み続けることによって得た魔力耐性ボーナス?のようだ。
 ブレイブクライムオンラインでは決して得ることのなかった、思わぬステータスの増加に驚きながらも嬉しくなるライト。

 左右の◀▶の詳細が分かったところで、次は上下の▲▼の▲を押してみる。
 すると、今度は『アイテム欄』、『スキル情報』、『ショップ』が順繰りに出てきた。
 だが、今のライトには所持しているアイテムや獲得済みのスキルは一切ないので、どちらも空欄のままだ。
 ショップページでは、ゲームと同じくGで買えるスキル類や武器防具などが羅列されていた。前世ではほとんど買うことのなかった、いわゆる市販装備品類である。こちらも今現在まだ個人的なG資産がないので、当分は手が出せない状態だ。
 だが、アイテム、スキル、ショップアイテム、それらはどれもいずれ入手できるだろう。
 今はまだ焦ることはない、ライトはそう自分に言い聞かせる。

 上下左右全ての画面を確認した後、画面右上にあるバツマークを押して操作画面を閉じる。
 己のステータス画面の確認やレベルアップポイントの割り振りを実行することで、ようやくこの世界での本格的なスタート地点に立てた気がしたライトだった。




====================

 何だか!久しぶりに!ちょっとどころか!大いに!話が!進t(以下略云々

 ちなみに魔の森カタポレンに住み続けることによる魔力耐性の獲得云々は、第15話にてレオニスが言及しているのです。

 はー、それにしてもシステム的な説明というのは、文字だけの世界にとっては鬼門です。どうしても冗長になってしまいがちなんですよねぇ。
 ゲーム世界をより明確に、鮮やかに彩るためにも必須項目ではあるのですが。
 漫画やアニメなら、一コマとか数コマ出して数秒見せる程度で、さらっと軽く流せるところなのですが。文字だけで説明しようとなると、どうしても文字数がどんどん増えて嵩張ってしまう……
 かといって、なるべく文字数抑えたさにあまりにも簡素にし過ぎて、ザルシステムとしか思えないようなものにはしたくないし……

 物語の根幹を成す部分で、読み手側の想像力を掻き立てる大事な要素だからこそ、どうしてもちゃんとした説明が欠かせないという。
 文字だけの世界ならではの、ジレンマな問題です。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

黄金の魔導書使い  -でも、騒動は来ないで欲しいー

志位斗 茂家波
ファンタジー
‥‥‥魔導書(グリモワール)。それは、不思議な儀式によって、人はその書物を手に入れ、そして体の中に取り込むのである。 そんな魔導書の中に、とんでもない力を持つものが、ある時出現し、そしてある少年の手に渡った。 ‥‥うん、出来ればさ、まだまともなのが欲しかった。けれども強すぎる力故に、狙ってくる奴とかが出てきて本当に大変なんだけど!?責任者出てこぉぉぉぃ!! これは、その魔導書を手に入れたが故に、のんびりしたいのに何かしらの騒動に巻き込まれる、ある意味哀れな最強の少年の物語である。 「小説家になろう」様でも投稿しています。作者名は同じです。基本的にストーリー重視ですが、誤字指摘などがあるなら受け付けます。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

ゴミ捨て場領主のクラフト無双 ~最弱魔法【分解と合成】で領地を黄金郷に変えたら、俺を見下していた大貴族令嬢たちが掌を返してすり寄ってきた件~

namisan
ファンタジー
東西南北の大貴族から「毒の川」「凶暴な魔獣」「莫大な借金」を押し付けられ、王国の『ゴミ捨て場』と化したローゼンベルク領。 父と兄を謀殺され、その絶望の領地を押し付けられた無能貴族のアークは、領地の分割を企む高慢な令嬢たち(王女、公爵令嬢、姫将軍など)に嘲笑われていた。 だが、彼には現代の知識と、隠された最強チート能力があった! 触れたものを瞬時に素材に戻し、全く別のモノに作り変える神の御業――【分解と合成】。 「毒の川」を分解して『超高価な宝石と純水』へ! 「魔獣の死骸」と「瓦礫」を合成して『絶対に壊れない防壁』へ! 借金取りには新素材を高値で売りつけ、逆に敵の経済を支配していく。 圧倒的なクラフト能力で、瞬く間にゴミ捨て場を「無敵の黄金郷」へと作り変えていくアーク。 己の敗北を悟り、震え上がる悪徳貴族と高慢な令嬢たち。 さらに、アークの圧倒的な知略と底知れぬ実力は、気高い令嬢たちの本能に深く刻み込まれていく。 「どうか、私をあなたの手駒としてお使いください……っ!」 プライドを完全にへし折られた最高位の美少女たちは、いつしかアークの与える『恩恵』なしでは生きられないほど、彼に絶対の忠誠と依存を誓うようになっていく――。 最弱のゴミ捨て場から始まる、爽快クラフト内政&ざまぁファンタジー、堂々開幕!

【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する

ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。 きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。 私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。 この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない? 私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?! 映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。 設定はゆるいです

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

処理中です...