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1巻
1-3
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ちょっと希望が見えてきた気もしたけれど……ダメだ。私がいつか好きになる人が、そんな心の広い人だとは限らない。ドレスを着て幸せだった気持ちが沈み始める。これ以上この話題は続けたくなくて、無理矢理話題を変えることにした。
「そういえば青山さんは、このあたりの人なんですか?」
この間は東京に、出張へ来ていたのかな?
「あ、違うの。わたしの活動拠点は東京よ。ここの店長が学生時代からの友達で、人手が足りないって言うからピンチヒッターで来てるの。昨日と今日限定よ」
「そうだったんですか!」
「二日間しかいないのに、まさか美乃里ちゃんと再会できるなんて驚いちゃった。偶然ってあるものね」
「はい、本当に。こんなことあるんですね」
……これ以上偶然が続かないでほしい。このスタジオの中に、私のお店へ通うお客様がいないことを祈るばかりだ。
「美乃里ちゃんは撮影が終わったら、観光して帰るの?」
「いえ、すぐ帰ります。明日のお店の営業までに爪もウエディングネイルから通常ネイルに変えたいので、それにも時間がかかりますし」
自分自身のネイルをやるときって、利き手じゃないほうも使わないといけないから、お客様に施術する以上に時間がかかってしまうのだ。
両利きだったらいいのに……といつも思う。
「まあ! 爪もウエディング仕様なのね。さすがネイリストさん!」
「ありがとうございます。えへ、照れちゃいますね」
「素敵だわぁ~! こんなに素敵なのに、変えちゃうのもったいないわねぇ」
「ドレスだと違和感ないですけど、私服だとどうしても浮いちゃうんですよね。かなり頑張ってしたので、惜しい気持ちでいっぱいなんですけど……」
青山さんと話してると、気の合う友達とカフェでお喋りしてるみたいだ。
話が弾みすぎて、口紅を塗っているとき以外は口を閉じることはなかった。
「美乃里ちゃん、とっても素敵よ。まるで女神さまみたい! それに元がいいから、メイクのし甲斐があったわ~っ!」
鏡には、私の知らない人が映っていた。
いや、私なのだけど、青山さんのヘアメイクで変身した私は、それが自分とは思えないほどキレイだった。
ゆるく巻いた髪はねじりや編み込みを加えたハーフアップになっていて、花冠がなくても十分可愛い。
成人式のためにフルメイクしてもらったときも『プロの人にメイクしてもらうと、やっぱり違う! すごい!』と感動した。でも青山さんのメイクはそれ以上。
肌には毛穴がまったく見当たらない。
厚く塗り重ねたわけじゃないし、肌呼吸もしっかりできている感じがする。
どうして? まるで赤ちゃんの肌みたいだ。これが本当の肌だったらいいのに!
まつ毛もいつも自分でメイクするときの倍以上に長くなっている。
瞬きすると、まつ毛の先がファサファサ動くのが見えるほどだ。しかも自分でマスカラを塗ったときよりもうんと軽く感じる。
「もしかして、気に入ってもらえなかったかしら?」
私が感動のあまり絶句していたのを誤解させてしまったようだ。慌てて口を開く。
「そんなことないです! あまりにすごすぎてビックリしちゃって! 自分じゃないみたい……すごいっ! 本当にありがとうございます! 魔法みたいです!」
初めてネイルをしたときの感動と似ている。
鏡に釘付けになっている私を見て、青山さんが口元を綻ばせた。
「ふふ、喜んでもらえてなによりだわ。今日を素敵な思い出にしていってね」
青山さんは鏡を見ている私のうしろからポンと肩を叩いて、「今スタッフを呼んでくるから」と部屋を出て行った。しばらくすると最初にここへ案内してくれた女性が来た。
「まあ、村瀬様、とっても素敵ですわ!」
「ありがとうございます。青山さんのヘアメイクが本当にすごすぎて……!」
「素晴らしいですよね。ふふ、村瀬様はラッキーですよ。青山さんは二日間だけピンチヒッターとしてうちに来ているんですけど、普段は芸能人のヘアメイクを担当している凄腕のメイクアップアーティストなので」
「えっ! そうなんですかっ!?」
まさかそんなすごい人からメイクをしてもらえるなんて、夢にも思わなかった。
その後、無事撮影を終えた私はドレスを脱ぎ、フォトアルバムにしてもらう写真を選んだ。フォトアルバムは後日自宅に郵送してくれるそうだ。
青山さんにもう一度お礼を言いたかったけれど、その日はとてもお客さんが多かったみたいで、彼女に会うことはできずに東京に戻ってきた。
◆◇◆
夢のような時間を過ごしてから数日がすぎたある日のこと、私はまたいつもと変わらない日常を過ごしていた。
その日最初のお客様を施術し終わり、二人目のお客様が来店するまでの間、ノートパソコンで予約リストをチェックしていると……
「あれ?」
二週間後の金曜日に、新規のWEB予約が一件入っていた。
名前は『青山蓮』さん。
青山蓮さんって、あの青山蓮さんだよね?
