君の悲劇を終わらせる〜廻る世界で再び出会う〜

夜野ヒカリ

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XX 僕と彼女の過去 XX

14 甦る記憶②

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 残酷描写がありますので、
 苦手な方はご注意下さい。


~~~~~~~~~~~~

 
 〝ラストル〟になるの人生は武術が発達した世界だった。

 僕は王室の騎士として、彼女は低位武家の娘として生きていた。

 自慢ではないが、僕の容姿は優れていた…………………らしく、女性に人気があった。

 あの女も僕に好意を寄せる者たちの中の一人だったが、僕は彼女にしか興味がなかったのだ。

 彼女は家の位が高くないからと、ほとんどの人の目にとまることはなかったが、卓越した技術と強さを誇っていた。
 その上で彼女は周りに認められようと人一倍、努力していた。

 あの女は高位の武家の娘だったから、僕が彼女に好意を寄せていたこと、彼女が自分よりも強いことが気に食わなかったのだろう。

 それに、あの女は若い騎士たちから人気で、いつもちやほやされていたから自分への自信が強かった。

 …………………僕が彼女への気持ちを諦めれば、あの女があそこまで彼女を目の敵にすることはなかったのかもしれない。
 
 しかし、誰よりも強いのに、自分を追い込むように動き続ける彼女を見ているだけだなんて嫌だった。

 彼女を側で支えて上げたかった。

 そして、僕たちは一緒に練習するようになった。
 
 彼女との練習は実になるものが多かったし、楽しかった。

 僕も彼女もどんどん強くなっていった。

 彼女と一緒に練習をするようになってからしばらく経つと、あの女も一緒に練習したいと言ってきた。

 彼女は「もちろんです!」と受け入れ、僕も「君がいいなら」と受け入れた。

 あの女は普通に練習していたし、彼女にも親切だったから、僕への気持ちは棄ててくれたのだと思った。高位武家の娘と仲良くなれば、彼女の努力は実るだろうと。

 3人で一緒に練習するようになって3年経った頃、5年に一度の武道大会開催の知らせが届いた。

 武道大会の開催は3ヶ月後だという。

 僕たち3人はかなり強くなっていたし、「かなりいい線いっているだろう」と参加を即決した。

 そして、あの女は弱点克服の練習をしないか?と言い出した。
 弱点克服のための練習をするのは賛成だったが、あの女に自分の弱点を晒すことに抵抗があった。
 彼女は何のためらいもなく、彼女と練習を始めた。

 やっぱり、彼女の心は綺麗だった。

 



 ───────3ヶ月後、武道大会の開催日となった。

 武道大会はトーナメント戦で、500人以上の参加者が3日かけて順位をつけていき、上位3名に騎士団長となる権利、以下20名の強者に賞金が出される。

 最初に強い者とあたって敗けてしまっても、実力が窺えるような試合であれば、相応の評価をつけてもらえる。

 彼女は「優勝して、騎士団長になって皆に私の実力を認めさせるんだ!」と意気込んでいた。

 僕たち3人は、勝ち進めば準決勝で僕と彼女が、決勝でその勝者とあの女が試合をすることになった。


 僕たちは順調に勝ち進んでいった。
 僕は危ない場面もあったが、彼女は全試合を余裕で、あの女も少しの傷を負うだけだった。


 ─────武道大会3日目、その日行われるのは、準決勝とその後の決勝だけだったが、会場の賑わいと熱気は一番凄かった。

 最初に僕と彼女の準決勝が行われた。
 僕たちは本気でぶつかり合い、接戦を極めたが、僕の一瞬の隙のついた彼女の一閃により、僕の剣は弾かれた。


  ─────勝敗は決した 。

 
 僕に勝った彼女はとても嬉しそうに笑った。

 その笑顔を見て、大会が終わったら、自分気持ちを伝えようと決めた。プロポーズしようと、、、、

 
 ─────あの女も準決勝を勝ち進んだ。


 しばらく休憩を挟み、決勝が行われた。

 
 ─────あの女は彼女の弱点や癖を攻めた。。

 
 卑怯だなんて言っていられなかった。
 それは試合だったのだから、、、、


 長い攻防の激戦の末、彼女の剣が女の首に当てられた。

 彼女は、自分が勝ったことに信じられないのか一瞬呆けた顔をしたが、事実を噛み締めるように自分の手を見て、目に涙を浮かべていた。

 会場が沸き立った。
 彼女が大勢の人間から認められた瞬間だった。

 彼女が僕の方に駆けて来た。

 あの女は悔しそうに俯いていたが、次の瞬間、目に憎悪を浮かべ、自分から離れていく彼女の背中を睨んだ。

 僕は寒気を覚えて、彼女に叫んだが、間に合わなかった。

 彼女を睨んでいた女は走り出すと、持っていた剣で彼女の心臓を背中から貫いたのだ。

 それと同時にの記憶も甦った。
 彼女を守れなかった自分に失望した。

 ──────なぜ、思い出すのは手遅れになってからなのだ。
 
 ──────なぜ、僕はのことを忘れてしまっているんだ……………

 観客からの悲鳴が響いた。

 頭が真っ白になったが、フラつく足で胸から剣を生やす彼女の元に向かった。

 彼女の胸から突き出た剣が引き抜かれる。

 倒れ込む彼女の身体を支えるが、彼女は直ぐに息を止めた。

「なぜ、こんなことをするんだ」

 僕は呆然とした声で目の前に佇む女に問い掛けた。

「こうでもしなきゃ、貴方は私を見てくれないじゃない!!」

 女は狂気に満ちた顔で叫ぶが、意味がわからない。
 ……………そんな事のために?
 僕のせいなのか?

 僕は女に斬りかかろうとするが、誰かに止められた。

 目の前の女も拘束されている。

 

 

 ─────こうして、武道大会は波乱の中で幕を閉じた。
 ─────優勝者が順優勝者に殺された。

 その事実は口外禁止とされ、歴史の闇に消えていった。


 あの女は幽閉され、獄死したらしいが、僕は老衰するまで生きた。

 彼女のいない、暗い世界で────────



 





 



 
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