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第四章 プレゼントですよ先輩!
はちみつじまん
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「で、敵は?」
「こ、こいつよ!」
「ん? どうしたのこねこちゃん?」
真乃は麗紗が来た事に驚きつつも、慌てて優紀を指差した。
その次の瞬間、桃色の糸が優紀達を薙ぎ払う。
「なん……で……来てくれたの……?」
「そんなの友達だからに決まってるじゃない」
「麗紗……! あんた……!」
真乃は麗紗の思わぬ答えに心が揺さぶられた。
てっきり真乃は、麗紗に人の心が無いのではないかと思っていた。
もっとも、その考えは間違っていないが。
麗紗は感動する真乃に、クスリと笑って言った。
「それに、襲撃者は倒さないと。うちの用心棒はやられちゃったし……」
「ふがいない用心棒でごめんなさい……」
「別にいいわよ。用心棒以外にも色々とやってほしい事があるし。……そもそも私に、用心棒なんて必要ないもの」
申し訳なさそうに謝る真乃に、麗紗は軽くそう言い放つ。
とんでもなく不敵な宣言だったが――。
麗紗ならば、十分言う資格があった。
「私と子猫ちゃんのふれあいを邪魔するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「……はぁ? その子猫ちゃんが誰だかは知りませんが私はここ四日先輩と全く会えていないんですよ!!! 確かに一瞬でも愛する人と離れる事はとても辛いです! すごく辛いです! ですが! ですがですがですがですがですがですがですがですがですがですがですが私はそれよりも遥かに長い時間先輩に会えていないんです!!! 今私は先輩ニウムが不足して禁断症状を起こしているんですよ!!! 先輩の声はいつでも聴けるように機械を仕込んでありますがそれじゃ全然追い付かないんです!!! 需要が供給を大幅に上回り過ぎているんですよ!!! そう! 足りないんです! 全然足りていないんですよ先輩ニウ厶が!!! 足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りないああああああああああああっ!!! 先輩ニウムが欲しい! 今すぐ先輩を抱きしめて五感全てで味わって先輩ニウムを補給したい! ああもう私狂ってしまいそうぅぅぅぅ! 先輩が居ない日々がどれだけ苦痛に満ちている事か! まるで何もない部屋に90年ぐらい閉じ込められてる気分ですぅ! 先輩が居ないとすべてが色褪せて見えるんですぅ! ああもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だ……ああ禁断症状でしょうか目の前のあなたが先輩に見えてきましたよ……ってあなたは先輩のお友達の方ではないですか! これは失礼致しました。あなたを敵だと勘違いするとは……私ったらなんて早とちりを……これで許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい――」
「うわあ……」
「わ、私の双子ちゃん達が……! 嘘……!」
麗紗は優紀が繰り出した双子達を蹂躙しながら闇を吐き出し、それを出し切るとようやく襲撃者の正体が優紀である事に気付いた。
自らの行いを懺悔し、自らの手に無数の穴を空けていく麗紗。
優紀は双子達があっさりと倒された事に驚愕する。
「それならこいつで子猫ちゃんを守る!」
優紀は先程作ったつみれの双子を麗紗に差し向ける。
つみれの双子は黄色のハリセンを出現させ、麗紗に振り下ろした。
黄色の斬撃が、麗紗を断ち切ろうとする。
しかし、その斬撃は麗紗の体よりも柔らかかった。
斬撃は麗紗の体に当たると金切り声を上げ空へと逸れていった。
「これも効かないなら……!」
優紀は水色の光を手に纏いながら麗紗に近付き。
「まずい! 避けて麗紗!」
「“増殖ジェミニ”」
「えっ……?」
「あっ……」
その手で触れた。
真乃が声を上げたが、その時にはもう遅かった。
水色の光が、麗紗の双子を出現させる。
「これなら勝てるでしょ! いっけー! 子猫ちゃんを守れ!!!」
「な、何で私そっくりの……!」
「麗紗あぶな――」
「きゃああああああああああああああああああああ!!!」
刹那。
麗紗の体が宙へと打ち上げられる。
藍色の、糸によって。
「“藍色紗織”」
「そんな……」
真乃は目の前に広がる光景が信じられなかった。
麗紗のコピーが存在しているこの光景が。
「……ああ本当に私の顔そっくりね。なんて醜いのかしら」
「“藍色紗織”」
麗紗の桃色の糸と、双子の藍色の糸が鍔迫り合う。
周囲に衝撃が走り環境破壊が勃発する。
どちらも、押される気配はない。
「……何なのよ……あんたの能力は一体何なのよぉっ!!!」
「なになに? おしえてほしいのこねこちゃん?」
真乃は優紀にそう叫ばずにはいられなかった。
そんな彼女に、優紀は優しく頭を撫でながら言う。
「わたしの“ぞうしょくじぇみに”はふれたものの“ふたご”をつくりだすのうりょくだよ~。ふたごはみためはそのふれたものにそっくりでもなかみはちょっとちがってて、たとえば……とくしょくしゃのふたごをつくると、ちがうのうりょくになる、みたいなかんじでね! でもちからとかのうりょくれべるはおんなじだよ! わたしののうりょくれべるは9くらいかな! わかった? こねこちゃん?」
