6 / 13
ドリームRプロジェクト
1
しおりを挟む
蓮、今更だけど、今回のこのプロジェクト方針はどうするつもりだ」
昼下り、校舎の屋上でパンを食べながら、俺は蓮に訪ねた。蓮も家から持ってきたおにぎりを食べている。口に物が入った状態で蓮は答える。
「俺は、自分の作った車でレースに出たい」
その答えを聞いた俺の答えは、やっぱりか、だった。
しかし、レースに出るとなると、厳しいレギュレーションをクリアする必要があった。下手したら、公道走行する車を作るよりよっぽど、難しい制約に縛られる。第一、レースに出る車と公道を安全に走る車、開発コンセプトが全く持って異なるのだ。
蓮は、レースに出たいと言った。一重にレースといえど、走行会からフォーミュラーカー、プロトタイプカー、ツーリングカーと色々種類がある。
「蓮は、どのレースに出場したいの?」
「自分たちの作った車のポテンシャルを図るという意味では、WECだけどそれは現実的に厳しいだろう。という意味では、まずはプラクティスかな」
WECとは、世界耐久選手権の事である。シーズン中に手配できるエンジンがマシン一台につき、5基までと定められている。また、車を酷使するため、莫大な費用が必要となる。プラクティスとは、フリー走行のことだ。開始時間と終了時間が規定されているが、この時間内であれば自由に走行出来るレースのことだ。
「お前の事だから、どうせレースに出たいとか言い出すと思ってたよ」
校舎に刺す初秋の日差しはまだ厳しい物があった。
「WECに出るならば、別にGT3とかでも良いよね。LMPに参加するにはレギュレーションが厳しいし」
蓮はおにぎりを食べながら頷く。
「その前に、俺らに協賛してくれる企業があるかどうかだな」
「それは、そうだ。もし仮に、蓮の言う通り、レースに出るとすると、もうクラファンではどうしようもない位莫大な予算がかかる」
そのころ佐藤は、ベースとなる車のデザイン設計に没頭していた。出来る限り空力を考慮して、風の抵抗を受けにくいデザインを心掛ける。もともとカーデザイナーを志していた佐藤にとっては、初めて受けた仕事であるにも関わらず、失敗できない仕事であった。
これを何枚か描いて(いや、本当なら何百枚何千枚と描く)中村に引き継がなければならなかった。作業は、徹夜になった。しかし、時間を忘れるほど没頭できた。空気抵抗を減らすためには、前方と後方の形状が滑らかにとがっている必要がある。飛行機がそのいい例だ。
締め切りは来週の水曜日、そこまでに車を仕上げる必要があった。
昼下り、校舎の屋上でパンを食べながら、俺は蓮に訪ねた。蓮も家から持ってきたおにぎりを食べている。口に物が入った状態で蓮は答える。
「俺は、自分の作った車でレースに出たい」
その答えを聞いた俺の答えは、やっぱりか、だった。
しかし、レースに出るとなると、厳しいレギュレーションをクリアする必要があった。下手したら、公道走行する車を作るよりよっぽど、難しい制約に縛られる。第一、レースに出る車と公道を安全に走る車、開発コンセプトが全く持って異なるのだ。
蓮は、レースに出たいと言った。一重にレースといえど、走行会からフォーミュラーカー、プロトタイプカー、ツーリングカーと色々種類がある。
「蓮は、どのレースに出場したいの?」
「自分たちの作った車のポテンシャルを図るという意味では、WECだけどそれは現実的に厳しいだろう。という意味では、まずはプラクティスかな」
WECとは、世界耐久選手権の事である。シーズン中に手配できるエンジンがマシン一台につき、5基までと定められている。また、車を酷使するため、莫大な費用が必要となる。プラクティスとは、フリー走行のことだ。開始時間と終了時間が規定されているが、この時間内であれば自由に走行出来るレースのことだ。
「お前の事だから、どうせレースに出たいとか言い出すと思ってたよ」
校舎に刺す初秋の日差しはまだ厳しい物があった。
「WECに出るならば、別にGT3とかでも良いよね。LMPに参加するにはレギュレーションが厳しいし」
蓮はおにぎりを食べながら頷く。
「その前に、俺らに協賛してくれる企業があるかどうかだな」
「それは、そうだ。もし仮に、蓮の言う通り、レースに出るとすると、もうクラファンではどうしようもない位莫大な予算がかかる」
そのころ佐藤は、ベースとなる車のデザイン設計に没頭していた。出来る限り空力を考慮して、風の抵抗を受けにくいデザインを心掛ける。もともとカーデザイナーを志していた佐藤にとっては、初めて受けた仕事であるにも関わらず、失敗できない仕事であった。
これを何枚か描いて(いや、本当なら何百枚何千枚と描く)中村に引き継がなければならなかった。作業は、徹夜になった。しかし、時間を忘れるほど没頭できた。空気抵抗を減らすためには、前方と後方の形状が滑らかにとがっている必要がある。飛行機がそのいい例だ。
締め切りは来週の水曜日、そこまでに車を仕上げる必要があった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
M性に目覚めた若かりしころの思い出
kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、それをはじめて自覚した中学時代の体験になります。歳を重ねた者の、人生の回顧録のひとつとして、読んでいただけましたら幸いです。
一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる