私、これからいきます。

蓮ヶ崎 漣

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覚悟

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突然の衝撃に思わずフェンスに掴まる。
顔だけ後ろに向けると、そこには髪の長い、白い服を着た人がいた。
 
「どこのどなたか存じませんが!死んではいけません!死んでは!」
 
そう言いながらフェンスをガタガタと揺らす。
この人、本当に私を止める気があるの?
むしろ、後押ししているんじゃないの?
自分で覚悟して飛ぶのは全然怖くないけど……
こんなガタガタ揺らされて突き落とされかけているのはすごく怖い!!
 
「ちょっ!あのっ!揺らさないで!落ちるから!」
 
「え?」
 
そう言うとその人は手を止めた。
 
「あの……死ぬ気だったんじゃ……?」
 
「いえ!死ぬ気ですけど!」
 
「やっぱり!駄目です!死ぬのは駄目です!」
 
そう言ってまた手に力が入るのを感じる。
 
「あぁ!待って!貴方が揺らすと本当に落ちるから!今、私、自殺云々より貴方に突き落とされかけているから!」
 
「えぇっ!?」
 
その人は驚いてフェンスから手を放した。
 
「(ふぅ……
これで、やっと覚悟を決められる……)」
 
私はゆっくり深呼吸をして前を見据える。
 
「あぁ!やっぱり落ちる気じゃないですか!駄目ですって!後悔しますよ!」
 
「後悔ならもうしているわ!これ以上の後悔があってたまるものですか!邪魔をしないで!声をかけないで!」
 
「いいえ!貴方は絶対後悔します!僕には分かるんです!さぁ、早くこっちに戻ってきて!そっちは危ないですから!」
 
「なんで貴方にそんなことが分かるのよ!気休めなら他をあたってちょうだい!」
 
「いいから、早く戻ってくるんだ!手遅れになる!」
 
「はぁ?貴方、何を言って……きゃあっ!」
 
その人が手遅れになると言ったその直後にものすごい強風が吹いた。
私は思わず手に力を込める。
 
「ほら!これで分かっただろ!?そこが危ないって!だから、早くこっちへ!」
 
「(口調的には男みたいだけど……)」
 
私はその人の気迫に負けてゆっくり向きを変える。
初めてその人と向き合う形になった。
その人は茶色い髪の黒い目で可愛い顔をしているせいで性別は分からない。
 
「そう!そのまま、ゆっくりこっちに来るんだ!」
 
私は恐る恐るフェンスに足をかける。
そして、ゆっくり慎重にフェンスを登った。
何とかフェンスの上に乗り後は降りるだけと両足を前に出した瞬間。
またあの強風が吹いた。
 
「きゃあっ!」
 
油断していた私はフェンスから手が離れる。
宙に浮く体。
ゆっくり離れていくフェンス。
 
「(え?
もしかして、私、死ぬの?
やっぱり、死ぬのは嫌だなぁ……
でも、しょうがないか……
お父さん、お母さん、今度こそ本当にさようなら……)」
 
私はゆっくりと目を閉じた。
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