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03.ワイ、久しぶりの休日
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――ピピピピッピピピピッ♪
スマホのアラームでワイは目を覚ました。
時刻は七時。 今日は四月二日の日曜日。
……なんと、二ヶ月ぶりの休日や!
「今日も朝のニュースをつけ……、いや、休日の朝くらい見なくてええか。
けど無音は寂しいし、なんかつけるか」
『転生戦隊!ナロウジャー!』
そうか日曜のこの時間は戦隊モノやったな。
もう何年ぶりやねんって感じやけど……。
ワイも転生して、こんな生活抜け出したいっ!
はぁ……、休日とは言ってもやる事はあるんや。
ゆっくりも見てられへんな。
ワイは会社に向かった。
◇
――黒糖製菓(株)――
よし、あの看板が見えたらそろそろや。
――キキィー!ガッシャーン!
その瞬間、ワイは不幸にも白塗りの外車に撥ねられた。
……ワイも、ついに転生しちゃうんやろか?
こんなクソみたいな生活抜け出して、転生したいやで……。
空中でトリプルアクセルを決めながらそんな事が頭をよぎったが、スキル“アンラッキー”が発動して不運にも無傷で着地を決めちまった。
このパールホワイトのAODIはクソ上司の愛車や。
「あ~あ、人轢いちまったね……」
やはり運転手は鈴香部長やった。
「鈴香部長、朝帰りっすか……?
うわっ、酒くさっ! 絶対アカンやろ」
「まあ、上司の不始末は部下の不始末さ。
私の優秀な部下のサビ残くんなら、なんとかしてくれるだろうねぇ?」
鈴香部長は窓を開け、ワイの顔に息を吹きかけて走り去った。
ワイも轢かれた事など気にせず会社へ向かった。
◇
よし、まずは冷蔵庫に行かな。
昨日ミクちゃんが仕込んで寝かせてある黒糖パンの生地の確認や。
初めての試作なんや、絶対に美味しいパンに仕上げたいもんなぁ。
……お、順調やん! ええ感じに膨らんどるで!
これなら明日問題なく焼き上げられそうやな。
ほな、次の目的地に向かうで~。
◇
ワイが会社の次に来たのは、明日の歓迎会のお店の下見や。
……というのは建前で、本当の狙いはその隣のパチ屋や!
店内に入ると、ジャラジャラと玉を吐き出す音、あちこちで響く「リーチ!」の声。
熱中するおっさん達の頭上には天使と悪魔が飛んでいる。
天使と悪魔の機嫌次第で、その日の勝ち負けが決まるんや。
「打つのはもちろん……、ユニコーンや!
おっ、空いとる空いとる~♪」
ワイは台に座って、万札を投入した。
だが実は最近、大好きだったパチンコにどうも身が入らなくてボーっと昔の回想をしてまうんや。
そういや、パチにハマったんは高校の頃やったなぁ。
ワイ、こう見えて県内トップの進学校出身なんやで?
三年になって部活も終わり、周りの連中が塾に通い始めた頃、悪い事をしてみたくなったんや。
剣道部で全国常連だったワイは、最後の大会だけ怪我で出られんくて、そのフラストレーションが原因やろな。
ワイは学生服をカバンにしまって、アロハシャツを羽織って初めてパチ屋に入ったんや。
勉強の成績はケツから数えた方が早かった。
教師たちは、努力が足りんとかなんとか、軍隊のように危機感を煽ろうとしてくるんや。
だが、パチンコは現実逃避には最適やった。
無心で打って、ヘソに入っていく金属の玉を見つめて、それが当たりにつながる事を祈る。
はぁ……、嫌な世界に産まれたもんやなぁ。
馬鹿の一つ覚えのように、勉強勉強とそればかりや。
しかし、現実は親ガチャや。
産まれながらの勝ち組と負け組があって、ワイの家は貧乏で塾にも通えへんかった。
酔っ払って帰ってくる親父には毎日同じ試験結果の事で怒られ、精神が病んでいったんや。
記憶力はいい方なんやが、それがトラウマで勉強なんて全く集中できへんかった。
それを自覚した頃かなぁ、ひたひたと自分が無敵の人に近づいていくのが分かったで。
毎日行われる模擬試験は、まるでパチンコの玉が釘に当たって左右に弾かれて落ちる様子そのものやった。
ワイはその玉の一つなんや。
釘に弾かれて、端へ端へ。
ヘソになんてかすりもせん。
十八歳のパチンコ玉は、台に飲み込まれていった。
これで人生百年時代なんて言うんやから、残りの八十年はずっと暗闇の中って事やろ?
そんな風に考えてた時は、可能なら三十歳までには死にたいとか考えとったな……。
錆田斬鉄、四十歳。
恥を晒しながら生きとるで……。
その日のパチンコは悪魔の勝ち。
ワイは大負けして帰宅した。
スマホのアラームでワイは目を覚ました。
時刻は七時。 今日は四月二日の日曜日。
……なんと、二ヶ月ぶりの休日や!
