ドリーム”R”プロジェクト

ドリームＲプロジェクト

２

水曜日になり、また作戦会議が、蓮の家で行われた。

「佐藤、例のデザイン原案はできたか」

蓮はあぐらをかき、麦茶を飲みながら尋ねる。

「５枚試作を書いてきました」

蓮は、佐藤から原案を受け取ると、真剣な眼差しでその原案を見比べた。

中村も相変わらずの仏頂面で、蓮の横から覗き見るようにして原案を眺める。

「どれも、良い出来だと思うけど、１枚目の原案がすごく良いと思う」

蓮が選んだのは、佐藤の渾身の一作だった。佐藤は、ニコッと嬉しそうに笑うと、ガッツポーズを取った。

「みんなの意見を聞きたい」

原案が、俺のところにも回ってくる。

「確かに、１枚目が一番洗練されてると思う。フロントノーズが丸くとがっていて、後ろも同じく。それでいてライトの位置も不自然じゃない。一番洗練されている」

「中村はどう思う」

「右に同じ」

稟議の結果、第一案がデザインとして選ばれた。それはちょうど、ＷＥＣで言うところの、ＬＭＰ１クラスを彷彿とさせるようなデザインだった。デザインまで完成したら、次は中村の出番である。

３Ｄ　ＣＡＤでデザインを物理モデルに起こし、それを元に金型を作成する。３Ｄ　ＣＡＤでデザインを練った後は、３Ｄプリンターで形状を再現し、風洞実験を行い、物体の空気の流れや、圧力分布などを測定する事とした。

「それから、今更だけど、このプロジェクトに名前を付けようと思う。今から紙を配るから、そこに皆が思う企画名を書いてほしい」

Ａ４サイズの紙を何等分かした紙を蓮が配布していき、それを全員が受け取る。一同は、紙にそれぞれの思いを込めて企画名を記載していく。


ドリームＲプロジェクト。


それが今回決まった名前であった。Ｒは、蓮の頭文字を取ったっものだ。