「本当に予約してくれたんだ」
嬉しい……!
予約してくれたメニューは、ハンドケアコースだった。ハンドローションを使って手をマッサージして、ファイルと呼ばれるやすりで爪の形と表面をキレイに整えるというコース内容だ。
メイクアップアーティストって、ネイルはしちゃダメなのかな? それとも料金の都合だろうか?
結局痴漢から彼女を助けられなかったし、もともと、もしお店に来てくれたら無料で施術しようと思っていた。
料金の都合で諦めたのなら、やってみないかと誘ってみよう。
以降私は、彼女がお店に来る日を楽しみにしながら仕事に励んだ。
◆◇◆
そしてとうとう二週間後、青山さんの来店予定日がやってきた。
昨日ちょうどソロウエディングのフォトアルバムが我が家に届いて、素晴らしいヘアメイクに改めて感動したところなのだ。
この感動を青山さんに伝えたい!
青山さんが訪れる予定の十六時を楽しみに待っていると、予約の時間ちょうどに玄関ドアの開く音が聞こえた。
あ、来た!
マンションの一室をお店として使っているので、玄関ドアの前に看板と、『ご予約のお客様は、そのままドアを開けてお入り下さい』という張り紙をしてある。
「いらっしゃいませ……え?」
迎えに行ったところ、そこにいたのは青山さんじゃなくて、男性だった。
切れ長の目に高い鼻。顔のすべてのパーツが完璧な場所にあって、芸能人みたいに整った顔立ち……しかも百八十センチはありそうな長身だ。
な、なぜかすっごいイケメンが来たーー!
短く切りそろえられたダークブラウンの髪はワックスで無造作に散らされている。黒のテーラードジャケットの下にはボーダーのカットソー、そしてホワイトジーンズといった装いだ。首元にはレジメンタルストライプの模様が入ったシルバープレートのネックレスをさげ、右手の親指にもシルバーの指輪を付けていて、とてもオシャレ。
そんな人が、どうしてうちの店に?
メンズネイルが密かなブームになっているとはいえ、うちの店には男性が来店したことはない。
あ、もしかして、迷ってしまったのだろうか。
同じマンション内には、整体のお店も入っている。そこと間違えたのかもしれない。しかし、オシャレイケメンはにっこり微笑んでこう告げたのだ。
「こんばんは、予約していた青山です」
第二章 キレイなお兄さんは好きですか?
へ? 今、青山ですって言った……?
「十六時にご予約の青山蓮様……ですか?」
オシャレなイケメンはまたにっこりと微笑み、「はい、そうです」と答えた。
偶然同じ名前だったらしい。
そっか、男性だからハンドケアメニューの予約だったんだ。
「え、えっと、お待ちしておりました。こちらにどうぞ」
施術を行う席へ案内し、私もテーブルを挟んで向かいの席に座る。
「本日施術を担当させていただきます村瀬です。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
最近は男性でもハンドケアやネイルにこだわる人が増えてきていると聞くけれど、実際に自分が担当するのは初めてだ。
だ、男性かぁー緊張するなぁ……
「まずはこちらのカルテにお名前、ご住所、お電話番号のご記入をお願い致します。残りは差し支えのないところまでご記入いただけますか?」
彼に手渡したカルテには、年齢と生年月日やネイルの経験はあるか、ある場合は今までどの店に行ったことがあるか、店からダイレクトメールを送ってもいいか等の質問が続いている。
それらの項目は、知りたいけれど強要はしたくないものなので、うちのサロンでは「差し支えのないところまでご記入下さい」というお願いの仕方をしている。
「お飲み物をご用意致しますね。こちらメニューになります」
「ありがとうございます。じゃあ、コーヒーで」
「かしこまりました」
飲み物を用意して席に戻ると、彼はちょうどカルテの記入を終えたところだった。
「書き終わりました」
たいていのお客様は最低限のところだけ記入するが、彼はすべての項目を埋めてくれている。
あれ、三十二歳なんだ。同じ歳ぐらいだと思ってたけど、若く見えるなぁ……
「ありがとうございます。では、まず右手から始めますね。テーブルのクッションの上に置いていただけますか?」
彼は親指にしていた指輪を外し、右手をクッションに載せる。
そういえば、男の人の手を触るなんて初めて……いや、小学校の行事でダンスをしたときにあったかも?
でも大人の男性の手を触るのは、これが初めてだ。
ま、ますます緊張してきた……って、いやいやいや、余計なこと考えている場合じゃない。
目の前にいるのは〝お客様〟なのだ。貴重な時間やお金を使って、うちに来てくれたのだから最高の時間を過ごしてもらわなくては……!
