ブラック企業のおっさんが天使と悪魔の力を駆使して地球を救う話 〜ギャンブルなんて二度とせんわ!賭けてもええで!〜

真星 紗夜

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06.特訓パートって必要なんか?

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 ――ピピピピッピピピピッ♪

 ワイはソファの上で目を覚ました。

 時刻は六時。 今日は四月九日の日曜日や。

「お~い、カコ。 そろそろ起きろよ~。
 お前は布団使ってんだから睡眠の質はええはずやろ。
 さて、今朝のニュースは――」

 テレビをつけようとワイがリモコンを持つと、モゾモゾとカコが寝ている布団が動いた。

「おじさん……、今日は休みッスよ……」

「お前は休みかもしれへんけど、ワイは仕事残っとんねん。
 いや、待てよ……。
 先週から急に人手が足りるようになって、もう全部片付けてきたんやったわ」

 ワイは踵を返してソファに戻り、安らかに目を閉じた。
 これが幻の二度寝ってやつや。

 
 ――ピンポーン♪

 うとうとし始めると、玄関のチャイムが鳴った。

「こんな朝っぱらから誰やねん!
 やっぱ二度寝は幻やんか!」

 ワイが玄関を開けると、そこにはピンクのジャージを着たミクちゃんがいた。

「ザンテツ課長! 今日から特訓パートに入りますよ!
 そのために先週お仕事頑張ったんですから!」

「ミクちゃん、朝から元気ええな……。
 特訓ならカコも起こすか?」

「いいんです!カコはそのまま寝かせといてください!
 じゃあカコ、ザンテツ課長借りるね~」

 ◇

 ワイはそのまま手を引かれ、近くの寂れた公園に連れて来られた。
 ミクちゃんは何も言わずに唯一の遊具であるブランコに腰掛けた。
 
「ザンテツ課長、ここ一週間何事もなく過ごしてますけど、カコのこと何か気にならないんですか?」

「どういう事や?
 カコは怠惰な奴やけど、それなりに働いてくれとるで?」

「そうじゃなくて……!
 んー……、じゃあまた小説の相談させてください」

 ミクちゃんは神妙な面持ちになった。
 なんや、真面目な話っぽいな。

「あれから何か物語が進んだんか?」

「えっと、悪魔の登場のさせ方の話あったじゃないですか?
 いつの間にか登場してた、なんて展開はアリだと思います?」

「そんなんナシやろ。
 キャラのフェードアウトは分かるが、フェードインってあんまり聞かんで。
 なんや、実は主人公さんには姪がいたとかで、ヌルッと会話に混ざってくるんかいな?
 読者の違和感になると思うで?」

「やっぱりそうですよね。
 でもそれ、現実で起こってたりしませんか?」

 ……え?
 確かにそう言われると、ワイに姪なんておったやろか……。
 てか、姪がおじさんのボロアパートに居候ってどんなご都合展開やねん!

「……悪いな、ミクちゃん。
 目ぇ覚めたで! カコはきっと悪魔や!」

「それでこそザンテツ課長です!
 カコはきっと過去を改変して課長の近くに潜り込んできたんです!
 カコの目的とか、しれっと聞いておいて欲しいです!
 それじゃ、特訓始めますよ!」

「お、おう。 ワイは何をすればええんや?」

「ザンテツ課長には、今から宇宙人と戦ってもらいます……!」

「はぁ⁉︎ いきなり実戦なんか?
 ちょっと待て、テンポ早すぎるて!」

 ミクちゃんはワイの話など聞かずに、何かを始めようとしとる。

 ――バサッッ!

 その瞬間、ミクちゃんの背中から天使の羽が生え、その身体を包み込んだ。

 ――キュイィィン!
 
「な、なんや……、眩しっ!」

 その羽でできた繭は光を放ったかと思うと、一振の刀に変身した。
 着ていたジャージや下着はその場に落ちた。

『ザンテツ課長、聞こえますね?
 今の私の意識はこの刀の中にあります』
 
「この刀が、ミクちゃんなんか……」
 
 刀身は剣道の竹刀くらいで、なんだかワイには扱いやすそうやった。
 そして、ワイは恐る恐るその刀に触れた。

『あんっ、勝手に変なトコ触らないでください!
 セクハラで訴えますよ!』

「す、すまんっ!
 てか、今触ったトコがミクちゃんのドコなんか分からんのやけど……」

『胸ですよ!胸! ……まったく。
 つかの部分以外触ったらぶっ飛ばしますよ!
 じゃあ、軽く振ってみてください』

「へいへい……。 こんな感じか?」

 ――ズバァァン!

「……へ?」

 ワイが刀を軽く振ると光の斬撃が飛んでいき、目の前の木を真っ二つにした。

『ちょっ、ザンテツ課長凄いじゃないですか!
 今までこんな威力出た事ないですよ!』

「パワーがダンチや……。
 しかもこの刀、めっちゃ軽いで!」
 
『気に入って頂けてなによりです!
 重いとか言ったら、それもセクハラでしたよ?』

 若い子との会話はいつ地雷踏むか分からへんで……。

『じゃ、そろそろ本番にしますね。
 負けそうになったら今朝に戻しますので安心してください!
 今からパラドックスを起こして宇宙検閲官の手下を呼びよせます!』

「パラドックス……、どうやって起こすんや?」

『それはですね……。
 ザンテツ課長の好きなグラドルは倉持田香くらもちだかおり、初体験は高校二年の夏に部活の後輩の家で、九年前には男優のバイトに応募したけど落選して――』

「まてまてまて!! 勢いエグいわ!
 ……“未来”のワイがそう言ったんやな?」
 
『はい!“未来”のザンテツ課長から聞いた話です!
 合ってるならコレがパラドックスになります』

「残念ながら、当たってるわ……」

 その瞬間、どこから現れたのか全身銀色の宇宙人が目の前にいた。

「◎△$♪×¥●#!」

「よっしゃ、勝負や! 宇宙人!」
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