ずっとここにいるから

蓮ヶ崎 漣

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雨の思い出

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 もう日も落ち始めて雨もたくさん降ってる中、僕は走っていた。
千冬ちゃんの家から大分離れただろうと思って歩き始める。

そう言えば、千冬ちゃんが僕たちを助けてくれたのも雨の日だったな……
あの日は本当に寒くてもう死ぬと思った……
でも、目が覚めたら暖かい部屋で天井もあってご飯ももらえて。
千冬ちゃんに会えて幸せだったなぁ……
いつも優しく頭を撫でてくれて……
僕が悪戯をするとこら!って怒って……
あぁ、僕は千冬ちゃんがいればそれでよかったのに。
僕とは違う感情だけど千冬ちゃんも僕が好きって気持ちに溢れてたのに。
どうして僕は千冬ちゃんに嫌われるようなことをしたんだろう……
挙句、恋敵に助けられて情けない……
もう千冬ちゃんに会わせる顔がないよ……
これからどうしよう……

そう思いながら当てもなく彷徨う。
すると、突然視界が眩しくなって体に衝撃が走った。
自分に何が起きたか分からなくて。
急に周りが騒がしくなる。

五月蝿いな……
少し歩き疲れたみたいだ……
何だか眠いや……
ちょっとだけ寝て起きてからまたどうするか考えよう……

そう思いながら僕は意識を手放した――――
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