緊張よ、去れ! 去れ! 去れ~!
「まずは爪の長さや形を整えるファイリングから始めますね。どれくらいの長さがいいですか?」
「極力短いのがいいな。深爪気味かな? ってぐらい」
「かしこまりました。では、形の希望はありますか? ラウンド、スクエア、オーバル、ポイントと色々ありますけれど……」
爪の形を一つずつ説明していくと、彼はうんうんと頷いて聞いている。
「男性だと、自然なのがいいですかね。オーバルとかどうでしょう」
「うん、そうだね。自然なのがいいかな」
希望を聞いて、施術を始めていく。
女性の手と違って指がゴツゴツしていて、爪もほんの少し大きめだ。これは個人差があるのかもしれないけれど、体温も高い。
う……どうしよう。
男性らしさが感じられて、また緊張が戻ってきてしまった。
人の手に触れていると、その人の気持ちが伝わってくるものだ。
緊張しているお客様の手はキシキシという音が聞こえそうなくらい硬くなっているし、常連のお客様の手はリラックスして下さっているのかふにゃっと柔らかい。
……それはつまり私の状態もお客様に伝わっているということだ。
き、緊張が伝わっちゃう~……!
私、しっかり! プロなんだから、しっかりして! そうだ! 会話! 会話もしないと!
普段は何気ない会話をしながら施術をするのだけど、男性相手だとなにを話していいか途端にわからなくなる。
まずい。これは開業して以来最大のピンチだ。
「え、えっと、さっき書いていただいたアンケートでは、ネイルサロンは初めてとのことですよね。どうして今回はハンドケアをしようと思われたんですか?」
「あれ?」
彼はきょとんと目を丸くし、私の顔を見る。
「え?」
あ、あれ? 私、なにも変なこと聞いてないよね?
施術する手を止めて固まっていると、彼がクスクス笑い出す。
「あー……そっか。ふふ、見た目と口調が違うから、気付いてないのね。美乃里ちゃんがよかったら来てねって誘ってくれたんじゃない! もうっ! 忘れるなんて酷いわ」
イケメンなお兄さんの低い声がいきなり高くなり、しかも女性的な口調になったものだからギョッとする。
え? でも、この声……
「へ? あ、青山さん? 同姓同名の別人じゃなくて、本当にあの青山さん!?」
「ええ、そうよ。混乱させちゃってごめんなさいね。休日は肌を休めるためにノーメイクなのよ。いつもの姿で来ればよかったわね。口調もこの格好だと違和感あるかしら~……と思って男っぽく変えてるんだけど、そのせいで余計にわからなかったみたいね」
ほ、本当に、あの青山さんなの~~……!?
驚愕のあまり、思わず立ち上がってしまう。
「え、ノーメイクってあの、え? 青山さんって、おとっ……おとっ……男の人だったんですか!?」
「もしかして、気付いてなかった?」
嘘でしょ!?
「き、気付くわけないじゃないですかっ! だって、あんなにキレイな女性、男性だとは思わないですっ!」
「あら、美乃里ちゃんみたいな可愛い子に褒めてもらえるなんて嬉しいわ。どうもありがとう」
「いやっ……そ、そんな……え? あれ? じゃあ、私、あんな恥ずかしい話を……お、男の人に……っ!?」
湯気が出てるんじゃないかってぐらい、顔が熱くなる。
ああああああ……っ! 穴があったら入りたい! この場から逃げたい!
時間を巻き戻して、ソロウエディングをしたときの私にあんな話をするなと言いたい! なんて途方もない願いを抱くものの、時すでに遅し……
「ふふ、まあまあ、座りなさいな」
とりあえず座ったものの、恥ずかしすぎて青山さんの顔を見ることができない。
ふたたび施術を始めて乱れた気持ちを整えようとするけれど、顔の熱さすらもなかなか治まらなかった。
「だからあのとき言ったでしょう? 世の中そんな男ばかりじゃない。その歳まで恋愛経験がなくても引かないって。わたしが男だってわかったら、納得してくれたかしら?」
忘れてくれてたらいいなぁって思ってたけど、しっかり覚えているようだ。
「わ、忘れて下さい……」
「うーん、ごめんね。わたし、割と記憶力はいいほうなのよ」
私がうううう……とうめいていると、彼は「納得してくれた?」と再度聞いてくる。
「あ、の……この話やめませんか?」
「ダーメ。美乃里ちゃんの今後に関わる大事な話だもの。もう一度言うわ。男はそんなことなんて気にしないわよ。どう? 恋愛する気になるかしら」
「うぅーん……」
想像してみるけれど、一度諦めたせいなのか、自分が恋愛している姿はまったく想像できない。
というか、先ほどの青山さんへの対応を思い返す限り、恋愛どころか男性と関われる気がしなかった。
「その様子だと、前向きな答えではなさそうね?」
「そうですね。無理かも……私、今まで男性とほとんど接点を持ってこなかったので、男の人を前にすると身構えちゃうみたいです。これじゃ恋愛どころか男友達すらできなそうですもん」
「ああ、確かに。さっきわたしに気付いていなかったとき、身構えてたし、とっても緊張してたものね」
悟られないように振る舞っていたつもりだけど、やっぱり伝わっていたらしい。
うう、プロとして恥ずかしい……!
