美しく優秀な次女がいるのなら、私は必要ありませんよね? 〜家を捨てた私は本当の姿に戻り、追いかけてきた皇子と街で暮らす〜

夜野ヒカリ

文字の大きさ
32 / 57
リクエスト集

《if》~仲の良い家族③~

しおりを挟む

 先に言ってしまうと、断罪までいきませんでしたorz
 長々とすみません_(..)_
 これの次の話で《if》は終了になります(←本当です。嘘じゃないです(TT))
《if》が終わったら本編完結後のリーナ達の話を書いていくので今後もよろしくお願いしますm(._.)m


~~~~~~~~~



「──第二皇子ウィリアム・アスラート殿下、並びにカトル公爵家ご息女リーナ・カトル嬢のご入場です!」


 入場を報せる声によって、一気に集まる人々からの好奇の視線……。
 これ程多くの視線を受けたのは初めてなので身が固まってしまいました。


「……リーナ嬢、大丈夫だ」

「ウィリアム様……はい、ありがとうございます」

 ふふっ、ウィリアム様の心強い声を聞くとホッとして緊張がほぐれてしまいますね。すっかりと平常心に戻ることが出来ました。
 ……やっぱり、少し恥ずかしいですけどね……?ウィリアム様の腕に添えた手からは服越しにも分かる優しい熱を感じますし、、
 陛下との話し合いを終えて会場にいるはずのお父様達を視線で探します。
 


「──こんばんはウィリアム殿下! 御前に失礼します」

「リック! 儂の話はまだ───」

「……レクト公爵子息、急に何用だ?」

「誠に失礼かとは思いましたが、どうしてもお伝えしなければならないことが」

「いえ! ウィリアム殿下、愚息が申し訳ございません。すぐに下がらせますので」

「父上! ジャマをしないでいただきたい!」

 群衆の中から現れ、私達の進路を塞いだのはまさかのリック様でした。……予想外の展開ですね、、
 そして、リック様を制止しようとするレクト公爵の顔には怒りが見受けられます。
 ……リック様の隣にいる女性のせいでしょうか?

 レクト公爵は引き下がろうとしない息子の様子に“皇子であるウィリアム殿下の前でこれ以上は……”と言わんばかりの表情を浮かべ、リック様とその腕を抱く女性を睨み付けて群衆の中に戻っていきました。

「殿下の隣にいる女は貴方に相応しくありません。早急に離れられるべきです!」

「おかしなことを言うな……このリーナ嬢は貴殿の婚約者であるはずだが?」

「えぇ、だからこそ、その女の陰湿さを熟知しております!」

 ……『陰湿』とは?

「その女は下らぬ嫉妬から、このキャサリンに嫌がらせをしていたのです。子爵令嬢であるキャサリンは、不相応にも公爵家に籍を置くその女からの嫌がらせに涙を飲むしかなく…… 学園に通っていた頃の辛い想いをやっと吐き出すことが出来たのです!」

「そうですわ! リーナ様はわたくしに陰湿な嫌がらせをしてきました。当時の私は公爵家の力が怖くて……でも、思ったんですの。そのような方を野放しにしてはいけないと!」

「キャサリン!」

「……それで?」

わたくしはリーナ様の婚約者であり、同じく公爵家という高位に座するリック様に相談したのですわ」

「……リック殿はどうだ?」

「キャサリンの苦悩を知った僕には黙っていることなど出来るはずがありません! 彼女の苦しみを殿下や皆にも知ってもらいその女に厳罰をと、この機会にこのように声明を出したのでございます!これはその女の婚約者であった僕の使命だと思っております!」

「リーナ嬢が罰されるべきであるから、婚約者である女性を“その女”などと称しても問題はないと?」

「はい! その女に敬意を払う必要などありませんので!」

「ほう、なるほど?」

 ……リック様、、ウィリアム様が肯定と取れなくもないことを言ったからか『殿下が自分の主張を分かってくれた!』というように瞳を輝かせながら高らかに自分の主張を続けています。

 隣に立つキャサリン様も同様に自分がどんなに辛い想いをしたかということを涙ながらに語り、リック様に肩を抱かれて慰められていますね……。

 ……二人は周囲からの冷めた視線を感じないのでしょうか?
 パーティーの参列者からは彼らへの非難や嘲笑と、私への同情、、そしてこの騒ぎがどうなっていくのかという好奇が感じられます。

「ほう? つまり貴殿らは───」


「───皇帝陛下、並びに皇太子殿下のご入場です!」


 ウィリアム様の言葉を遮るように陛下と皇太子殿下の入場の報せが響き渡りました。
