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6章 全ての始まりと終わり
56 全ての始まり②
しおりを挟むグレイトスとトルマトスと暮らし始めてどれくらい経った頃だろう?
僕はルミティフィーネと出会った。
お互い一目惚れだったんだと思う。僕達は出会ってからしばらく一緒に4人で生活したのち、夫婦となった。
僕とルミティフィーネが契りを結んでからはグレイトスとトルマトスとは別れた。機会がある度にあってはいたけどね。
………普通に、、平穏に暮らしていたと思う。
神は基本的に死なない。それでも神の数が少ない理由は人間に転化する神が多いからだ。永い時を生きているとそれに疲れてしまう者が多い。神でいる時間の平均は3000年くらいだろうか? それもライナステフィアーネ様が引き上げている感じだし。
まぁ、そんな感じで転化する神は多くて、一度転化すると二度と神にはなれないから神の数は増えにくい。
転化以外にも愛した相手が人間だと神としての名前を捨て、人間として生きることもある。
………レイラもその被害者かもしれない。
神は名前に力が込められていて、力を持つ神程名前が長い。
だからライナステフィアーネ様は一番長い名前だし、ファースラントスやルミティフィーネもかなり力が強い方の神だった。
神の名前は生まれた瞬間に決まる。親となった神が決めるというか意味ではなく、自分で自分の存在と共に理解するんだ。
さっき言った、人間を愛して神としての名前を捨てるというのは、神としての力を捨てることに等しい。
しかし、人間と神の間に生まれた子にも神の力は宿る。
転化は神としての存在も消すけど、名前を捨てるだけでは力しか消せないから。
そうして、弱い力しか持てなかった神が彼女。
両親からの愛情があればまだよかったんだけど、彼女の両親は人間である母親までも神的だった。
人間からすれば異質な空気を纏うが、神というには弱すぎる彼女は孤立していた。
ある日、微弱な神の気を感じた僕とルミティフィーネが気になって向かった先に彼女はいた。
僕とルミティフィーネの最大の誤算は彼女の執着を見誤ったこと。
彼女は自分を孤独から救った僕達、いや、、自分のヒーローとなった僕に依存していった。
僕は彼女にとって唯一頼れる、一番大切な異性神となり、その僕と契りを結んだルミティフィーネは彼女にとって邪魔な存在となった。
僕がどんなに彼女を愛せないと言っても『ルミティフィーネがいるからだ』と言って聞かなかった。
そしてついに強行手段に出た。
基本的に死なない神を殺す方法、それは呪いだ。
強力な呪いは力の強い神さえも殺すことがある。
だから、神が呪いを使うことは同族殺しとして、魂に罰を受ける。その内容は呪いを行使したものによって変わる。その者が一番苦しむように……。それでも彼女はルミティフィーネに呪いをかけた。
僕はルミティフィーネを救うことができず、神としてのルミティフィーネは死んでしまった。その時ことを思い出すと今でも胸が苦しくなる。
僕はルミティフィーネを殺した彼女を拒絶した。
『ルミティフィーネはいないのに、どうして私を愛してくれないの!?』
『お前は僕の愛する神を殺した。そんなお前を愛すると思うか? もう僕の目に入らないでくれ』
呪いを行使して彼女が受けた罰は“魂への焼き印”と“全ての愛の剥奪”。
“魂への焼き印”は消えることのない苦痛を与え、“全ての愛の剥奪”は神としてどんなに長く生きても、たとえ人間に転化しても、愛されないというものだった。
それに憤った彼女は自分と僕に別の呪いをかけた。あまりに強力だったせいで、まだ残っていたルミティフィーネの残留思念も影響を受けてしまった。
その呪いは “愛されるまで滅びない” 。しかし、罰を受けた彼女が他人から愛されるのは不可能であり、僕達3人の魂は廻り続けている。
彼女の名前は神であった時も、呪いにより人間として生きてきた数え切れないトキの中で常に〝レイラ〟だった。“魂への焼き印”に刻まれた彼女は半神として力を有した名前に縛られてしまったのだ。
――――――――――――
「こ、これは………ラストルの鼓動が止まった?」
「そ、そんなっ」
イリス嬢が泣き崩れる。
トーマスとレイ伯爵家執事のグレン殿が何かしたと思ったら、弱ってはいても確かに脈打っていたラストルの鼓動が急に止まったのだ。まるで、時間が止まったように………。
「皆様ご安心ください。しばらくは大丈夫です」
「グ、グレン?」
「旦那様、お話ししなければならないことがたくさんございますが、まずはこの場にいる方々にお帰りいただきたく存じます」
「……バルナート」
「分かっているさ、ライル。………皆、建国記念のパーティーに騒ぎを起こしてすまぬ。この後のこと、サン侯爵家の処遇は日を改めて連絡する故、今日のところはこれで終了としたい。なお今日起こったことは他言無用だ、、よいな?」
父上の言葉を受けた者達が戸惑いながらも帰途につく。
ラストルは本当に大丈夫だろうか?
父上と私、レイ伯爵夫妻、イリス嬢、そしてグレン殿とトーマス以外の者が帰った後で、父上の執務室に移動した。
移動の際、ラストルはグレン殿が抱えて運んでいた。
「さて、まず最初に確認しておきたいのですが、イリス様、思い出しましたか?」
「……えぇ、ラストルが倒れるのを見た瞬間に」
ラストルをソファに寝かせたグレン殿が意味深長なことを尋ねる。
「左様ですか、お辛くはごさまいませんか?」
「……少し。でも大丈夫よ」
グレン殿がイリス嬢に労るような目を向ける。
これからするのは、ラストルとイリス嬢が以前私に『言えない』と言っていたことなのだろうが、、
「……これからする話は私が聞いても大丈夫な話か?」
「えぇ、イリス様もよろしいですよね?」
「大丈夫よ」
「まず、私の本来の名前はグレイトスと申します」
「僕はトルマトス~」
「私は、ルミティフィーネという名前でした」
~~~~~~~~~
読んでくださりありがとうございます!
説明文のような話が続いてすみません_(..)_
転化は転生的な意味です!!
自分の意思で神から人間に変わるので、転生より転化の方がしっくりくるかなとそちらを採用してみました。
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