「んー……そうだわ。わたし、いいこと考えちゃった」
「え?」
その言葉に誘われるように顔を上げると、青山さんが意味深な笑みを浮かべていた。
「美乃里ちゃん、わたしと付き合いましょうよ」
「…………へ!?」
あまりに驚いて、爪の形を整えるためのファイルを手からポロッと落としてしまう。
あ、そっか、冗談だよね。私ったら、なに本気にしてるんだろう。
「あはは……また、そんな、なにを言って……」
「あ、冗談だと思ってるみたいだけど、大真面目に言ってるのよ。痴漢から助けてもらったお礼をなににしようか考えてたけど、これがいいんじゃないかしら! わたしと付き合えば、彼氏いない歴イコール年齢の記録に終止符が打てるし、もし今後付き合いたい人ができたときに、美乃里ちゃんが気にしている足枷がなくなるでしょう? それに男慣れもできる。一石三鳥じゃない! ね?」
本気だったの!?
「な、なに言ってるんですか! 私と付き合って、青山さんになんのメリットがあるんですかっ!」
「わたしのメリットなんて考える必要ないわ。これはこの前のお礼なんだから。わたしを踏み台にする気持ちでいいの」
「ふ、踏み台って……」
狼狽していると、青山さんがニッコリ笑う。
「でもね、実はわたしにもメリットがあるのよ。わたし、女の子のことが知りたいの」
「女の子のこと?」
「そうそう。ほら、わたし、ご覧の通り生まれは男でしょう?」
「そう、ですね」
それになんの関係があるんだろう。
「えーっと……わたしはゲイだから女の子と付き合った経験なんてないし、女の子のことがよくわからないのよ。美乃里ちゃんと付き合えば、その辺、よくわかると思わない?」
青山さんは、もっと女性について知りたいってこと? 好きな男性がいるから、より女性らしさを追求してる、とか?
「思わない? って聞かれても……今でも素敵だし、女装したら女性にしか見えないのに、まだ完璧を目指すんですか?」
「あら、嬉しいこと言ってくれるわね。そう、実はわたし、完璧主義なの。だから完璧な女性になりたいの。ねえ、初めて付き合う相手がゲイじゃ嫌? 美乃里ちゃんが望むなら、さっきみたいに男っぽく振る舞うこともできるわよ?」
「いや、そういう問題じゃなくて……」
でも、こんなチャンスは、もうないかも。
いやいやいや! だからって、そんな理由で彼氏を作るなんて……
「青山さんって好きな人、いるんですか?」
「あら、唐突な質問ね。どうしてわたしの話になるのかしら」
「いや、あの、女の子のことを知りたいっていうのは、そういうことなのかなーって。意中の男性をゲットするために、完璧な女性を目指そうとしてるのかなーって想像したんですけど……」
青山さんは片手を自分の顎に当て、少し考え込むような仕草をする。
「んー……あーはいはいはい! そうねっ! 好きな男? に好かれるために、もっと女の子らしくなりたいわけ! うん! ま、そういうことにしておこうかしら」
「え、そういうことって……」
どういうこと? 違うの?
なんだかすごーく違和感がある言い方だ。
「まあまあまあ、言葉のあやみたいなものなんだから、深く突っ込んじゃやーよ」
あ、照れてる……とか? ……うん、それっぽい。そっか、照れてるんだ!
こんなカッコよくてキレイな人に好かれるのって、どんな男性なんだろう。青山さんは普段、芸能人のメイクをしてるって言ってたし、モデルさんとか?
「それよりも、どう? 付き合ってくれる? いいじゃない。付き合いましょうよ。ね?」
「い、いいじゃないって……」
答えに詰まっていると、青山さんがニヤリと笑う。
「そういえば、ここのサロンって、とぉっても評判なんですってね」
「へ?」
「わたしの仕事相手の中にも通ってる人がいて、そう言ってたわ。店長が腕のいいネイリストな上に恋愛経験豊富で、色々相談に乗ってくれるから、ネイルだけじゃなくて恋バナするのが楽しいそうよ」
「そ、そうなんですか。せ、世間って狭いですね。青山さんのお知り合いが通って下さってるなんてビックリ~……は、はは……あ、次、マッサージしますね」
恋愛経験豊富ってところを強調され、嫌な予感に冷や汗が流れる。
ハンドマッサージ用のローションを手に取り、温めてから青山さんの右手を両手で包み込み、揉み解していく。
「あ、気持ちいいわ」
「そういえば青山さんは、このあたりの人なんですか?」
この間は東京に、出張へ来ていたのかな?
