亡国の王子の復讐

朝日

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崩壊する世界

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「あっ、はぁっ……んんっ」

口をディルの手で塞がれ、空いた隙間からもれるのはイリスの嬌声で、溜まった快感が声に混じる。


もう、どうにもならないほど切なくて歯がゆい。

大事な人の心の傷を癒すことも出来ない。せめて一時の気の晴れになったらいいのにと耐えても、ディルは笑うことなく、消えそうな泣きそうな顔をする。


「ディル……これ、で……少しは……あ、ッ……」

どうしたら彼のためになるか考えても襲い掛かる愛しさに似た衝撃がイリスの頭に飛んで弾ける。


相互に宿る心の悲鳴を示すかのように激しくイリスは胸を弄ばれ、羞恥に体が小刻みに震えた。

何も身に纏っていないのに等しい状態。感情さえ丸裸にされてしまえばいいのにと、イリスは掠れた意識の中で感じた。


「……腹が…立つ……こんなにも、憎いのに……」

自分を犯すと口にしていたディルは途端に勢いを失って切なそうに顔を歪ませる。萎んでいく花のように、すっと零れる涙を見てイリスは目を疑った。


「ディル……っ、ディル?」


「なぜ貴方を、手にかけることしか出来ない……」


がたっと揺れ動く世界に響くのは、静かな声だけだった。瞳を滲ませるディルは悔しそうに歯を噛みしめる。


「……分かってるんだよ、こんなこと、何も意味がないって。炎のように燃え盛る憎悪を復讐に込めても、俺は……これ以上、イリスに手を出せない……」

本来あるべき姿のディルがそっと口にする心の欠片を一つずつ拾っていく。


「――っあ」

熱い温度が頬を往復していき、それだけでも声が出てしまう。


「……こんな形じゃなく、心まで奪ってしまえたらいいのに」


諦めに近い感情をさらけ出し、ディルは優しくイリスの髪の一束に触れ、さらりと撫でていく。その仕草に、イリスは動揺して口を開きかける。

見たこともない表情で自分を見るのが信じられなくて、イリスは瞬きを繰り返した。


刹那が作り出す悪戯ではないかと、思ってしまう程に。



「……何をされても俺を守ろうとした小さなイリスを…汚すことが出来ない」


憎しみをぶつけて、と言った過去の人影が記憶の糸を辿って巡る。
 


「ディル……?」

イリスは胸を押し潰すような圧迫感を感じながら、心配そうに顔を窺う。


さっきまで全面に憎しみをこめていたのに、彼の中で小さな迷いが生まれたのか、イリスの体から離れる。

そして白い足に触れると、すーと指先を滑らせて、何かに葛藤し耐えるようににぐっと目を閉じた。


「ひゃっ……んっ」


それすらも興奮を煽る材料となり、ゾクゾクと冷たい感覚が波紋する。イリスはディルに感じているんだと不透明ながらでも認めた。

さらにもう一往復すると、イリスが穿いていた下着やズボンを元の状態に戻す。びっくりして目を瞬かせた。


「……ぐちゃぐちゃになるまで、犯したい」


自分にしか聞こえないほど弱い声を出すと、ディルは長い睫毛を伏せる。


「え……?」


イリスは、思わず聞き返していた。


「そう思う事には間違いはない。俺は、甘いな……」


そう言うと、ディルは自分の服を脱いでイリスに着させる。あっと思えば、目を奪う様な綺麗な肉体がさらけ出される。

しなやかで、筋の通った体がイリスに触れるとドクンと心臓が悲鳴を上げる。


「……本当は泣き叫ぶまでずっと抱くつもりだった。痛みさえぶつけて、苦しむくらい…俺の心を満たすまで…」

「どう、して?」

「……理由なんて、言わない」


ディルは儚げに微笑むと、ゆっくりとイリスに手を向ける。

  
「待って!ディル、貴方は私を……」
 
「何も、言わないで。このまま壊してしまいそうになる。全てを委ねて理性のない感情で動いてしまう」
 
 
