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最終章 満足、とやらをされたらしくて
人間界(1/2)
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目を覚ますと懐かしい天井が目に入ってきた。
俺は飛び起きて部屋から飛び出す。
自分の部屋だった。
下に降りればきっと母さんがいる!
そう思って階段をドタバタと駆け降りる。
そして、リビングのドアをバンッ!と勢いよく開けた。
「母さん!!」
しかし、そこに母さんの姿はなかった。
代わりに封筒に入っている手紙を見つける。
見慣れた母さんの字で心矢へと書いてあった。
俺は封筒から手紙を取り出すと中を読む。
心矢へ
この手紙を貴方が読むことはないかも知れないけれど……
少ない可能性に賭けて手紙を書いています。
心矢には昔、事故に遭った話をしたと思います。
その時、お母さんたちは奇跡的に無傷だったと話したけれど本当はあの時に死んでしまうはずでした。
驚いたことにお母さんたちもそのことを忘れていました。
お母さんたちは悪魔に頼んで生き長らえさせてもらっていたの。
お母さんよりお父さんの方が重傷でお父さんが先に他界してしまったのは悪魔との契約だったから。
そのことを思い出したのはお父さんが死ぬ間際のときでした。
そして、お母さんも心矢が高校に上がるまでしか生きていられません。
悪魔との契約はそれだけではなく心矢を自分のところにもらうと言われて……
ごめんね、心矢。
悪魔なんかと契約をして。
お父さんもお母さんも小さい心矢を残しては死ねなかったの。
心矢には悲しい思いをさせちゃうけれど生活面は心配しないで。
貴方が大学に行けるくらいまでのお金は貯めておいたから。
お母さんはもうこの世にはいないかも知れないけれど貴方の幸せを心から願っています。
母より
俺は手紙を握り潰すと外に飛び出す。
そして、偶然すれ違った人を止めて訪ねる。
「すみません!今日って何月何日で今何時ですか!?」
「え?四月七日の午前十一時だけど……」
「四月、七日……」
俺が飛ばされた日の三日後……
「あ、ありがとうございます……」
俺はその場に脱力しそうなのを抑えてお礼を言ってその場を去った。
家に帰り椅子にドカッと座る。
手紙はテーブルの上に投げ捨てた。
俺は失敗したのだ。
元の世界には戻れたが元の時間には戻れなかった。
しばらくボーッとしていると留守電が入っていることに気付く。
何となく嫌な予感が頭を過ぎるがそれを振り払い留守電を聞くことにする。
聞くと病院からの留守電で母さんが……と言う単語だけで俺は留守電を最後まで聞くことなく家を飛び出した。
* * *
ピピピッピピピッと目覚ましが鳴る。
目は覚めたが体が起きない。
人間界に戻ってきて一ヶ月が経った。
本来行くはずだった高校に入学式から一週間遅れで登校。
学校側には母親が倒れて看病していたためと伝えた。
当然、クラスではすでにグループが出来上がっていて俺は一人。
見事不登校児になっていた。
今日も学校を休むことを決め二度寝しようと寝返りを打つと部屋のドアがバンッと開く。
「こら!心矢!いつまで寝てるつもり!?いい加減、学校に行きなさい!」
「いーやーだー!俺は多分もう高校卒業出来るくらいの学力はある!だから、無理に行く必要はない!」
俺がそう言って布団に潜り込むと母さんはため息を吐いた。
「……もう……またそんなこと言って……しょうがないわね。とにかく、起きてらっしゃい。一緒に朝ごはん食べましょう。また、夢の話聞かせて頂戴」
「だから、夢じゃねぇんだってば!」
俺はそう言いながらガバッと起きると母さんを追いかける。
母さんは朝ご飯をテーブルの上に置くと座り俺も座るように促された。