「あ、違うの。わたしの活動拠点は東京よ。ここの店長が学生時代からの友達で、人手が足りないって言うからピンチヒッターで来てるの。昨日と今日限定よ」
「そうだったんですか!」
「二日間しかいないのに、まさか美乃里ちゃんと再会できるなんて驚いちゃった。偶然ってあるものね」
「はい、本当に。こんなことあるんですね」
……これ以上偶然が続かないでほしい。このスタジオの中に、私のお店へ通うお客様がいないことを祈るばかりだ。
「美乃里ちゃんは撮影が終わったら、観光して帰るの?」
「いえ、すぐ帰ります。明日のお店の営業までに爪もウエディングネイルから通常ネイルに変えたいので、それにも時間がかかりますし」
自分自身のネイルをやるときって、利き手じゃないほうも使わないといけないから、お客様に施術する以上に時間がかかってしまうのだ。
両利きだったらいいのに……といつも思う。
「まあ! 爪もウエディング仕様なのね。さすがネイリストさん!」
「ありがとうございます。えへ、照れちゃいますね」
「素敵だわぁ~! こんなに素敵なのに、変えちゃうのもったいないわねぇ」
「ドレスだと違和感ないですけど、私服だとどうしても浮いちゃうんですよね。かなり頑張ってしたので、惜しい気持ちでいっぱいなんですけど……」
青山さんと話してると、気の合う友達とカフェでお喋りしてるみたいだ。
話が弾みすぎて、口紅を塗っているとき以外は口を閉じることはなかった。
「美乃里ちゃん、とっても素敵よ。まるで女神さまみたい! それに元がいいから、メイクのし甲斐があったわ~っ!」
鏡には、私の知らない人が映っていた。
いや、私なのだけど、青山さんのヘアメイクで変身した私は、それが自分とは思えないほどキレイだった。
ゆるく巻いた髪はねじりや編み込みを加えたハーフアップになっていて、花冠がなくても十分可愛い。
成人式のためにフルメイクしてもらったときも『プロの人にメイクしてもらうと、やっぱり違う! すごい!』と感動した。でも青山さんのメイクはそれ以上。
肌には毛穴がまったく見当たらない。
厚く塗り重ねたわけじゃないし、肌呼吸もしっかりできている感じがする。
どうして? まるで赤ちゃんの肌みたいだ。これが本当の肌だったらいいのに!
まつ毛もいつも自分でメイクするときの倍以上に長くなっている。
瞬きすると、まつ毛の先がファサファサ動くのが見えるほどだ。しかも自分でマスカラを塗ったときよりもうんと軽く感じる。
「もしかして、気に入ってもらえなかったかしら?」
私が感動のあまり絶句していたのを誤解させてしまったようだ。慌てて口を開く。
「そんなことないです! あまりにすごすぎてビックリしちゃって! 自分じゃないみたい……すごいっ! 本当にありがとうございます! 魔法みたいです!」
初めてネイルをしたときの感動と似ている。
鏡に釘付けになっている私を見て、青山さんが口元を綻ばせた。
「ふふ、喜んでもらえてなによりだわ。今日を素敵な思い出にしていってね」
青山さんは鏡を見ている私のうしろからポンと肩を叩いて、「今スタッフを呼んでくるから」と部屋を出て行った。しばらくすると最初にここへ案内してくれた女性が来た。
「まあ、村瀬様、とっても素敵ですわ!」
「ありがとうございます。青山さんのヘアメイクが本当にすごすぎて……!」
「素晴らしいですよね。ふふ、村瀬様はラッキーですよ。青山さんは二日間だけピンチヒッターとしてうちに来ているんですけど、普段は芸能人のヘアメイクを担当している凄腕のメイクアップアーティストなので」
「えっ! そうなんですかっ!?」
まさかそんなすごい人からメイクをしてもらえるなんて、夢にも思わなかった。
その後、無事撮影を終えた私はドレスを脱ぎ、フォトアルバムにしてもらう写真を選んだ。フォトアルバムは後日自宅に郵送してくれるそうだ。
青山さんにもう一度お礼を言いたかったけれど、その日はとてもお客さんが多かったみたいで、彼女に会うことはできずに東京に戻ってきた。
◆◇◆
夢のような時間を過ごしてから数日がすぎたある日のこと、私はまたいつもと変わらない日常を過ごしていた。
その日最初のお客様を施術し終わり、二人目のお客様が来店するまでの間、ノートパソコンで予約リストをチェックしていると……
「あれ?」
二週間後の金曜日に、新規のWEB予約が一件入っていた。
名前は『青山蓮』さん。
青山蓮さんって、あの青山蓮さんだよね?
