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2章 街で幸せに

12 ウィル強し

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 どうしましょう!?
 相手は3人もいますし、体躯もウィリアム様より大きいですっ!

「大丈夫だから、安心していい」

 ウィリアム様は振り向いて、笑顔でそう言ってくれますが、、

「チッ! よそ見なんかして、随分と余裕だなぁ!?───オラッ!!」

「う~ん……。動きが大きすぎるな」

 一番大柄の男がウィリアム様に殴りかかりましたが、ウィリアム様は余裕のある動きで避けてしまいました。
 ………ウィリアム様は武術も得意なのでしょうか?

「おいお前ら、一斉に殴りかかれ!」

「───リーナ、ちょっと目を閉じていてくれ」

「は、はい!」  

 言われた通りに目を閉じますが、ウィリアム様は大丈夫でしょうか?

 ───「グァッッ」
 ─────「グホッッ」
 ───────「ガハッッ」

 えっ?
 今の呻き声は何ですか!?  
 呻き声の後には何かが倒れたような音もしました。
 ウィ、ウィリアム様は?

「よしっ、 リーナ、もう目を開けて大丈夫だ」

「ウィル、、大丈夫ですか!?」

「あぁ。この程度なら余裕だ」

 ウィリアム様の声で目を開けると、優しい顔で私を見ているウィリアム様と、その後ろで踞っている3人の男性がいました。

「その、ウィルは強いのですね……」

「ははっ、 鍛えたからな。……リーナは怖い思いしてないか?」

「ウィルが守ってくれたので大丈夫です!」

 本当に心強かった……!前は街の方々が来てくださるまで一人でしたから。
 不安もありましたが、ウィルはずっと私を庇ってくれていました。
 ………内心は大慌てでしたが、、

「ぐっ………テメェ」
「もう許さないぜ!?」
「後悔してもしらないよぉ?」

 3人は少しフラつきながらも立ち上がると、またウィリアム様に殴りかかろうとしました。

「………せっかく手心を加えてやったというのに、まだ続けようというのか?」

「な、何だと!?」

「反省するようなら許してやろう思ったのだが、、無駄な気遣いだっか?」


 ───ウィリアム様の雰囲気が変わりました……。
 さっきまでは少し威厳があっても街の好青年のような柔らかい空気を纏っていたのに、今は……皇族としての威厳を放っています、、、
 隣にいるだけなのに、空気が重くて痛いです。


「て、テメェ、何者なんだ!?」

「お前たちが知る必要はな──」

「オラァァア!」

「ウィルっっ!!」

「……ここまで愚かな者がいたとはな、、」

「「「!!!!」」」

 ウィリアム様が話していたら、一人が殴りかかっていきましたが、余裕で避けて首元を叩いて倒してしまいました。
 私はもちろん、仲間の2人も驚いたようです。

「………分かったら、すぐに立ち去れっ!」

「「ヒィッ!」」

 男たちは2人で気を失った1人を支えて逃げていきました。


「……すまないな、人に暴力を振るったりして、、」

 あぁ、、最初、ウィリアム様は私に暴力を見せたくなくて、目を閉じているように言ったのですね。ウィリアム様の眉が下がっています。

「私は大丈夫です。ウィルは本当に怪我をしていませんか?」

「私は強かっただろう?」

「ふふっ、そのようですね」

 ウィリアム様はいつも通りのに戻っています。

「はぁ、 、リーナにあんな私は見せたくなかったんだが……」

「?? 私を守ってくださいましたし、昔のような威厳も溢れていて素敵でしたよ? あっ、もちろん今のウィルも素敵です!」

 とてもかっこよかったのに、何故私に見せたくなかったのでしょうか? 確かに少しは怖かったですが。
 さっきのウィリアム様はいつも以上に素敵でした!

「えっとリーナ、それは無自覚か?」

 何がでしょうか?
 分からなくて、首を傾げます。

「無自覚なんだな……。でも、私を『素敵』だと思ってくれていたんだな?」

 っつ今更ですが、ウィリアム様に直接そのようなことを言ったなんて……!
 うぅ、、顔が熱くなってきました……。

「ん? 少しは意識してくれたか?」

「……お忘れください」

「う~ん、無理かな」

「な、何故ですか!?」

「あんなに可愛いリーナを忘れるなんて出来ないさ」

 うぅ、恥ずかしいです、、
 よりにもよってウィリアム様に直接『素敵』なんて……。

「さぁリーナ、こっちを向いてくれないか?」

 下を向いていたら手を握られてしまいましたっ!
 ど、どうすれば!?
 
「リーナ」

「い、今はダメですっ」

「リーナの顔見せて?」

 ウィリアム様は右手で私の左手を握ったまま、左手で頭に付けたクローバーの髪飾りを触っています。
 急に口調が砕けたものになりましたしっ!

「~~~~!」

「あはは! これ以上やったら嫌われてしまうな。 リーナ、早く返事を聞かせてくれ」

 返事って、こ、告白のですよね?
 まだよく分かりませんが、ただの〝友情〟では在りませんよね……?
 でも────

「っき、気長に待つと仰っていたではないですか!」

「あぁ、それでも」

「わっ、分かりました」

「ありがとう。 さて、そろそろ帰ろうか」

「そうですね」

 私がまだ顔を上げないからか、ウィリアム様は手を引いて歩いてくれます。
 通りには私とウィリアム様以外、誰もいません。普段は人が多い時間帯だと思うのですが、、
 横を歩くウィリアム様を盗み見ます。 相変わらずカッコいいですね、、あれ? 頬が少し赤い?
 ……夕日のせいでしょうか?






~~~~~~~~~~~~~

ー通りの物陰ー

「いや~、ウィルの奴あんなに強かったんだな!」
「あぁ、騒がしいと思って来たら、もう倒してたもんな!」
「その後もかっこよかったです!」
「声がでかい! 気付かれたらどうするんだ!?」
「それにしても初々しいね~」
「あいつら、またリーナちゃんにちょっかい出しやがって!」
「本当、許せません!」
「私もよ!」
「街の衛兵に相談するか?」
「そうしましょう!」
「あの2人を絶対にくっつけるぞ!」

『おう!』


 たくさんの人がリーナとウィルを見守っていたとかとないとか………










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