転生後推しが俺の執事になっていました

チヒロ

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三十三

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「ユグナへ

ユグナ、元気? どうしても貴方に伝えたい事があってこの手紙を書きました。

心の優しいユグナ。火災があったあの日、貴方は私達を必死に助けようとしてくれた。

私達の命が助からなかったってユグナは今も責めているみたいだね

いいや。責めないで。我が子も同然のユグナが私達を助けようとしてくれた……

その事実がとても嬉しかった。……ね?蒼?

隣で蒼も頷いてる。 貴方は私達の自慢の我が子…

……この前、火災にあった街の魂の人に会ったの。その人もとても喜んでいた。
ユグナ君が私を救おうとしてくれたって。彼は街の英雄だって言ってたよ

……きっとあの時、遺族の人達は大切な家族を失った悲しみや苛立ちをぶつけるところがなかったのだと思う…

だから医術師のユグナに強く当たったんだと思うよ。

優しい貴方は遺族の悲しみを共に味わい、自分を責めた……

責めなくていい。みんな怒っていない。

この前ね街の様子を見てきたんだよ。そしたら遺族の人さ大切な家族を救い出そうとしてくれたユグナの熱意にとても感謝していたよ!

だから貴方は今まで自分がしてきたことに誇りをもっていいんだよ。

どうか幸せに生きてね。いつまでも見守っているから。

グレイより」


読み終えたユグナは肩を震わせながら声を殺して泣いていた。何度も指で手紙をなぞらえながら。

ユグナがこちらに顔を向けた時、守ってあげたくなるような子どものような表情をしていた。

「ユグナさん…良かったですね」

俺はそう言って彼を両腕で抱きしめた。今までの自責の念が溶けていくようにユグナは俺の腕の中で声をあげて泣いた。
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