椅子に座ると二人で手を合わせていただきます、と言って食事を始める。
「あぁ、それでさ、どこまで話したっけ?」
「夢の中で出来た友達と別荘に行ったところまでよ」
「そうそう!そこだ!……って!だから、夢じゃなくて本当に俺は別世界に行って魔法とか勉強してたんだって!母さんだって手紙に書いてただろ?悪魔が自分のところに云々!まぁ、カナは悪魔じゃないけどな!」
「……それはそうだけど……でも、何回聞いても信じられないわ。妖精だとか獣人だとか……しかも、私たちが契約した悪魔はとっても良い人だなんてとても……」
「本当にいい奴だったんだって!バカでアホでマヌケだけど!俺がこの世界に戻る手伝いをしてくれたのが何よりの証拠だろ?」
「うーん……」
首を傾げながら考える母さんに俺は苦笑。
あのとき、俺は病院に駆け込むと診察室に案内され医者に母さんは一命を取り留めたが残り二ヶ月の命と言われた。
母さんもそれを知っている。
だから、俺は出来る限り母さんの傍にいることに決めた。
学校に行くことはそれからでも遅くはない。
どの道ボッチなんだ。
いつ行こうと変わらない。
そんな俺の気持ちを組んでか母さんは学校に行かない俺を責めなかった。
母さんには少しでも楽しくいてほしいから色んな話をする。
カナの話、ミラの話、ファインたちの話、ミレイの話、アーシャの話……
聖なる庭の話をたくさんした。
母さんは中々信じてくれないけど最後には必ず笑ってくれる。
だから、俺は今日も聖なる庭の話をした。
「話戻すけどさ、ミラたちと別荘行って肝試ししたんだ!俺、ミレイとペアになれてさ!嬉しかったんだけど怖くて情けねぇとこばっかり晒しちゃって……しかも、途中で迷子になるし崖から落ちるわ大変だったんだけど実はすっげぇ楽しかったんだ」
「ふふっ、そうなの。でも……そうね、何だか心矢、見違えたわ。その世界に行ったことで心矢がこんなにも成長したなら母さんたちの選択は間違ってなかったのかも知れないわね」
そんなことを言ったと思ったら急に母さんが真剣な顔になる。
「ねぇ、心矢。本当はその世界に戻りたいんでしょう?」
「え……」
俺は驚きの余り言葉を失うと母さんは続けた。
「母さんね、心矢が楽しく生きていけるなら母さんと一緒に居てくれなくても良いの。だから、心矢はその世界に戻りなさい」
「は……?いやいやいや……!何言ってんの?この世界じゃ魔法も使えねぇのに戻れねぇって……それに……仮に戻れたとしても母さん置いてまた行ける訳ないだろ!?もし行くなら今度は母さんも連れて行く!」
「心矢……母さんはお父さんと同じ墓に入るわ。今は元気そうに見えるでしょう?お父さんもそうだったわ。でも、突然気を失ったと思ったらそのまま逝ったのよ。きっと母さんも同じだわ。だから、その前に心矢には戻ってほしい。大丈夫よ。母さんが死んだ後のことは任せてあるから。心矢は何も心配しなくて良いの」
「っ……何だよ!それ!心配くらいさせろ!俺は母さんの傍にいる!父さんが死んでから母さんは俺が守るって誓ったんだ!それなのに!俺には母さんを助ける力がない!守ってやれねぇのに……その上、心配するな?どれだけ俺をガキ扱いするんだ!俺はもう母さんたちが事故に遭ったときの小さい俺じゃねぇ!自分のことくらい自分で出来る!母さんこそもう俺の心配しなくていいんだ……頼むから……心配するな、なんて言わないでくれ」
俺がそう言うと母さんにギュッと抱き締められる。
「ありがとう、心矢。貴方はとっても優しい子。母さんたちの自慢の息子よ。どこの世界でも良い。元気に幸せに生き続けて。約束よ?」
「っ当たり前だ!約束する!」
そう言って抱き締め返すと母さんは幸せそうに微笑んで脱力した。
「……?母さん?」
その後、何度呼び掛けても母さんが起きることはなかった。
俺は飛び起きて部屋から飛び出す。
自分の部屋だった。
下に降りればきっと母さんがいる!
