16 / 62
XX 僕と彼女の過去 XX
15 甦る記憶③
しおりを挟むさらにその前の僕は〝科学〟という技術が発達した世界を生きていた。
その世界には、見上げるほど高い建物が建ち並び、空を飛んでの移動手段などがあった。
教育もしっかりしていて、たくさんの学校があり、子供は必ず7歳から9年間の教育を受けることができた。
その9年が終わってもさらに進んだことを学ぶために上の学校に進学する人が多い。
彼女とは同い年の幼馴染で、3歳から、18歳の春までずっと一緒にいた。
16歳の頃に僕から彼女に告白をして付き合っていた。
19歳になる年の春、僕たちはそれぞれの道に進むために別の学校へと進んだ。
別の学校に進んでも、僕たちの関係は切れることなく続いていたが、僕たちが成人して数年、社会に出てしばらくすると、彼女からの連絡が途絶えた。
僕たちは離れた土地に住んでいて、普段は仕事があるために最後にあったのは半年前だ。
僕は心配になって、自分の連休を使って彼女の家を訪ねた。
彼女は家にいなかったので、彼女が仕事をしているという職場に行った。
受付の人に聞くと彼女は仕事中らしかった。
僕は待った。彼女が仕事を終えて、建物から出てくるのを。
…………………………おかしい、待ち始めて10時間以上経ったのに人が一人も出てこない。
いや、正確に言うと20代前半の人が、だ。
────────さらに3時間が経った日付をまたいだ頃、やっと彼女が出てきた。
僕は、駆けよって彼女を確認した。
「大丈夫か? いつもこんな遅くまで仕事をしているのか?」と、尋ねた。
僕を見て、驚きを浮かべた彼女の目元には大きな隈ができていた。
彼女に「何でいるの?」と聞かれたがそれどころじゃなかった。
愛する彼女がやつれ、疲れきった表情で仕事を終えて出てきたのだ。深夜に。
─────彼女の話では、彼女が勤めている職場では新人への押し付けが行われていて、新人は皆彼女と同じ状況だったのだという。
特に、彼女の直属の上司である女性はそれが酷く、仕事の押し付けに責任の擦り付け、仕事が少しでも遅れた時は暴力を振るったりと、やりたい放題だったらしい。
その仕事を辞められないのかと聞いたが、上司の圧力が強く、自分が辞めることで他の新人の子達への風当たりが強くなるのも心配で辞めるに辞められないとこたえていた。
彼女は「大丈夫だから、帰って? 迷惑かけてごめんね」と言っていたが、少しも迷惑だなんて思わなかったし、単純に彼女が心配だった。
彼女をその状態のままにして帰りたくなかった。
帰ってはいけない気がした。
それでも僕は、彼女を彼女の家に送ったあと、「無理はするな」とだけ言って帰ってしまった。
──────そうしたことに後悔することになるとも知らずに………………
僕は彼女が心配で、毎日「無理はするな、何かあったら相談しろ」というメッセージを送ったが、彼女から、返事がくることはなかった。
僕の方の仕事も忙しくなってしまい、彼女に会いに行くこともできない、、もどかしかった。
───────会いに行ってから1ヶ月後、彼女から連絡がきた。
しかし、そこにあった内容は絶対にあってはならないものだった。
連絡が届いた次の瞬間、頭の中にかつての記憶が浮かび上がり、それと同時に彼女がこの世界から去ってしまったことを悟った。
この時も思い出したのは、彼女がいなくなってからだった。
彼女からの連絡は最後のメッセージだった。
《小さい頃から一緒にいてくれてありがとう。もう、疲れちゃった………。迷惑かけてごめんね、バイバイ。》
彼女が送ってきた内容だ。
僕はその場で崩れ落ちた。側にいた人が心配して寄ってくるが、どうでもよかった。
黙って立ち上がり、高い建物に昇ると、そこから飛び降りた。
彼女のいない世界なんて意味がないから。
彼女のいない世界で生きていくのは辛いから。
死ねば、彼女に会えるから。
そう、自分に言い訳をして現実から逃げたのだ。
-------------
その前にも、その前にも僕は彼女と出会い、守れずに死なせてしまった。
中には、僕と彼女との結婚式で彼女が殺されたこともある。
今思えば、〝科学の進んだ世界〟にいた彼女の上司の女はいつも、彼女を殺す女と同じ だろう。
そしてあの女、この世界でのレイラ様はどの世界でも記憶を持っていて、僕に執着している。
今回は彼女を守る!
今まで辛い生を繰り返してきた分、僕が幸せにして上げるんだ。
〝ラストル〟は、これまでの僕と違い、手遅れになる前に記憶を取り戻したのだから。
僕たちの強い思いによってこうして記憶を取り戻したのだから。
この繰り返す悲劇を〝ラストル〟と〝イリス〟で終わらせる!!
─────そう考えているうちに僕は自分の意識が浮上していくのを感じた。
-----------
「うっ…………………」
「ラストル! 起きたか!? 痛い所はないか!?」
小さく声を上げて起き上がると、ライル父様の声がした。
ここは───僕の部屋のベッドみたいだ。
外はすっかり暗くなってしまっている。
どうやら、父様に心配をかけてしまったようだ。
突然倒れちゃったんだもんな……………………
「大丈夫です、父様。それよりお話したいことが………」
「…………あぁ、わかった。すぐにで大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫です」
「グレンもいて大丈夫か?」
部屋の隅を見ると、グレンが佇んでいた。
僕は黙って頷き、記憶を話し始める
父様には話しておくべきだろう。
僕一人で彼女を守れたらいいが、この世界のあいつは侯爵令嬢だから、伯爵家の次男にすぎない僕では、力不足だ。
「実は─────────────」
~~~~~~~~~~~~~~
読んでいただきありがとうございます("⌒∇⌒")
これで、前世編は終了です!!
暗い話になってしまいましたが、
お付き合いくださりありがとうございました!
0
あなたにおすすめの小説
なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた
たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。
女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。
そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。
夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。
だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……?
※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません……
※他サイト様にも掲載始めました!
【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
妹の身代わりだった私に「本命は君だ」――王宮前で王子に抱き潰され、溺愛がバレました。~私が虐げられるきっかけになった少年が、私と王子を結び付
唯崎りいち
恋愛
妹の身代わりとして王子とデートすることになった私。でも王子の本命は最初から私で――。長年虐げられ、地味でみすぼらしい私が、王子の愛と溺愛に包まれ、ついに幸せを掴む甘々ラブファンタジー。妹や家族との誤解、影武者の存在も絡み、ハラハラと胸キュンが止まらない物語。
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる