麗紗ちゃんは最狂メンヘラ

吉野かぼす

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第三章 ちゃんと私を見てくださいよ先輩!

麗紗、死す!

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「わあ……! いろんな水着があるんですね琥珀先輩!」
「うん……思ったより多いね……」

「あら、これかわいいわね」
「さっそく目付けてるこの人……すご」

 私達は今、市内のショッピングモールにある服屋の水着コーナーを見に来ていた。

 何でここに来る事になったのかと言うと……。

『今のが本気ですか? 琥珀先輩? そんな訳ありませんよね? まだまだ出せますよね?』
『くっ……そうだよ……まだ……まだ終わってない!』

 自分の全てを賭けた麗紗との闘いで。
 私は、閃光をぶつけたり黄玉を爆散覚悟で限界を超えて使ってみたりしたものの麗紗にあっさり負けてしまった。

 なにせこっちの攻撃が全部通用しないのだから。
 強いにも程がある! なろう系主人公か! 

 まあそれは置いといて。
 私は負けてしまった以上、麗紗の言う事をなんでも聞かないといけない。

 何を言われるか分からない恐怖に、その時の私の心臓は人生の中で一番速く、そして激しく動いていたと思う。

『ふふ、私の勝ちですね琥珀先輩♪』
『くそっ……な、何でもって言っても限度があるからね!』

『わかってますよぉ~。そうですね……ふふっ、どうしようかな~』
『いや焦らさないで……不安になるでしょ……』

『じゃあ、明日の放課後、私と一緒に私の水着を選んでください!』
『……へ? そんなのでいいの?』

『……そんなの? あっ、すみません琥珀先輩、もっと大きい事を言った方が良かったんですか? ならお言葉に甘えて……』

『わあああ! 大きい事言わなくていいから! 水着買いに行こう!? ね!?』
『はいっ!』

 私はその麗紗の返事を聞いた時地球に人類が滅びるレベルの隕石が落ちてくるのが回避された時くらい安心した。

 凄く安心した。超安心した。
 良かった私の初めてが守られて……。

 それで、私と麗紗はどっちもファッションに疎いのでその辺に詳しい千歳にも来てもらう事になったのだ。

「麗紗ちゃん、これどう?」
「あっかわいい! いいわこれ……でも似合うかな……」

「絶対似合うわ! あそこの試着室で着てみて!」
「わ、分かったわ……」

 千歳は水色のフリルの水着を麗紗に持たせて試着室へと押し込んだ。
 そう言えばフリルの水着は胸が小さい人にオススメって聞いた事が……。

 ……千歳の目は確かってのは分かったけど、この事は私の心の中にしまっておこう。

 じゃないと殺される。

「琥珀ちゃん……? ぼーっとしてる場合じゃないわよ……水着は女の最強武器……どれがいいかしっかり見極めなきゃ駄目よ……!」

「う、うん……」

 千歳が私によく分からない圧を掛けてくる。
 この子……水着というか服に対して凄い情熱を懸けてるな……。

 拘りがとんでもない。
 あの勝負服を作り出すだけの事はある。

「分かったらこれを着なさい……いい?」
「えっ……いやこれはさすがに布面積が……」

「水着は大体こんなのよ! あと大事なのは布面積とかじゃなくって似合うかどうかよ! 水着でいかにその素材を生かせるかどうかで決まってくるの! 怖気づいてどうするのよ!」

「わ、分かった分かった……」

 私は千歳の熱量に押されて黒い三角ビキニを受け取ってしまった。
 うう……今からこれを着るのか……。

 私は千歳の視線を背中に受けつつ試着室に入る。
 そして渡された三角ビキニをじっと見つめた。

 黒い上に……布の量がとても少ない。
 セクシー水着とかあの辺程ではないけど、私が着るには大人っぽすぎる!

 散々迷ったあげく、私は服を脱いで下着姿になり、ビキニを着た。
 ちなみに試着は素肌は駄目だけど下着の上からなら大丈夫らしい。

 その所為でめっちゃゴワゴワとした違和感が。
 水着買うのって大変なんだな……スクール水着しか着てこなかった弊害がここに……。

「き、着たわよ……って琥珀先輩!?」
「はい……着たよ……ん? 麗紗もちょうど着終わったのね」

 私と麗紗は同時に試着室のカーテンを開けた。
 凄いタイミングだな。

「あら、二人とも……すっごく似合ってるじゃない! 私の目に狂いは無かったわ!」
「こ、こはくせんぱいのみずぎ……こはくせんぱいのみずぎ……ハァハァ……」

「あ、ありがと……ってちょっと麗紗!? 試着室から出ちゃ……いや鼻血出しすぎ!」

 麗紗はビキニ姿の私を見てまるでエンジェルフォールのように鼻血を噴き出した。
 水色のフリルが真紅に染まっていく。

「すばらしい……すばらしいわ……琥珀先輩の美しさをこれでもかと言う程引き出してるわ……せんぱいのおむねにおとなのみりょくがあいまってうっ!?」

「れ、麗紗!?」
「ちょっと麗紗ちゃん!?」

 麗紗は倒れた。
 麗紗は鼻血を出して倒れた。

「麗紗はどうして倒れちゃったの……」
「あまりの尊みに耐えきれなかったのよ……きっと……」

「ええ……」

 私はあまりの出来事に感情を失い、麗紗の鼻から広がっていく血溜まりを呆然と見続けた。




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