「本当に予約してくれたんだ」
嬉しい……!
予約してくれたメニューは、ハンドケアコースだった。ハンドローションを使って手をマッサージして、ファイルと呼ばれるやすりで爪の形と表面をキレイに整えるというコース内容だ。
メイクアップアーティストって、ネイルはしちゃダメなのかな? それとも料金の都合だろうか?
結局痴漢から彼女を助けられなかったし、もともと、もしお店に来てくれたら無料で施術しようと思っていた。
料金の都合で諦めたのなら、やってみないかと誘ってみよう。
以降私は、彼女がお店に来る日を楽しみにしながら仕事に励んだ。
◆◇◆
そしてとうとう二週間後、青山さんの来店予定日がやってきた。
昨日ちょうどソロウエディングのフォトアルバムが我が家に届いて、素晴らしいヘアメイクに改めて感動したところなのだ。
この感動を青山さんに伝えたい!
青山さんが訪れる予定の十六時を楽しみに待っていると、予約の時間ちょうどに玄関ドアの開く音が聞こえた。
あ、来た!
マンションの一室をお店として使っているので、玄関ドアの前に看板と、『ご予約のお客様は、そのままドアを開けてお入り下さい』という張り紙をしてある。
「いらっしゃいませ……え?」
迎えに行ったところ、そこにいたのは青山さんじゃなくて、男性だった。
切れ長の目に高い鼻。顔のすべてのパーツが完璧な場所にあって、芸能人みたいに整った顔立ち……しかも百八十センチはありそうな長身だ。
な、なぜかすっごいイケメンが来たーー!
短く切りそろえられたダークブラウンの髪はワックスで無造作に散らされている。黒のテーラードジャケットの下にはボーダーのカットソー、そしてホワイトジーンズといった装いだ。首元にはレジメンタルストライプの模様が入ったシルバープレートのネックレスをさげ、右手の親指にもシルバーの指輪を付けていて、とてもオシャレ。
そんな人が、どうしてうちの店に?
メンズネイルが密かなブームになっているとはいえ、うちの店には男性が来店したことはない。
あ、もしかして、迷ってしまったのだろうか。
同じマンション内には、整体のお店も入っている。そこと間違えたのかもしれない。しかし、オシャレイケメンはにっこり微笑んでこう告げたのだ。
「こんばんは、予約していた青山です」
第二章 キレイなお兄さんは好きですか?
へ? 今、青山ですって言った……?
「十六時にご予約の青山蓮様……ですか?」
オシャレなイケメンはまたにっこりと微笑み、「はい、そうです」と答えた。
偶然同じ名前だったらしい。
そっか、男性だからハンドケアメニューの予約だったんだ。
「え、えっと、お待ちしておりました。こちらにどうぞ」
施術を行う席へ案内し、私もテーブルを挟んで向かいの席に座る。
「本日施術を担当させていただきます村瀬です。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
最近は男性でもハンドケアやネイルにこだわる人が増えてきていると聞くけれど、実際に自分が担当するのは初めてだ。
だ、男性かぁー緊張するなぁ……
「まずはこちらのカルテにお名前、ご住所、お電話番号のご記入をお願い致します。残りは差し支えのないところまでご記入いただけますか?」
彼に手渡したカルテには、年齢と生年月日やネイルの経験はあるか、ある場合は今までどの店に行ったことがあるか、店からダイレクトメールを送ってもいいか等の質問が続いている。
それらの項目は、知りたいけれど強要はしたくないものなので、うちのサロンでは「差し支えのないところまでご記入下さい」というお願いの仕方をしている。
「お飲み物をご用意致しますね。こちらメニューになります」
「ありがとうございます。じゃあ、コーヒーで」
「かしこまりました」
飲み物を用意して席に戻ると、彼はちょうどカルテの記入を終えたところだった。
「書き終わりました」
たいていのお客様は最低限のところだけ記入するが、彼はすべての項目を埋めてくれている。
あれ、三十二歳なんだ。同じ歳ぐらいだと思ってたけど、若く見えるなぁ……
「ありがとうございます。では、まず右手から始めますね。テーブルのクッションの上に置いていただけますか?」
彼は親指にしていた指輪を外し、右手をクッションに載せる。
そういえば、男の人の手を触るなんて初めて……いや、小学校の行事でダンスをしたときにあったかも?
でも大人の男性の手を触るのは、これが初めてだ。
ま、ますます緊張してきた……って、いやいやいや、余計なこと考えている場合じゃない。
目の前にいるのは〝お客様〟なのだ。貴重な時間やお金を使って、うちに来てくれたのだから最高の時間を過ごしてもらわなくては……!
緊張よ、去れ! 去れ! 去れ~!
