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2章 街で幸せに

13 彼女との街歩き(ウィリアム視点)

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 前2話の別視点なので、今日は2つ投稿します!


~~~~~~~~~


(ウィリアム視点)


 今日は仕事の後でリーナ嬢を誘って街に行くことにした。
 マチルダ殿の食堂で手伝いを初めて2週間が経ち、大分街に馴染めたと思う。リーナ嬢との距離も少しずつ縮まっているように感じるしな。それに───


「リーナ、しかめっ面をしてどうした?」

 最近のリーナ嬢は私が女性客と話していると、私の方を見ている。

「……………いえ、何でもありません」

「本当か?」

「し、仕事してください!」

 少しずつ意識してもらえているようだ。


* * *


「さ、今日はこれで終わりだね!」

「はい、お疲れ様でした」

 今日の営業も終わりか、、マチルダ殿の食堂はかなりの人気のようで、席は毎日うまっている。私も毎食マチルダ殿の料理を食べているが、食す者を考えた味付けで美味しい。まぁ、リーナ嬢に興味のある男客も多いようだが………。

「リーナもお疲れ様、、この後だけど、私と一緒に街に出掛けないか?2人で」

 朝から考えていたことをリーナ嬢に提案する。マチルダ殿の話ではリーナ嬢はまだ一回しか街に出掛けていないというし、私もある程度馴染むまではと外出を控えていたからな。

「いいじゃないか。リーナ、アンタもたまには息抜きしておいで」

 マチルダ殿から援護射撃もあり、リーナ嬢から了承してもらえた。
 食堂に訪れる者の多くは私とリーナ嬢の仲を応援してくれているらしい。

「リーナ、一緒に楽しもう!」

「そうですね」

 ……さて、どこに行こうか。


* * *


 しばらく歩いていると、アクセサリーを売っている店があった。
 リーナ嬢は学園に通っていた頃からアクセサリーの類を付けていなかったが、、

「リーナ、あの店に寄ってみないか?」

「!行きたいです」

 やはり、興味はあったようだな。

「あら、リーナさんにウィルさんお揃いで!………デートですか?」

「う~ん………そんなところかな?」

「ウィ、ウィル、、何を言っているんですか?」

 マチルダ殿の食堂によく訪れている女性達の店だったようだ。
 それにしてもデートとは、、そのように見えていたのなら、私としては嬉しい限りだ。

「リーナ、、ダメか?」

「うぅ………」

 ………可愛いな。

「………まだ付き合っていなかったんですか?」

「残念ながら、彼女から返事が貰えなくてね」

「えぇ!? リーナさん、他の女の人に取られちゃいますよ?」

「だって…………」

「………まぁ、気長に待つさ」

 もとより時間は掛ると思っていたしな。

「あっ! リーナ、これはどうだ?」

 リーナ嬢の髪色に合いそうなクローバーの髪飾りがあった。クローバーの花言葉は“幸運”、“私を思って”、“私のものになって”、それと、“約束”に“復讐”だったか?
 リーナ嬢に出会えたのはまさに幸運で、私の想いを具現している……。リーナ嬢を苦しめたカトル公爵へ灸を据えねばと思っていたし、ピッタリではないだろうか? 私の想いの全てが盛り込めている。
 リーナ嬢に花を贈りたくて色々調べたからな。当時は贈ることが出来なかったが………。
 

「まぁ、可愛いですね!」

「おっ、リーナさんに似合いそうですね! 買われますか?」

「もちろん買おう」

「えっ、ウィル!?」

「君にプレゼントさせてくれないか?」

「………ありがとうございます」

 すぐにリーナ嬢に付けてみる。

「あぁ、よく似合ってるよ」

「そ、そんな……」

 本当に美しい……。


「───またのお越しをお待ちしてます!」

「あぁ、ありがとう」

「ありがとうございました」

「(早く付き合っちゃえばいいのに…………)」

 ふっ、彼女達も味方のようだな。
 リーナ嬢には聞こえていないようだが、、


* * *

 
 そのあとも色々な店を見て回ったが、瞳を輝かせるリーナ嬢はとても可愛らしかった。


「………ウィルが行きたい所はないのですか?」

「ん? ………私が行きたい場所は君が喜んでくれる場所だからな」

 恥ずかしかったのか俯いてしまった。

「リーナ、どうした?」

「な、何でもないですっ!」

白金に輝く髪の隙間から覗く耳が赤い。


「ウィルは────」


「よぉ、お嬢ちゃん久しぶりぃ~」

「おぅ、会いたかったぜぇ、嬢ちゃん!」

「前は邪魔されたが、今はそのヒョロっとした男しかいないもんなぁ?」

 リーナ嬢が何か言おうとした所に知らぬ声が掛った。
 随分と柄の悪そうな男達だが、、

「……この者たちは知り合いか?」

「いえ、、以前街に来た時にも声を掛けてきた方々です」
  
 ほぅ……それはそれは。

「リーナに?、、そうか……お引き取り願えるか?」

「あぁん? 誰だ、お前」

「男に用はねぇんだ! そのお綺麗な顔を潰されたくなかったら消えた方がいいぜ!」
 
「バイバ~イ」
 
 周囲に人影は見えないが、物陰に街のもの達がいるようだ。危ない状況になったら助けてくれるのだろう。
 それにしてもこの者達は話す順番が決まっているのか?先程から……いや、今はどうでもいいことだな。

 不安そうなリーナ嬢を背中に庇う。

「大丈夫だ。リーナは私が守る」


「あの、ウィル……無理しないでくださいっ!」

「大丈夫だ、、私を誰だと思っている?」

「……あの、武術はどれ程?」

 あぁ、そういうことか。
 確かにリーナ嬢の中の私は武術をするイメージがないだろう。体格も逞しいとは言いがたいしな。

「まぁ、安心して見ていてくれ」



「はっ! 俺らに歯向かうってのか!?」

「彼女の前で恥かくぜ?」

「逃げりゃあいいのにねぇ」

 間合いを測りながら近づいていく。




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