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1章 出会い
5 私の『今』の世界
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『前世』の記憶を取り戻してもう2年………
私は、2年の間に哲学書を読み漁りました。
一心不乱に哲学書を読む私を、家族は不気味がりましたが気になりませんでした。
私が人生をやり直しているワケが知りたくて、あの子があんなことをしたワケが知りたくて━━━
今世こそ幸せに生きたいと思っていますが、『前世』による人間不信が酷くて思うように行きません………
レイラお姉様は、私のことが気に入らないのか、私に対してとても高圧的です。
私以外には優しく、プラチナブロンドに桃色の瞳という美しい容姿から姉様を見た人はみんな頬を染めます。
…………周りの反応は、『前世』で魔術を使ったあの子に対するものに似ています。
今世では周りの人から「レイラ様はとてもお美しい方なのになぜ、妹のイリス様は地味な容姿なんだ」と言われています。
今日は、フィアナお母様のお友達であるローズ様がいらっしゃるレイ伯爵家に行って来ました。
私は今日のことを一生忘れないでしょう!
レイ伯爵家の皆様は私にとても優しく接してくださいました。サン侯爵家の人達は、私が5歳という年齢で哲学書を読み始めたことを不気味がりましたが、レイ伯爵家の方々は認めてくださいました。
カイル様とはお話ししたことはないものの、顔を合わせたことがあったので、優しい方だとわかっていました。
オパール様はとても元気な可愛らしいお嬢様でした。
そして、ラストル様!
ラス様はレイラお姉様がいらっしゃっても、私の体調を気遣い、付き添ってくださいました……!
残念ながら、カイル様とオパール様は他の人と同じように、頬を染めてレイラ姉様を見つめていましたが、ラス様は私を見ていてくれました。
『僕はイリス様と一緒にいたいですから!』
思わず泣いてしまいました。
信じてもいいのでしょうか……………?
ラス様も『前世』の彼のように、他の誰でもない、私を思ってくれるでしょうか?
━━━また、涙が溢れてきました。
あぁ、私は「私」をみて欲しかったのか━━━
…………ラス様も、レイラお姉様を見つめるようになってしまうかもしれない━━
そうだとしても、今は………ラス様の優しさに甘えたい━━━━
「彼は裏切らない」そんな根拠のない確信がありました。
---------------
家に帰る馬車の中でレイラお姉様とフィアナお母様が話しています。
「レイラ、今日は屋敷でお留守番していなさいと言ってのに………勝手に来ちゃダメじゃない、あなたは可愛いのだから外で何かあったらどうするの?」
お母様はレイラお姉様を嗜めるように言いますが、お顔には優しい笑みが浮かんでいます。
「申し訳ありませんわ、お母様。どうしても、レイ伯爵家の方々にお会いしたかったんですの………」
レイラお姉様がここまでレイ伯爵家に興味を持ったのは、レイ伯爵家が代々、このシャイン王国一の美形一家とされているからでしょう。
学園でカイル様にお会いしていたのなら、弟であるラス様にもお会いしたいと思うのも自然かもしれません……
レイ伯爵家の方々は自分たちの容姿を誇ることがありませんが、本当に美術品のようでした。
ローズ様は、「聖銀の星」と謳われていますが、聖なる星のような輝きを秘めた銀髪と優しい緑眼の女神のような方でした。
お会いしたことはありませんが、当主のキース様は、
太陽のように輝く金髪と思慮深さが感じられる紫眼を持つことから「シャインの守護太陽」と呼ばれているそうです。
そのお二方の血を引く3人も、カイル様は知的な印象の美少年、オパール様は、天使のような愛らしさ、ラス様は中性的な優しそうな方で、皆様、大変お美しかったです。
………個人的には、ラス様が一番容姿端麗であるように感じました。
━━━━━━と、レイラお姉様がこちらを睨んでいます。
ラス様とお庭から立ち去る時も…………
「イリスはどうでしたか。レイ家の方々と仲良くなれましたか?」
「は、はい、お母様。皆様大変よくしてくださいました」
やはり、『前世』の記憶のせいで、人と話すのは苦手です。
「そう、よかったわ。最近、自分の部屋から出てこないから心配してたのよ。まぁ、今日も体調が悪くなって、カイル様、オパール様とは少ししかお話ししていないみたいだけど」
お母様の顔に先程、お姉様とお話ししていたときの笑みはありません。
「そうですわ!イリス、屋敷に着いたら私の部屋でお話ししましょう!」
お姉様は明るい声で言いました。
でも、桃色の瞳は笑っていません。
「まぁ、いい考えね」
お母様は笑顔でお姉様の提案に賛成します。
「わっ、わかりました………お姉様」
こうなってしまえば私に選択肢はありません………
私は震える声で返事をすることしかできませんでした。
-------------
屋敷に到着したようです。
私はお姉様と一緒にお姉様の部屋に向かいます。
部屋に入ると、お姉様は静かにドアを閉めました。
「イリス、ラストル様とはどんなお話しましたの?あの方、私には見向きもしないで行ってしまったんですもの!」
私は答えません。
不思議です。いつもなら、恐怖で震えてしまう状況なのに少しも怖くありません。
さっきまで、何に怯えていたのでしょうか?
『イリス、お大事にね?』
お姉様にそう言われたときは、自分に起こるであろうことに恐怖し、絶望しました。
でも、私を思ってくれた人がいました。
理不尽に屈する必要はないと教えてもらったのです!
「ラストル様は、レイ伯爵家の中でも突出した容姿をお持ちでしたわ。それをあなたは…………」
「ラストル様は体調の悪くなった私に付き添ってくださっただけです。…………他にご用がなければ、失礼してもよろしいですか?」
「生意気ですわっ」
──────パシンッ
お姉様に頬を打たれましたが、『前世』での痛みに比べれば、少しも痛くありません。
「それではお姉様、失礼いたします」
私は、強くなろう!
過去に囚われずに、前へ……!
私はそのままお姉様の部屋から出て、自分の部屋へ帰った。
「何なのよっ!」
部屋から出るときにレイラ様の叫び声が聞こえましたが、もう怖くないわ。
━━━━また、ラス様とお話ししたいな!
今日、私を縛る過去は切れました
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※次から2章に入ります!
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