「まずは爪の長さや形を整えるファイリングから始めますね。どれくらいの長さがいいですか?」
「極力短いのがいいな。深爪気味かな? ってぐらい」
「かしこまりました。では、形の希望はありますか? ラウンド、スクエア、オーバル、ポイントと色々ありますけれど……」
爪の形を一つずつ説明していくと、彼はうんうんと頷いて聞いている。
「男性だと、自然なのがいいですかね。オーバルとかどうでしょう」
「うん、そうだね。自然なのがいいかな」
希望を聞いて、施術を始めていく。
女性の手と違って指がゴツゴツしていて、爪もほんの少し大きめだ。これは個人差があるのかもしれないけれど、体温も高い。
う……どうしよう。
男性らしさが感じられて、また緊張が戻ってきてしまった。
人の手に触れていると、その人の気持ちが伝わってくるものだ。
緊張しているお客様の手はキシキシという音が聞こえそうなくらい硬くなっているし、常連のお客様の手はリラックスして下さっているのかふにゃっと柔らかい。
……それはつまり私の状態もお客様に伝わっているということだ。
き、緊張が伝わっちゃう~……!
私、しっかり! プロなんだから、しっかりして! そうだ! 会話! 会話もしないと!
普段は何気ない会話をしながら施術をするのだけど、男性相手だとなにを話していいか途端にわからなくなる。
まずい。これは開業して以来最大のピンチだ。
「え、えっと、さっき書いていただいたアンケートでは、ネイルサロンは初めてとのことですよね。どうして今回はハンドケアをしようと思われたんですか?」
「あれ?」
彼はきょとんと目を丸くし、私の顔を見る。
「え?」
あ、あれ? 私、なにも変なこと聞いてないよね?
施術する手を止めて固まっていると、彼がクスクス笑い出す。
「あー……そっか。ふふ、見た目と口調が違うから、気付いてないのね。美乃里ちゃんがよかったら来てねって誘ってくれたんじゃない! もうっ! 忘れるなんて酷いわ」
イケメンなお兄さんの低い声がいきなり高くなり、しかも女性的な口調になったものだからギョッとする。
え? でも、この声……
「へ? あ、青山さん? 同姓同名の別人じゃなくて、本当にあの青山さん!?」
「ええ、そうよ。混乱させちゃってごめんなさいね。休日は肌を休めるためにノーメイクなのよ。いつもの姿で来ればよかったわね。口調もこの格好だと違和感あるかしら~……と思って男っぽく変えてるんだけど、そのせいで余計にわからなかったみたいね」
ほ、本当に、あの青山さんなの~~……!?
驚愕のあまり、思わず立ち上がってしまう。
「え、ノーメイクってあの、え? 青山さんって、おとっ……おとっ……男の人だったんですか!?」
「もしかして、気付いてなかった?」
嘘でしょ!?
「き、気付くわけないじゃないですかっ! だって、あんなにキレイな女性、男性だとは思わないですっ!」
「あら、美乃里ちゃんみたいな可愛い子に褒めてもらえるなんて嬉しいわ。どうもありがとう」
「いやっ……そ、そんな……え? あれ? じゃあ、私、あんな恥ずかしい話を……お、男の人に……っ!?」
湯気が出てるんじゃないかってぐらい、顔が熱くなる。
ああああああ……っ! 穴があったら入りたい! この場から逃げたい!
時間を巻き戻して、ソロウエディングをしたときの私にあんな話をするなと言いたい! なんて途方もない願いを抱くものの、時すでに遅し……
「ふふ、まあまあ、座りなさいな」
とりあえず座ったものの、恥ずかしすぎて青山さんの顔を見ることができない。
ふたたび施術を始めて乱れた気持ちを整えようとするけれど、顔の熱さすらもなかなか治まらなかった。
「だからあのとき言ったでしょう? 世の中そんな男ばかりじゃない。その歳まで恋愛経験がなくても引かないって。わたしが男だってわかったら、納得してくれたかしら?」
忘れてくれてたらいいなぁって思ってたけど、しっかり覚えているようだ。
「わ、忘れて下さい……」
「うーん、ごめんね。わたし、割と記憶力はいいほうなのよ」
私がうううう……とうめいていると、彼は「納得してくれた?」と再度聞いてくる。
「あ、の……この話やめませんか?」
「ダーメ。美乃里ちゃんの今後に関わる大事な話だもの。もう一度言うわ。男はそんなことなんて気にしないわよ。どう? 恋愛する気になるかしら」
「うぅーん……」
想像してみるけれど、一度諦めたせいなのか、自分が恋愛している姿はまったく想像できない。
というか、先ほどの青山さんへの対応を思い返す限り、恋愛どころか男性と関われる気がしなかった。
「その様子だと、前向きな答えではなさそうね?」
「そうですね。無理かも……私、今まで男性とほとんど接点を持ってこなかったので、男の人を前にすると身構えちゃうみたいです。これじゃ恋愛どころか男友達すらできなそうですもん」
「ああ、確かに。さっきわたしに気付いていなかったとき、身構えてたし、とっても緊張してたものね」
悟られないように振る舞っていたつもりだけど、やっぱり伝わっていたらしい。
うう、プロとして恥ずかしい……!