そう思って階段をドタバタと駆け降りる。
そして、リビングのドアをバンッ!と勢いよく開けた。
「母さん!!」
しかし、そこに母さんの姿はなかった。
代わりに封筒に入っている手紙を見つける。
見慣れた母さんの字で心矢へと書いてあった。
俺は封筒から手紙を取り出すと中を読む。
心矢へ
この手紙を貴方が読むことはないかも知れないけれど……
少ない可能性に賭けて手紙を書いています。
心矢には昔、事故に遭った話をしたと思います。
その時、お母さんたちは奇跡的に無傷だったと話したけれど本当はあの時に死んでしまうはずでした。
驚いたことにお母さんたちもそのことを忘れていました。
お母さんたちは悪魔に頼んで生き長らえさせてもらっていたの。
お母さんよりお父さんの方が重傷でお父さんが先に他界してしまったのは悪魔との契約だったから。
そのことを思い出したのはお父さんが死ぬ間際のときでした。
そして、お母さんも心矢が高校に上がるまでしか生きていられません。
悪魔との契約はそれだけではなく心矢を自分のところにもらうと言われて……
ごめんね、心矢。
悪魔なんかと契約をして。
お父さんもお母さんも小さい心矢を残しては死ねなかったの。
心矢には悲しい思いをさせちゃうけれど生活面は心配しないで。
貴方が大学に行けるくらいまでのお金は貯めておいたから。
お母さんはもうこの世にはいないかも知れないけれど貴方の幸せを心から願っています。
母より
俺は手紙を握り潰すと外に飛び出す。
そして、偶然すれ違った人を止めて訪ねる。
「すみません!今日って何月何日で今何時ですか!?」
「え?四月七日の午前十一時だけど……」
「四月、七日……」
俺が飛ばされた日の三日後……
「あ、ありがとうございます……」
俺はその場に脱力しそうなのを抑えてお礼を言ってその場を去った。
家に帰り椅子にドカッと座る。
手紙はテーブルの上に投げ捨てた。
俺は失敗したのだ。
元の世界には戻れたが元の時間には戻れなかった。
しばらくボーッとしていると留守電が入っていることに気付く。
何となく嫌な予感が頭を過ぎるがそれを振り払い留守電を聞くことにする。
聞くと病院からの留守電で母さんが……と言う単語だけで俺は留守電を最後まで聞くことなく家を飛び出した。
* * *
ピピピッピピピッと目覚ましが鳴る。
目は覚めたが体が起きない。
人間界に戻ってきて一ヶ月が経った。
本来行くはずだった高校に入学式から一週間遅れで登校。
学校側には母親が倒れて看病していたためと伝えた。
当然、クラスではすでにグループが出来上がっていて俺は一人。
見事不登校児になっていた。
今日も学校を休むことを決め二度寝しようと寝返りを打つと部屋のドアがバンッと開く。
「こら!心矢!いつまで寝てるつもり!?いい加減、学校に行きなさい!」
「いーやーだー!俺は多分もう高校卒業出来るくらいの学力はある!だから、無理に行く必要はない!」
俺がそう言って布団に潜り込むと母さんはため息を吐いた。
「……もう……またそんなこと言って……しょうがないわね。とにかく、起きてらっしゃい。一緒に朝ごはん食べましょう。また、夢の話聞かせて頂戴」
「だから、夢じゃねぇんだってば!」
俺はそう言いながらガバッと起きると母さんを追いかける。
母さんは朝ご飯をテーブルの上に置くと座り俺も座るように促された。
椅子に座ると二人で手を合わせていただきます、と言って食事を始める。
「あぁ、それでさ、どこまで話したっけ?」
「夢の中で出来た友達と別荘に行ったところまでよ」
