ブラック企業のおっさんが天使と悪魔の力を駆使して地球を救う話 〜ギャンブルなんて二度とせんわ!賭けてもええで!〜

真星 紗夜

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05.悪魔登場!ってか既におったらしい

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 ――ピピピピッピピピピッ♪

 スマホのアラームでワイは目を閉じたまま意識を覚ました。
 眠過ぎるんや……。

 時刻は六時。 今日は四月四日の火曜日や。
 
「四時間睡眠きっつぅ……。
 さて、今朝のニュースは……」

『昨日観測されたVOIDヴォイド亀裂についてのニュースです。
 通常、亀裂が観測されると五分ほどで消失するのですが、未だに亀裂が開き続けているとの事で――』

 VOIDヴォイド亀裂か……。
 今なら何のこっちゃか分かるで。

「ほな、行ってきま――」

 ――ガチャ。

 ワイが玄関を開けるのと同時に隣の部屋の玄関も開いた。
 ……こういうの気まずいわ。

「おはようございます!ザンテツ課長!」

 その声の主はミクちゃんだった。

「ミクちゃんか! おはよう!
 そういやお隣さんやったな!
 てか、まだ出勤時間まで一時間以上あるけど、どないしたんや?」

「今日から私もザンテツ課長と一緒に行こうと思って!
 始業時間まで、ミーティングしませんか?」

 ミクちゃんは含みのある目でワイを見つめる。

「なるほど、例の件のミーティングやな。
 よっしゃ、ワイについてこれるか~?」

 ワイはそう言っていつも通りスタートダッシュを決めた。

「ちょ、課長! 待ってくださ~い!」

 ◇

 会社に到着して日課のメールチェックをする。
 ミクちゃんは少し遅れて息を切らしながら事務所に入ってきた。

「今朝は……、なんやメール来てへんわ。
 おっけ、ミクちゃん。 話あるんやろ?」

「実は……、最近趣味でネット小説を書いてるんですけど、その相談がしたくて……」

「へ? ネット小説?
 まあワイも転生ものとか読んどるが……、どんなの書いとるんや?」

 そう言うと、ミクちゃんはスマホの画面を見せた。
 タイトルは……、地球防衛ザムライ?
 なんや?天使の力でタイムリープを繰り返しながら地球に攻めてくる宇宙人を倒す……?
 って、コレ……!

 ワイはミクちゃんの目を見た。
 やはりミクちゃんは含みのある目でワイを見ている。

 ……なぁるほどやな。
 宇宙検閲官に検知されないように、飽くまでも小説の相談として話そうって策略か……。

「理解したで……!
 どんなストーリーなんや?」

「えっと、この宇宙人を倒すために天使が刀に変身して、主人公の男がそれを振るうんですけど……」

「なんやて⁉︎ そんなのワイ聞いてへんぞ⁉︎」

「そこはほら、修行のパートとか挟まりますよ!ザンテツ編集長!」

 ……編集長。 悪くない響きや。

「でもな、刀扱うのって大変やで?
 そんなんで宇宙人に勝てるんは、リアルさに欠ける展開やろ?」

「そりゃ普通の刀じゃ無理ですよ!
 主人公の男と天使、二人の愛の刀なんです!」

「なるほど、SFファンタジーにラブコメ要素かいな?
 真星まほし先生の作品みたいやな」

「真星先生が誰なのかは分からないですけど……、まあそんな感じです!
 とにかく!二人が愛し合うほど強くなって鉄をも斬れる刀になる設定なんです!」

「愛し合うって……、二回りくらい下の女の子に恋愛感情なんて持たへんよ普通」

「ガビーーン!
 じゃあザンテツ課長はなんで飲み会の時に私を助けてくれたんですかぁ!」

「……、恥ずいけど正直に話すで?
 ワイはミクちゃんの事、娘のように思っとる///」

「なるほど、そういう愛の形もアリなんですかね?」

「そういう愛じゃ、刀は鍛えられんのかいな?」

「多分……、強くなるとは思います!」

「ならOKや!
 あと、この小説って地球には悪魔も一人いる設定じゃなかったか?」

「設定まで読んでくれてたんですね!編集長!
 えっと、悪魔さんの力を借りれば鬼に金棒というか天使に悪魔なんですけど、どうやって登場シーンを作るか悩んでて……」

「せやなぁ、この広い地球で悪魔と出会って協力するなんて、相当なご都合主義やろなぁ」

 う~ん……、と二人で唸って頭を悩ませていると、開発課メンバー兼ワイの姪の黒江菓子くろえかこが事務所に入ってきた。
 
「おはよッス~、おじさん!
 も~、ウチのこと置いてかないでくださいよ~」

「おい、カコ! 会社では課長と呼べ!
 てかお前、なんで毎朝ワイと一緒に起きられへんねん!」

 カコとそんなやり取りをしていると、何故かミクちゃんが面食らったような表情になった。

「ミクちゃん、どしたんや?」

「え……、そ、その子誰ですか!」

「ん? カコの事かいな?
 【01.】から【Re04.】まで仲良くしとったやろ?お前ら歳近いし」

「いやいや! そんな子知らないですよ!
 てか課長、さっきからメタいですよ!
 それにツノ! ツノ生えてる! ツノ!」
 
「……ツノ? 今の時代、多様性やで?
 ツノくらい生えてる子いてもおかしないやろ?
 それに、カコは子供の頃からツノ生えてたやんな?
 ほら、昔撮った家族写真見てみ?」

 ワイが見せたんは、公園で五人が写ってる写真や。
 オトン、オカン、ワイ、……そして、明らかに地面から浮いている姉らしき人と抱っこされてる女の子。
 その女の子にはツノが生えている。

「いやいやいや! この写真不自然過ぎるでしょ!
 こんなの明らかなコラ画像よ!
 それに、課長は一人っ子でしょ!」
 
 ミクちゃんは何をこんなに騒いどるんや……?

「なぁ、カコ。 ミクちゃんどないしたんや?
 なんか二人でワイにドッキリ仕掛けとるんか?」

「ウチも知らないッスよ~
 ねぇミク、どうしちゃったん~?」

 この日も三人で暗くなるまでサビ残したが、ミクちゃんはずーっと上の空だった。
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