 皆が陛下の通路を塞がないように移動して中央を向き、頭を下げます。……リック様達も頭を下げましたが、その顔には勝ち誇ったような笑みが浮かんでいます。
 何故そこまで自分達の正当性を信じられるのか、、キャサリン様に至っては私に冤罪をかけているという自覚があるでしょうに……。

 皇帝陛下と皇太子殿下が会場の正面に用意されていた席に到着したようです。


「皆、楽にしてくれ。……此度は私の祝いの席に参加してくれたこと、誠に嬉しく思う。今日より始まった私の新たな年でも、アスラート帝国の繁栄のため尽力する事を誓おう!」


 陛下の心強い宣言に 会場が拍手に包まれます。

 陛下の挨拶がパーティーの開始の合図となり、この後は爵位の高い家の者から皇族の方々への挨拶に参上するのですが、、どうなるのでしょう……。


「──リーナ、すまない。遅くなってしまった」

「お父様!」

 お父様達がどこにも見当たらずおかしいと思っていたら、陛下と一緒にいらっしゃって、皆の視線が陛下に集まっている時に会場に入ってきたようですね。

「すでに一悶着あったみたいだけど、ウィリアム殿下がいてくださったようでよかった」

「ウィリアム君、ありがとうね」

「いえ、当然のことです」

 ……お父様、お祖父様、お母様、ウィリアム様の4人はそばにいるリック様とキャサリン様を睨みながら言葉を交わしています。

「早速、陛下に挨拶に行こう」

 私達が動かないと他の方々も動けませんものね。
 カトル公爵家は公爵家としても家格が最も高いため、一番最初に皇帝陛下への挨拶に参らねばなりません。
 私達が動き出したのを確認した方々が各々結び付きの強い家同士で集まり談笑を始めます。



 陛下の御前に移動する間にお父様達からレクト公爵家の断罪について教えていただきました。
 どうやら、全ての参列者の挨拶が終わってから実行されるようです。……アスラート帝国の貴族家は帝国としてはかなり少なく、こういった場での挨拶は簡単なものだけではありますが、大分時間があるようですね。
 その間はパーティーを楽しむとしましょう。

 断罪が挨拶の後になった理由は、挨拶も受けずに断罪をするのは、皇族が貴族を軽視していると見られる恐れがあるというのと、皆の談笑の場であるパーティーを楽しむ余裕がなくなってしまうためのようです。
 談笑は談笑ですが、皇族主催のパーティーでなければ顔を合わせない貴族家も多いため、そういった家同士の結びつきを強くするという大切な目的があります。

「──リーナ嬢、父上への挨拶が終わったら君と一曲踊りたいのだが……どうだろうか?」

 リック様はあのような様子ですが、私まで礼儀に反するようなことをするわけにはいきません。
 ……リック様は私と踊ってくださらないでしょうし、今日は誰とも踊れそうにありませんね、、

「え?……すみません、今はまだ私はリック様の婚約者ですので……」

「……そうだな、次の楽しみにしておこう、、いつか君とのファーストダンスを踊る権利を得られることを願う」

「はい……!」



* * *



「陛下、本日はおめでとうございます」

 当主であるお父様が代表で挨拶をし、私達は頭を下げて礼をします。
 何故かウィリアム様は陛下の前まで私をエスコートしてくださいました。てっきり、途中までだと思っていたのですが、、

「カトル公爵、さっきぶりだな……日頃よりの尽力に加えて此度の協力、、誠に感謝する。……ウィリアム、さっきは途中で飛び出しおって。公爵達から詳細は聞いたのだろうな?」

「はい、しっかりと」

「まったく……」

「まぁまぁアーサー君、いいじゃないか。若いうちはこのくらい真っ直ぐな方がいいからね」

 お祖父様、、このような場では敬称でお呼びするべきだと思うのですが……陛下は受け入れているようですし、いいのでしょうか?

「ヘンリー殿……まぁ、そういう考え方もあるか、、リーナ嬢には長年、私が命じた婚約による苦労をかけてしまってすまなかったな」

「い、いえ! ……陛下がアスラート帝国のためにお命じになったことを果たせず申し訳ございません」

「気にするな、、悪いのは本人達の意思を無視したこちらだ。それで、リーナ嬢から見てウィリアムはどうだ?」

「う、ウィリアム様は私にはもったいない方です……」

「おぉ、嫌いではないと! よかったじゃないか、、しかし、そうも強引にしては嫌われてしまうぞ?」

「ハハッ、それは気を付けないといけませんね」

 突然、私の方へと移った視線に驚きました。まさか、皇帝陛下から謝罪されるなんて……。
 その後の会話はほのぼのとしたものでしたが。

「……カトル公爵、この後もよろしく頼む」

「御意に」




* * *




 陛下の元から離れると仲の良い令嬢達に囲まれました。
 彼女達が挨拶をするのは少し先だから、私の元へ来たみたいですね。

「リーナ様、ウィリアム様、お久しぶりですわ」

「お元気でしたか?」

「はい、リリア様とルチア様もお元気でした?久しぶりに会えて嬉しいです」

 リリア様は侯爵家、ルチア様は伯爵家の方で、ルチア様は伯爵家の嫡子の方とそれぞれ婚約を結ばれています。そして、リリア様は皇太子殿下のご婚約者でいらっしゃいます!

「……ところで、リーナ様。ついにウィリアム様とご婚約を?」

「る、ルチア様!? 何をおっしゃって……」

「私もルチアと同じ事を考えていましたわ」

 二人は私と、私の隣に立つウィリアム様とを見ながら微笑みかけてきます。

「おや、そう見えていたのなら嬉しいことだ」

「……なるほど、ウィリアム様が婚約者をお作りにならなかった理由はリーナ様なのですね」

「でも納得ですわ! 昔からお似合いの二人だと噂されていましたもの。……正直に申し上げてしまうと、レクト様はリーナ様に釣り合っていないと、皆が言っておりましたわ」

 え?
 私とウィリアム様はそのように見られていたのですか? 
 ……心を塞き止めようとしていたもの、、周囲の反応への恐怖がゆっくりと崩れていきます。
 
「リーナ様もレクト様も別々のパートナーと入場されたので婚約を解消されたのかと思ったのですが……ちがうのですか? 先程、ちょっとした騒ぎになっていたので心配しました」
 
「……はい、リック様は私がキャサリン様に嫌がらせをしていたから、自分がエスコートするに値しないと仰って……」

「はい? ……キャサリン様、、何かにつけてリーナ様へ対抗心を燃やしていましたが、あのようなことまでなさるなんて……」

「私への対抗心ですか? 申し訳ないことに私はキャサリン様にお会いした記憶がなくて……」

 「それはそうですわ。彼女が勝手に対抗心を抱いて、勝手に敗北して、勝手にリーナ様への闘争心を燃え上がらせていただけですもの、、ウィリアム様はご存知でした?」

「あぁ、あの頃はリーナ嬢に直接の危害を加えているわけでもなく、リーナ嬢への対抗心が向上心にも繋がっていると思っていたのだが……」

 な、なんというか……。




「───リーナ!」


 ……リック様、、今度は何でしょうか?




しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

いや、無理。 (完結)

詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。 もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、 「わかってくれるだろう?ミーナ」 と手を差し伸べた。 だから私はこう答えた。 「いや、無理」 と。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。 だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。 失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。 どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。 「悪女に、遠慮はいらない」 そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。 「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。  王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」 愛も、誇りも奪われたなら── 今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。 裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス! ⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

処理中です...