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篠崎家の家庭事情
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「…実の家に来た女の子ってぇ、アタシが初めてよねぇ?」
勝手な事を言い、探検よろしく奥に入って行く。
そんな恵美の背中を半ば呆然と見つめながら、ようやく我に返った実は、あわてて服を整え、彼女の後を追った。
恵美の向かった先はキッチン。誠の聖域である。
そんな大切な場所に、他人を入れるわけにはいかなかった。
今にも、キッチンに足を踏み入れようとしていた恵美の腕を掴み、強引に引き戻す。
「…痛いよぉ、実ぅ?」
その媚びを宿した目も、頭の悪そうな間延びした口調も、実の神経を逆撫でした。
「…出てけ。」
「ちょっとぉ、どうしたのぉ?」
「うぜぇ。気は済んだだろ。出てけよ。」
恵美が顔色を変えた事に、実は気付かなかった。
ただ、この傍迷惑な存在を追い出したい。
その、一心だった。
「……ひどぉい。」
実は掴んだ腕をそのままに、恵美を引きずるようにして、玄関まで引っ張って行き、外に出るよう乱暴に背中を押した。
実の変化に状況が飲み込めず、その場に立ち尽くす恵美に、実は一瞥もくれなかった。
淡々と、情事の跡を拭い去る事だけに専念した。
実が覚えているのは、そこまでだ。
溜まったモノを吐き出したはずなのに、それを上回る不快感が身体に残る。
一刻も早くシャワーを浴びて、その残滓を消し去りたかった。
勝手な事を言い、探検よろしく奥に入って行く。
そんな恵美の背中を半ば呆然と見つめながら、ようやく我に返った実は、あわてて服を整え、彼女の後を追った。
恵美の向かった先はキッチン。誠の聖域である。
そんな大切な場所に、他人を入れるわけにはいかなかった。
今にも、キッチンに足を踏み入れようとしていた恵美の腕を掴み、強引に引き戻す。
「…痛いよぉ、実ぅ?」
その媚びを宿した目も、頭の悪そうな間延びした口調も、実の神経を逆撫でした。
「…出てけ。」
「ちょっとぉ、どうしたのぉ?」
「うぜぇ。気は済んだだろ。出てけよ。」
恵美が顔色を変えた事に、実は気付かなかった。
ただ、この傍迷惑な存在を追い出したい。
その、一心だった。
「……ひどぉい。」
実は掴んだ腕をそのままに、恵美を引きずるようにして、玄関まで引っ張って行き、外に出るよう乱暴に背中を押した。
実の変化に状況が飲み込めず、その場に立ち尽くす恵美に、実は一瞥もくれなかった。
淡々と、情事の跡を拭い去る事だけに専念した。
実が覚えているのは、そこまでだ。
溜まったモノを吐き出したはずなのに、それを上回る不快感が身体に残る。
一刻も早くシャワーを浴びて、その残滓を消し去りたかった。
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