「んー……そうだわ。わたし、いいこと考えちゃった」
「え?」
その言葉に誘われるように顔を上げると、青山さんが意味深な笑みを浮かべていた。
「美乃里ちゃん、わたしと付き合いましょうよ」
「…………へ!?」
あまりに驚いて、爪の形を整えるためのファイルを手からポロッと落としてしまう。
あ、そっか、冗談だよね。私ったら、なに本気にしてるんだろう。
「あはは……また、そんな、なにを言って……」
「あ、冗談だと思ってるみたいだけど、大真面目に言ってるのよ。痴漢から助けてもらったお礼をなににしようか考えてたけど、これがいいんじゃないかしら! わたしと付き合えば、彼氏いない歴イコール年齢の記録に終止符が打てるし、もし今後付き合いたい人ができたときに、美乃里ちゃんが気にしている足枷がなくなるでしょう? それに男慣れもできる。一石三鳥じゃない! ね?」
本気だったの!?
「な、なに言ってるんですか! 私と付き合って、青山さんになんのメリットがあるんですかっ!」
「わたしのメリットなんて考える必要ないわ。これはこの前のお礼なんだから。わたしを踏み台にする気持ちでいいの」
「ふ、踏み台って……」
狼狽していると、青山さんがニッコリ笑う。
「でもね、実はわたしにもメリットがあるのよ。わたし、女の子のことが知りたいの」
「女の子のこと?」
「そうそう。ほら、わたし、ご覧の通り生まれは男でしょう?」
「そう、ですね」
それになんの関係があるんだろう。
「えーっと……わたしはゲイだから女の子と付き合った経験なんてないし、女の子のことがよくわからないのよ。美乃里ちゃんと付き合えば、その辺、よくわかると思わない?」
青山さんは、もっと女性について知りたいってこと? 好きな男性がいるから、より女性らしさを追求してる、とか?
「思わない? って聞かれても……今でも素敵だし、女装したら女性にしか見えないのに、まだ完璧を目指すんですか?」
「あら、嬉しいこと言ってくれるわね。そう、実はわたし、完璧主義なの。だから完璧な女性になりたいの。ねえ、初めて付き合う相手がゲイじゃ嫌? 美乃里ちゃんが望むなら、さっきみたいに男っぽく振る舞うこともできるわよ?」
「いや、そういう問題じゃなくて……」
でも、こんなチャンスは、もうないかも。
いやいやいや! だからって、そんな理由で彼氏を作るなんて……
「青山さんって好きな人、いるんですか?」
「あら、唐突な質問ね。どうしてわたしの話になるのかしら」
「いや、あの、女の子のことを知りたいっていうのは、そういうことなのかなーって。意中の男性をゲットするために、完璧な女性を目指そうとしてるのかなーって想像したんですけど……」
青山さんは片手を自分の顎に当て、少し考え込むような仕草をする。
「んー……あーはいはいはい! そうねっ! 好きな男? に好かれるために、もっと女の子らしくなりたいわけ! うん! ま、そういうことにしておこうかしら」
「え、そういうことって……」
どういうこと? 違うの?
なんだかすごーく違和感がある言い方だ。
「まあまあまあ、言葉のあやみたいなものなんだから、深く突っ込んじゃやーよ」
あ、照れてる……とか? ……うん、それっぽい。そっか、照れてるんだ!
こんなカッコよくてキレイな人に好かれるのって、どんな男性なんだろう。青山さんは普段、芸能人のメイクをしてるって言ってたし、モデルさんとか?
「それよりも、どう? 付き合ってくれる? いいじゃない。付き合いましょうよ。ね?」
「い、いいじゃないって……」
答えに詰まっていると、青山さんがニヤリと笑う。
「そういえば、ここのサロンって、とぉっても評判なんですってね」
「へ?」
「わたしの仕事相手の中にも通ってる人がいて、そう言ってたわ。店長が腕のいいネイリストな上に恋愛経験豊富で、色々相談に乗ってくれるから、ネイルだけじゃなくて恋バナするのが楽しいそうよ」
「そ、そうなんですか。せ、世間って狭いですね。青山さんのお知り合いが通って下さってるなんてビックリ~……は、はは……あ、次、マッサージしますね」
恋愛経験豊富ってところを強調され、嫌な予感に冷や汗が流れる。
ハンドマッサージ用のローションを手に取り、温めてから青山さんの右手を両手で包み込み、揉み解していく。
「あ、気持ちいいわ」
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