「何よそれ……反則じゃない……!」
真乃は優紀に頭を撫でられながらそう憤った。
「こ、こいつよ!」
「ん? どうしたのこねこちゃん?」
真乃は麗紗が来た事に驚きつつも、慌てて優紀を指差した。
その次の瞬間、桃色の糸が優紀達を薙ぎ払う。
「なん……で……来てくれたの……?」
「そんなの友達だからに決まってるじゃない」
「麗紗……! あんた……!」
真乃は麗紗の思わぬ答えに心が揺さぶられた。
てっきり真乃は、麗紗に人の心が無いのではないかと思っていた。
もっとも、その考えは間違っていないが。
麗紗は感動する真乃に、クスリと笑って言った。
「それに、襲撃者は倒さないと。うちの用心棒はやられちゃったし……」
「ふがいない用心棒でごめんなさい……」
「別にいいわよ。用心棒以外にも色々とやってほしい事があるし。……そもそも私に、用心棒なんて必要ないもの」
申し訳なさそうに謝る真乃に、麗紗は軽くそう言い放つ。
とんでもなく不敵な宣言だったが――。
麗紗ならば、十分言う資格があった。
「私と子猫ちゃんのふれあいを邪魔するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「……はぁ? その子猫ちゃんが誰だかは知りませんが私はここ四日先輩と全く会えていないんですよ!!! 確かに一瞬でも愛する人と離れる事はとても辛いです! すごく辛いです! ですが! ですがですがですがですがですがですがですがですがですがですがですが私はそれよりも遥かに長い時間先輩に会えていないんです!!! 今私は先輩ニウムが不足して禁断症状を起こしているんですよ!!! 先輩の声はいつでも聴けるように機械を仕込んでありますがそれじゃ全然追い付かないんです!!! 需要が供給を大幅に上回り過ぎているんですよ!!! そう! 足りないんです! 全然足りていないんですよ先輩ニウ厶が!!! 足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りないああああああああああああっ!!! 先輩ニウムが欲しい! 今すぐ先輩を抱きしめて五感全てで味わって先輩ニウムを補給したい! ああもう私狂ってしまいそうぅぅぅぅ! 先輩が居ない日々がどれだけ苦痛に満ちている事か! まるで何もない部屋に90年ぐらい閉じ込められてる気分ですぅ! 先輩が居ないとすべてが色褪せて見えるんですぅ! ああもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だ……ああ禁断症状でしょうか目の前のあなたが先輩に見えてきましたよ……ってあなたは先輩のお友達の方ではないですか! これは失礼致しました。あなたを敵だと勘違いするとは……私ったらなんて早とちりを……これで許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい――」
「うわあ……」
「わ、私の双子ちゃん達が……! 嘘……!」
麗紗は優紀が繰り出した双子達を蹂躙しながら闇を吐き出し、それを出し切るとようやく襲撃者の正体が優紀である事に気付いた。
自らの行いを懺悔し、自らの手に無数の穴を空けていく麗紗。
優紀は双子達があっさりと倒された事に驚愕する。
「それならこいつで子猫ちゃんを守る!」
優紀は先程作ったつみれの双子を麗紗に差し向ける。
つみれの双子は黄色のハリセンを出現させ、麗紗に振り下ろした。
黄色の斬撃が、麗紗を断ち切ろうとする。
しかし、その斬撃は麗紗の体よりも柔らかかった。
斬撃は麗紗の体に当たると金切り声を上げ空へと逸れていった。
「これも効かないなら……!」
優紀は水色の光を手に纏いながら麗紗に近付き。
「まずい! 避けて麗紗!」
「“増殖ジェミニ”」
「えっ……?」
「あっ……」
その手で触れた。
真乃が声を上げたが、その時にはもう遅かった。
水色の光が、麗紗の双子を出現させる。
「これなら勝てるでしょ! いっけー! 子猫ちゃんを守れ!!!」
「な、何で私そっくりの……!」
「麗紗あぶな――」
「きゃああああああああああああああああああああ!!!」
刹那。
麗紗の体が宙へと打ち上げられる。
藍色の、糸によって。
「“藍色紗織”」
「そんな……」
真乃は目の前に広がる光景が信じられなかった。
麗紗のコピーが存在しているこの光景が。
「……ああ本当に私の顔そっくりね。なんて醜いのかしら」
「“藍色紗織”」
麗紗の桃色の糸と、双子の藍色の糸が鍔迫り合う。
周囲に衝撃が走り環境破壊が勃発する。
どちらも、押される気配はない。
「……何なのよ……あんたの能力は一体何なのよぉっ!!!」
「なになに? おしえてほしいのこねこちゃん?」
真乃は優紀にそう叫ばずにはいられなかった。
そんな彼女に、優紀は優しく頭を撫でながら言う。
「わたしの“ぞうしょくじぇみに”はふれたものの“ふたご”をつくりだすのうりょくだよ~。ふたごはみためはそのふれたものにそっくりでもなかみはちょっとちがってて、たとえば……とくしょくしゃのふたごをつくると、ちがうのうりょくになる、みたいなかんじでね! でもちからとかのうりょくれべるはおんなじだよ! わたしののうりょくれべるは9くらいかな! わかった? こねこちゃん?」
「何よそれ……反則じゃない……!」
真乃は優紀に頭を撫でられながらそう憤った。
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