「そうそう!そこだ!……って!だから、夢じゃなくて本当に俺は別世界に行って魔法とか勉強してたんだって!母さんだって手紙に書いてただろ?悪魔が自分のところに云々!まぁ、カナは悪魔じゃないけどな!」
「……それはそうだけど……でも、何回聞いても信じられないわ。妖精だとか獣人だとか……しかも、私たちが契約した悪魔はとっても良い人だなんてとても……」
「本当にいい奴だったんだって!バカでアホでマヌケだけど!俺がこの世界に戻る手伝いをしてくれたのが何よりの証拠だろ?」
「うーん……」
首を傾げながら考える母さんに俺は苦笑。
あのとき、俺は病院に駆け込むと診察室に案内され医者に母さんは一命を取り留めたが残り二ヶ月の命と言われた。
母さんもそれを知っている。
だから、俺は出来る限り母さんの傍にいることに決めた。
学校に行くことはそれからでも遅くはない。
どの道ボッチなんだ。
いつ行こうと変わらない。
そんな俺の気持ちを組んでか母さんは学校に行かない俺を責めなかった。
母さんには少しでも楽しくいてほしいから色んな話をする。
カナの話、ミラの話、ファインたちの話、ミレイの話、アーシャの話……
聖なる庭の話をたくさんした。
母さんは中々信じてくれないけど最後には必ず笑ってくれる。
だから、俺は今日も聖なる庭の話をした。
「話戻すけどさ、ミラたちと別荘行って肝試ししたんだ!俺、ミレイとペアになれてさ!嬉しかったんだけど怖くて情けねぇとこばっかり晒しちゃって……しかも、途中で迷子になるし崖から落ちるわ大変だったんだけど実はすっげぇ楽しかったんだ」
「ふふっ、そうなの。でも……そうね、何だか心矢、見違えたわ。その世界に行ったことで心矢がこんなにも成長したなら母さんたちの選択は間違ってなかったのかも知れないわね」
そんなことを言ったと思ったら急に母さんが真剣な顔になる。
「ねぇ、心矢。本当はその世界に戻りたいんでしょう?」
「え……」
俺は驚きの余り言葉を失うと母さんは続けた。
「母さんね、心矢が楽しく生きていけるなら母さんと一緒に居てくれなくても良いの。だから、心矢はその世界に戻りなさい」
「は……?いやいやいや……!何言ってんの?この世界じゃ魔法も使えねぇのに戻れねぇって……それに……仮に戻れたとしても母さん置いてまた行ける訳ないだろ!?もし行くなら今度は母さんも連れて行く!」
「心矢……母さんはお父さんと同じ墓に入るわ。今は元気そうに見えるでしょう?お父さんもそうだったわ。でも、突然気を失ったと思ったらそのまま逝ったのよ。きっと母さんも同じだわ。だから、その前に心矢には戻ってほしい。大丈夫よ。母さんが死んだ後のことは任せてあるから。心矢は何も心配しなくて良いの」
「っ……何だよ!それ!心配くらいさせろ!俺は母さんの傍にいる!父さんが死んでから母さんは俺が守るって誓ったんだ!それなのに!俺には母さんを助ける力がない!守ってやれねぇのに……その上、心配するな?どれだけ俺をガキ扱いするんだ!俺はもう母さんたちが事故に遭ったときの小さい俺じゃねぇ!自分のことくらい自分で出来る!母さんこそもう俺の心配しなくていいんだ……頼むから……心配するな、なんて言わないでくれ」
俺がそう言うと母さんにギュッと抱き締められる。
「ありがとう、心矢。貴方はとっても優しい子。母さんたちの自慢の息子よ。どこの世界でも良い。元気に幸せに生き続けて。約束よ?」
「っ当たり前だ!約束する!」
そう言って抱き締め返すと母さんは幸せそうに微笑んで脱力した。
「……?母さん?」
その後、何度呼び掛けても母さんが起きることはなかった。
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