憎んでと言ったのは紛れもなく私なのにと、イリスは胸が苦しくなった。
 
それなのに優しいディルは思いの矛先を向けようとしない。
 
 
零れた粒が頬からぽろぽろと落ちていく。イリスは、なんて無駄な涙なのかしらと思った。
 
快感に溺れるのが嫌で、拒絶を示した声を上げていたのに、なんてなんて我が儘なんだろう。
 
 
馬鹿だ。心のどこかで、ディルに触れられることを心地いいと感じてしまっていた。
 
 
「そ、んな……そうしたら、いいのに…」
 
無意識に出た言葉に軽率だったと言ってから後悔した。ディルの気持ちを考えるならもっと違う言葉があったはずだった。
 
ただ、この心の叫びを、どう表現したらいいのか当てはまるものがなかった。
 
 
「本当に、情けないな……」
 
ディルは自嘲するように笑った。
 
 
向かい合う視線が絡み合い、二人は自然に目を閉じていた。ゆっくりと近づく距離が少しずつ埋まっていく。
 
唇に柔らかな感触が広がり、イリスは頬に温かな手の存在を感じとった。
 
 
「ん……っ」
 
微妙な角度を重ね合い、忍び寄る熱のこもった思いをぶつける。
 
 

今だけ、時間が止まったような気がした。
 
 


相手の酸素さえ奪ってしまうほど強く、深く。
 
イリスは胸の中が名もない感情で一杯になり、ちゅ、んぱっと音だけが今を結んでいき、夢中になるほど口付けを重ねた。
 
 
何のためにここにいるのか、分からなくなりそうだった。
 
 
「んっ!ディ……っ」
 
「黙って……」
 
 
魔法にかかったように痺れが全身を満たしていく。
 
ディルの溶けそうな甘い声に頭の中がどんどん真っ白になっていき、イリスは涙を一筋零していた。
 
 
なんと呼んだらいいのか分からない今のひと時をどう捉えたらいいのだろう。
 
 
「んう、あっ……」
 
 
涙と認識できるものか分からない水分が、イリスの瞳から漏れていく。
 
 
「イリス、泣いてる」
 
 
ディルは苦しそうな切なそうな表情で、綺麗な指ですっと涙の痕を辿りながら、視線が交わっていく。
 
 
「……ディルの、顔が……」
 
 
悲しそうで…自分まで、どうにかなってしまいそうになる。そんな顔をしてほしくて、今までそばにいたわけじゃないのに。
 
 
「私じゃ、何もしてあげられないの……心を癒すことも、貴方の支えになることも……叶わない」
 
支えになるだなんてよくも言えたものだ。彼の気持ちを踏みにじって、粉々にしたのは自分なのに。
 
 
「……イリスは、何もしなくていい」
 
 
頬に手を添えて、さらっと優しく包むように撫でてくる。
 
イリスは、もっと、もっと、この人に近づきたいと思ってしまった。
 
 
「……ごめん」
 
「ディ、ル?」
 
今にも消えそうにふっと笑う姿にイリスは胸が熱くなり、言葉にできない心を瞳を通して訴えるしか出来なかった。
 
 
「イリスとの約束、守れそうにない……私は…俺は、カモーアの王子だ」
 
 
――そう、カモーアの王子。
 
 
「な――…っ」

それが、意味すること。

今は亡きカモーアの王子であるディルが起こそうとする事態を悟ったイリスは血の気が引いた。


国にはまだ反乱を企てる者もいると聞いている。ディルはその者たちにとってかかすことのできない存在。

カモーアの復活…?もしくは、サイへの復讐を計画しているんだろう。


そうなれば、また戦が起きてしまう。お互いを憎しみ合い、血の涙を流し、命をとられる者だって出てくる。


サイの王女であるイリスは真っ蒼になって、お願いやめてと懇願した。


「だからこそ、私を憎んでと言ったの……っ!無理なことだって分かってるっ、でも……大切な、国なの」


ディルの立場を考えたら、こんな思いは届かない位置にあるのかもしれない。でも簡単に諦めるわけにはいかなかった。


「どれだけ身勝手で都合いい女か自分でも嫌になる……私の一方的な願いを押しつけているとしてもっ!国民も、騎士団の皆だって、苦しむのよ……悲しい憎しみを増やすだけなの……」


