ブラック企業のおっさんが天使と悪魔の力を駆使して地球を救う話 〜ギャンブルなんて二度とせんわ!賭けてもええで!〜

真星 紗夜

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Re04.デジャヴの正体はループ?

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 ――ピピピピッピピピピッ♪

 スマホのアラームでワイは目を覚ました。

 時刻は六時。 今日は四月三日の月曜日や。
 昨日の歓迎会でクビ宣告されたし、ワイこれからどないしよ……。

 ん? 歓迎会って月曜やなかったっけ?
 まあええわ、今日はハロワに開店凸しよか……。 
 
「さてと、今朝のニュースは……」

『臨時ニュースをお伝えします。
 昨年から観測され始めた宇宙の裂け目、VOIDヴォイド亀裂についてです。
 先程、JAXAジャクサの観測機器が大規模の亀裂を捉えたとのことで、政府は――』

 いやもう鈴香部長に会う事ないやろし、ニュースとかチェックせんでも良かったな……。
 
「ハロワ開くまでもう少し時間あるし、もう一眠りしよ……」

 ワイは独り言を呟いて、布団を被った。

 
 ――デンデンデデン♪デンデデン♪デンデデン♪

「のわっ! ビックリしたぁ……。
 鈴香部長から電話やん! 出たくねぇなぁ」

 ――ピッ。

『こら!サビ残くん! アンタ寝坊してんのかい⁉︎』

 通話を開始するなり即スピーカー並みの爆音で鈴香部長がブチギレてきよった。

「す、鈴香部長。
 ワイ、昨日の歓迎会で社長の事殴ってクビになったんすよ……」

「なぁに寝ぼけてんのよ!
 歓迎会は今日でしょうよ!」

 ……へ? やっぱり、クビになったのは夢……?

「すみません! すぐ出社します!」

 ワイは飛び起きてすぐに家を出た。

 ◇

 はぁ……はぁ……。
 二十二年間毎日会社までダッシュしてきたが、今日のは歴代一位の記録やないか……?

 
「すみません!遅刻しましたっ!」

 ワイは大きな声でそう言いながら、事務所に入った。

「サビ残くん~。
 次遅刻したら現実でもクビにしてあげるわよ?
 ほら、ミクちゃんが調理室で待ってるから、行ってあげなさい?」

 鈴香部長は案外怒ってはいない様子だった。
 ワイはダッシュで調理室へ向かった。

 ◇

「ミクちゃんすまん!
 今朝は寝坊しちまったやで!」

「ザンテツ課長、おはようございます!
 寝坊なんて私しょっちゅうですよ~!」

「ほな、ミクちゃんが仕込んでくれた生地焼こか。
 窯に熱が入るまで時間かかるんやけど、少し待っててな」

「わかりました!
 じゃあその間に、課長にデジャヴを見せてあげます」

 ミクちゃんはそう言うと、おもむろに取り板を手に取った。
 そして手首をクルッと上手く使い、パン生地を自由自在に乗せたり置いたりし始めた。

「その動き……、ワイが二十年間やって身に付けた技やん!
 なんでそれを知って……、あっ!」

 ワイが何かに気付いた様子を悟ったミクちゃんは、シーッと言うように人差し指をワイの口に当てた。

「ザンテツ課長、思い出したみたいですね……。
 それさえ分かれば私は安心です。
 あとは任せてください!」
 
 松崎しげろうコラボができそうな黒焦げ黒糖パンも、歓迎会でのクビ宣言も、全部現実だったんや……。

 その後のワイは、魂の抜け殻のような状態で業務をこなした。
 ワイとミクちゃんは定時ダッシュを決め、手配したお店にいち早く移動した。

 ◇

 手配したお店に続々と社員たちが集まってくる。

 そしてやはりループ前と同じく、歓迎会は二次会、三次会と続いたんや。
 しかし、今回のワイは先手を打っていたんや。
 こっそりノンアルを頼んで、ミクちゃんと二人で飲んで酔っ払ったフリをしていた。

 ご機嫌なワイらを見て、社長も気分がいいようだ。

「おい、サビ残くん。……ヒック!
 今日は飲みっぷりがいいなぁ!
 しかもミクちゃんまでベロンベロンじゃないか!」

「うぉぉい、ミク!
 もっと飲めやぁぁぁ」

「ザ、ザンテツ課長ぉ。
 もう私クラクラですよぉ~」

 こんな調子で何事もなく歓迎会は終了したが、日付はとっくに変わっていた。

 お偉方のタクシーを手配して全員が乗り込んだ事を確認すると、ワイは一息ついた。
 長かった一日(いや、二日か?)もようやく終わりを迎えた。

「後はワイら二人だけやな」

「ザンテツ課長、私聞きたい事があるんです。
 今まで、ザンテツ課長は歓迎会でのアルハラセクハラは見て見ぬふりだったんですよ。
 今回はどうしちゃったんですか?」

「さぁな。 今のワイからしたら、なんで助けなかったのか逆に聞きたいくらいやで。
 ほな、ワイは歩いて帰るけど、ミクちゃんは何で帰るんや?」

「私も歩きですよ! 一緒に帰りましょう!」

 ◇

 居酒屋から二十分くらい歩いて、ワイのアパートに到着した。

「ここ、ワイの家なんやけど、ミクちゃんもこの辺りなんか?
 嫌じゃなければ送ったげるで?」

「私の家もこのアパートなんです!」

 ……え?
 え゙え゙え゙!! ホンマかいな!

 とりあえず、錆びついた手すりの階段を登ってワイの部屋の前までやってくる。

「んじゃ、ワイここだから……おやすみ」

「そうだったんですね! 私はこの隣ですよ~!
 じゃあ、おやすみなさい!」

 ミクちゃんはわざとらしくそんな事を言って、部屋に入って行った。
 
 はぁ……、数時間後にはまた仕事かよ……。

 ワイはそのまま眠りに落ちた。
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