ドリーム”R”プロジェクト

千葉みきを

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ドリームRプロジェクト

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蓮、今更だけど、今回のこのプロジェクト方針はどうするつもりだ」

昼下り、校舎の屋上でパンを食べながら、俺は蓮に訪ねた。蓮も家から持ってきたおにぎりを食べている。口に物が入った状態で蓮は答える。

「俺は、自分の作った車でレースに出たい」

その答えを聞いた俺の答えは、やっぱりか、だった。

しかし、レースに出るとなると、厳しいレギュレーションをクリアする必要があった。下手したら、公道走行する車を作るよりよっぽど、難しい制約に縛られる。第一、レースに出る車と公道を安全に走る車、開発コンセプトが全く持って異なるのだ。

蓮は、レースに出たいと言った。一重にレースといえど、走行会からフォーミュラーカー、プロトタイプカー、ツーリングカーと色々種類がある。

「蓮は、どのレースに出場したいの?」

「自分たちの作った車のポテンシャルを図るという意味では、WECだけどそれは現実的に厳しいだろう。という意味では、まずはプラクティスかな」

WECとは、世界耐久選手権の事である。シーズン中に手配できるエンジンがマシン一台につき、5基までと定められている。また、車を酷使するため、莫大な費用が必要となる。プラクティスとは、フリー走行のことだ。開始時間と終了時間が規定されているが、この時間内であれば自由に走行出来るレースのことだ。

「お前の事だから、どうせレースに出たいとか言い出すと思ってたよ」

校舎に刺す初秋の日差しはまだ厳しい物があった。

「WECに出るならば、別にGT3とかでも良いよね。LMPに参加するにはレギュレーションが厳しいし」

蓮はおにぎりを食べながら頷く。

「その前に、俺らに協賛してくれる企業があるかどうかだな」

「それは、そうだ。もし仮に、蓮の言う通り、レースに出るとすると、もうクラファンではどうしようもない位莫大な予算がかかる」

そのころ佐藤は、ベースとなる車のデザイン設計に没頭していた。出来る限り空力を考慮して、風の抵抗を受けにくいデザインを心掛ける。もともとカーデザイナーを志していた佐藤にとっては、初めて受けた仕事であるにも関わらず、失敗できない仕事であった。

これを何枚か描いて(いや、本当なら何百枚何千枚と描く)中村に引き継がなければならなかった。作業は、徹夜になった。しかし、時間を忘れるほど没頭できた。空気抵抗を減らすためには、前方と後方の形状が滑らかにとがっている必要がある。飛行機がそのいい例だ。

締め切りは来週の水曜日、そこまでに車を仕上げる必要があった。
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