ディルは全てを受け入れてそう口にしているのだろうか。

自分が一番の被害者であるはず。あんな惨劇が生まれ親を殺されたのは戦争になったせいなのに。


「もう、何も言わないでいい」


それでも、ディルは否定してくれなかった。


「イリスは何も見ることなく、目を閉じていればいい」

「そんな無責任な事、できないわ……」

「約束は果たせないが…国がどう傾いていくのか見届けなくていいようにする。事態が治まるまでずっとここに匿う」

「っ、そんな……!」


何もせずに傍観者でいろというの?何よりも大事な存在を守ることすら叶わずに、ここでひたすら終わるのを待っていろと?

ディルはそれ以上何も言うつもりはないらしく、口を閉じて感情を殺して、無表情になった。


「何を言っても、だめなのかしら?私……私は」


サイ国の王女として…ディルの側にいた一人として……

私は、どうすればいいのかしら。


――イリスは、選択肢を迫られた。

 

「……ずっと、ここにいて」

ディルはそれだけ言うと、すっと立ちあがった。

気付いたようにはだけた服を着せると、少しだけ名残ありそうにイリスを見つめた。


イリスがこの後の顛末を見なくて済むようにここにいろと……ディルなりの優しさだったのかもしれない。

ディルと国。天秤にかけろと言われたら多くの人が国だというのかもしれない。一人と大人数を比べたら、結果は見えている。


だけどイリスにとってディルは家族のような存在だった。


「待って、お願いディル、考え直して……!確かに貴方はカモーアの王子、失うものはないと思ってるかもしれない!でもっ、貴方の考え一つで救われる人もいるわ!」

もうどうしたって届かないと、イリスは一瞬だけ感じた。しかし、すぐにその考えを消す。


「……」

交わる視線が痛いほど突き刺さってくる。ディルはこれ以上の言葉は必要ないと判断したのだろうか。


「目的は王政復古?復讐?何でもいい……それだけのことをサイはしたわ。それでも、我が儘な王女が喚いてるだけだとしても、こればかりは譲れない……!」

サイの人間が、カモーアを見下した扱いをしてきたのだって事実。

戦いは完全な勝敗を分けた。どれだけ自分が平等にと願っても、根本から変えるなど不可能だった。


「あなたを囲む周りの人がどんなことを言ってるのか察しがつくわ。でもね、いらない犠牲を生むだけなのよ……!」


それでも、口を開く様子はないまま、静かに黙ったままだった。何の感情も宿さない目。心まで見透かすような表情で。

イリスも見えないショックを受けて言葉が出なかった。込み上げるのは後悔ばかりで、複数の感情が旋回していた。


そしてディルは、踵を返すと音もなく歩いて行ってしまった。


「ディル――ッ!」


イリスは場さえ気にせず懸命に名を呼び続けた。待って、行かないで……と震えた声を出して、ぽろぽろと真珠の様な涙を散らす。


とんでもないことになってしまったと、ぐにゃりと鈍くなる思考の中で精一杯冷静を保とうとした。

 
「私の責任だわ……」


ディルの些細な変化に気付かなかった。自分のことだけに囚われてちゃんと見ようとしていなかった。


どれだけのことになるのか、脳内で様々な憶測が弾けて消えていき、胸が締め付けられる。


きっとディルは父を殺そうとする。王を手にかけたら必ず死罪となり、その名は永遠に恨まれていく。


間違いだったのか。ディルを生かしたことは、いけないことだったのか。イリスは苦しさが渦を巻いて心を覆っていくのを感じた。


そんなはずない。あの日の選択は間違いなんかじゃない。

確かに父や周りの人間はこんな事態になるかもしれないと危惧していた。それでも大丈夫だと落ち着かせたのは自分だ。


心のどこかでディルは大丈夫だと思っていたのかもしれない。

穏やかに、静かに暮らしていけると。ディルの言うとおり、甘い現実なんかどこにもなかった。