「今日も朝のニュースをつけ……、いや、休日の朝くらい見なくてええか。
けど無音は寂しいし、なんかつけるか」
『転生戦隊!ナロウジャー!』
そうか日曜のこの時間は戦隊モノやったな。
もう何年ぶりやねんって感じやけど……。
ワイも転生して、こんな生活抜け出したいっ!
はぁ……、休日とは言ってもやる事はあるんや。
ゆっくりも見てられへんな。
ワイは会社に向かった。
◇
――黒糖製菓(株)――
よし、あの看板が見えたらそろそろや。
――キキィー!ガッシャーン!
その瞬間、ワイは不幸にも白塗りの外車に撥ねられた。
……ワイも、ついに転生しちゃうんやろか?
こんなクソみたいな生活抜け出して、転生したいやで……。
空中でトリプルアクセルを決めながらそんな事が頭をよぎったが、スキル“アンラッキー”が発動して不運にも無傷で着地を決めちまった。
このパールホワイトのAODIはクソ上司の愛車や。
「あ~あ、人轢いちまったね……」
やはり運転手は鈴香部長やった。
「鈴香部長、朝帰りっすか……?
うわっ、酒くさっ! 絶対アカンやろ」
「まあ、上司の不始末は部下の不始末さ。
私の優秀な部下のサビ残くんなら、なんとかしてくれるだろうねぇ?」
鈴香部長は窓を開け、ワイの顔に息を吹きかけて走り去った。
ワイも轢かれた事など気にせず会社へ向かった。
◇
よし、まずは冷蔵庫に行かな。
昨日ミクちゃんが仕込んで寝かせてある黒糖パンの生地の確認や。
初めての試作なんや、絶対に美味しいパンに仕上げたいもんなぁ。
……お、順調やん! ええ感じに膨らんどるで!
これなら明日問題なく焼き上げられそうやな。
ほな、次の目的地に向かうで~。
◇
ワイが会社の次に来たのは、明日の歓迎会のお店の下見や。
……というのは建前で、本当の狙いはその隣のパチ屋や!
店内に入ると、ジャラジャラと玉を吐き出す音、あちこちで響く「リーチ!」の声。
熱中するおっさん達の頭上には天使と悪魔が飛んでいる。
天使と悪魔の機嫌次第で、その日の勝ち負けが決まるんや。
「打つのはもちろん……、ユニコーンや!
おっ、空いとる空いとる~♪」
ワイは台に座って、万札を投入した。
だが実は最近、大好きだったパチンコにどうも身が入らなくてボーっと昔の回想をしてまうんや。
そういや、パチにハマったんは高校の頃やったなぁ。
ワイ、こう見えて県内トップの進学校出身なんやで?
三年になって部活も終わり、周りの連中が塾に通い始めた頃、悪い事をしてみたくなったんや。
剣道部で全国常連だったワイは、最後の大会だけ怪我で出られんくて、そのフラストレーションが原因やろな。
ワイは学生服をカバンにしまって、アロハシャツを羽織って初めてパチ屋に入ったんや。
勉強の成績はケツから数えた方が早かった。
教師たちは、努力が足りんとかなんとか、軍隊のように危機感を煽ろうとしてくるんや。
だが、パチンコは現実逃避には最適やった。
無心で打って、ヘソに入っていく金属の玉を見つめて、それが当たりにつながる事を祈る。
はぁ……、嫌な世界に産まれたもんやなぁ。
馬鹿の一つ覚えのように、勉強勉強とそればかりや。
しかし、現実は親ガチャや。
産まれながらの勝ち組と負け組があって、ワイの家は貧乏で塾にも通えへんかった。
酔っ払って帰ってくる親父には毎日同じ試験結果の事で怒られ、精神が病んでいったんや。
記憶力はいい方なんやが、それがトラウマで勉強なんて全く集中できへんかった。
それを自覚した頃かなぁ、ひたひたと自分が無敵の人に近づいていくのが分かったで。
毎日行われる模擬試験は、まるでパチンコの玉が釘に当たって左右に弾かれて落ちる様子そのものやった。
ワイはその玉の一つなんや。
釘に弾かれて、端へ端へ。
ヘソになんてかすりもせん。
十八歳のパチンコ玉は、台に飲み込まれていった。
これで人生百年時代なんて言うんやから、残りの八十年はずっと暗闇の中って事やろ?
そんな風に考えてた時は、可能なら三十歳までには死にたいとか考えとったな……。
錆田斬鉄、四十歳。
恥を晒しながら生きとるで……。
その日のパチンコは悪魔の勝ち。
ワイは大負けして帰宅した。
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