「……ディル」


あの日、私だけを憎んでと言った。約束を守るように、九年も耐えていたんだろう。

日に日に高まる殺意や憎悪をひた隠しにして。私を恨みながら、それでも手にかけようとはしなかった。


どんなにつらい生活だったろう。どんなに苦しかっただろう。ちゃんと、約束は守ってくれた――九年もの長いときも。




「……周りの人間は黙っていなかったでしょうね」


いつ発火してもおかしくないほどに。亡国の王子ディルに迫り、王族へ剣を向けろと。

 
今さら、どれだけ考えてもディルに触れる事は出来ない。世の中を呪っても、どうにも出来ないことは出来ないままで、現実は冷たく時を刻んでいる。

イリスは放心状態でそのまま動けずにいた。何時間たっても神経が麻痺したままで、精神的な痛みが大きかった。


どうしたらいいのか。今にもお城に襲撃が始まっているかもしれない。それ以上に、ディルが怪我をしていないか不安だった。

自分の立場を理解したくなかった。王女だとしても、ディルが大切な人だということには変わりはない。


「ディル……」

何度、彼の名前を呼んだだろう。数える事もしなくなったのはいつからだろう。

ひたすら時間が過ぎていって、気付いたら眠ってしまっていた。


涙を幾度も流していたようで、瞼が熱く重かった。繋がれた鎖は冷たく、ここから出る事を許してくれない。

いや、頭を使ったら出る事もできた。しかし、そんな力が湧いてこなかった。


どれだけディルの存在が大きかったのかが今になってよく分かる。心の中に大きな空洞があいたような喪失感があった。体の一部がどこかに行ってしまったように五感が虚ろだった。



「……ん…」

非情にも過ぎていくのは時間ばかりで、とうとう感覚までおかしくなってきた。

何とか気を奮い立たせて、今の最善なことを思い浮かべようとした。


きっとディルは手始めに攻撃を仕掛ける。騎士団の部隊か、お城まで手を伸ばすだろう。僅かな波紋を落としながら、次々に策を講じる気がした。

父ブレイヴは激しく怒り、すぐにでも部隊を結成させるはず。カモーアの国を心の底から嫌っていたことは誰でも知っている。名前を出すだけで嫌悪感をあらわにしたことがよみがえる。


「どうか、早まらないで……」


大臣や側近。周りは優秀な人も多いから、先走る行動は取らないと思った。だからこそ、九年前のカモーアの戦いで勝利をおさめる事が出来たのだ。

一体どれくらいの規模で戦いを仕掛けるのか想像が難しかった。カモーアが負けて、サイの騎士になった人数もたくさんいる。



「……水面下で揺れるのは、ディル」


全ての鍵を握るのは、彼だった。




このままではいられない。ずっとここにいることはできない。何とかして脱出しなくては、取り返しのつかない事になってしまう。

でも、とディルの揺れる瞳が閉じた瞼の裏に張り付いて離れない。近くにある剣が制止をかけるように静かに置いてあるのを見てイリスは顔を歪ませる。


「どうしたら……誰も傷つかずに済むのかしら」


こんな事態を起こしたのはあの戦。傷つき、傷つけ、まるで連鎖のように今に繋がっている。

ディルの受けた心の傷は途方もないもの。自分だったら大切な人をその場で殺されたら正常でいられないと思う。


また過去を繰り返すの?癒える事のない痛みを引きずって、瘡蓋に塩を塗るような真似をして。


「……ダメよ。そんなことをしたら、止まらなくなる」

ディルにそんなことをしてほしくない。誰よりも幸せになってほしいから。こんなの綺麗事だって分かっていても。



「私が、止めてみせる……命を賭けてでも」


あの約束は、今も胸の中に響いているから。


お願い。ディル。

自分を犠牲にしてしまうのはやめて。


冷静で見える貴方だけど、心の底では不安定なほどの危うさを抱えている。

どんな人よりも強い貴方は、自分の弱さを押し隠そうとしているの……?


期待を背負って…前へ向こうとしているの?何を求めて?誰を求めて?


――…胸が、熱くなる。締め付けられるように、ぎゅっと。
 


そしたら、ふと物音がした。小さな音だったが耳を澄ますと、どうやらこちらに近づいてくるようだった。

どこかで聞いたことがある足音だと思ったら、ディッシュが苦い顔をして暗い部屋に入ってきた。



「……イリス、」

震えたような低い声で名前を呼ぶ彼にいつもの元気は姿を消していた。どうしたのかと心配になって近づこうとしても鎖が行く手を阻み、その場から動けない。


  
「やつれた顔をして……どうしたの?」
 
ディッシュは思い悩んでいるように顔が疲労していた。この短期間で彼の身に何があったのかと疑問に思う程、つらそうな表情を浮かべている。
 
 
「……イリス」
 
俺は、どうしたらいいと渇いた口からもれる言葉に、イリスは不安を覚えた。
 
 
「ディッ、シュ……?」
 
片手に食べ物を持っているディッシュの手は微かに震えていて、体も同じようだった。
 
 
「あいつは、ディルは」
 
その名にイリスの心臓が一瞬、飛び跳ねた。
 
 
「ディルって……何かあったの?」
 
「俺はディルの配下にある。だから、命令は何でも従うつもりだ、でも、あいつを見てると……自らの死に向かっているように感じるんだ」
 
 
まるで自分から進んで焔に突っ込んでいくような。いつ壊れるか分からない、不安定で危うくて怖いんだ。
 
昔からディルとディッシュは他の誰よりも仲が良かった。冗談を言う仲でも、かたい絆で結ばれている。
 
 
「俺は、止められなかった。何もしてやれなかった。もう、動き出しているのに……」

 
ひやっとしたものが背中を伝い、イリスは目を大きく開けた。
 
 
「動き出している?そんな、もう戦いは始まっているの?」
 
 
ディルと別れてからかなり時間がたったのは分かったが、あまりにも早い。念入りに計画されて準備されていたのだろうか。
 
と同時に、どうしてディッシュはそんな情報を話してくれるのかとイリスは不思議に思った。
 
 
「……いや、戦闘は起きていない。城に書状は送られているだろう。カモーアの王子、として」
 
「お父さまはいきり立つわ。止まる事を知らないでしょう…」
 
 
カモーアという単語でさえ、父の前では禁句となっていた。
 
 
イリスは目を閉じると、強い瞳でディッシュを見つめた。
 

 
「……ディッシュ、ここから解放して」

何を無理な事を口にしているの、と言ってから思ったが、気にしていられない。

はらりと自分の長い金髪が垂れてくる。ディッシュの目が僅かに揺れるのをイリスは見逃さなかった。


「それは」

「出来ない……普通に考えたらそうよね。でも、ディッシュ、私に必死で何かを伝えようとするのは……ディルのためでしょう」


勝手な解釈かもしれない。でも、ディルのことを思ったらどうしても口が動いてしまっていた。


「イリス……!」


「私ならディルを止められるかもしれない。そう、思ってくれているんじゃないの……?どうすればいいか、私にだって分からないわ。ただこのまま放置していれば、ディルはまた傷つく。他の人もいらない血や涙を流すことになるでしょう」


だから、と必死で思いを込めて。







「――私に、ディルを止めさせて」


 
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